平穏を求める実力者
協力関係
午前中の授業が終わり、昼休みの時間になった。
いつもなら、仲の良いグループに分かれて昼食を食べているが、今日は一人で食べている人が多かった。教室の空気が重くギスギスしている。みんな疑心暗鬼になっているようだ。
オレも今日のところは控えようと、一人で昼食を食べようとする。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
思わぬ来客が現れる。川瀬が話しかけてきた。
思いがけぬ来客に少し緊張する。
「いいけど。なに?」
「一緒にご飯食べない?」
なん……だと?女子から初めて食事に誘われて動揺がピークに達する。
まさかこいつ、オレのことが好きなのか?
落ち着け。そう思い込むのは早計だ。
とりあえずオレはクールに返すことにした。
「いいけど、けどいきなりどうして?」
「ちょっとあなたに話があったから…」
まさか、告白というやつか!?
落ち着けってオレ。勘違いだったら恥ずかしいだろ。
「場所を変えないか?ここで二人で食べてたら変な噂されそうだし」
そういう噂をされてもいいかどうかで、好きかどうかを探る。
「それもそうね」
脈なし決定。
危ねえ、うっかり自滅して死んじゃうところだった。
オレ達は外にあるベンチで昼食を食べる。
「それで、話ってなに?」
こっちから話を振ってみる。関わりたくないと言ったのに近づいてくるのには理由があるはずた。
「……あなたって犯人?」
やっぱりその話か。
「違うけど、けどなんでオレなんだ?」
「私、誰が犯人なのかさっぱりわからないから、ダメ元で榎本先生に誰が犯人なのか訊いてみたのよ」
それは思い切ったことをしたな。それを当てるゲームなのに教えてくれるはずがない。
「それで、どうだったんだ?」
結果は分かっているが一応訊いてみる。
「ダメだったわ」
やっぱり。
「でも、榎本先生はこうも言ったのよ。知りたかったら月田にでも訊いたらどうだ、って」
どういうことだ?
ゲームに関して中立の立場である教師がヒントまがいなことを言うなんて。
何者か分からないオレへの嫌がらせだろうか。
「どういう意味だろうな。オレは犯人じゃないぞ」
「じゃあなんで、先生はあんなことを言ったの?」
「そんなのオレが分かるわけないだろ。単に、嫌がらせじゃないか?」
思いある節はそれしかない。
「なんで嫌がらせなんてされてるの」
「入学初日に書類に不備があるって呼び出されたんだ。そのことじゃないかな」
「そんなことする先生には見えないけど…」
川瀬は訝しげな視線を絶えず向けてくる。
オレにもどういうことかわからないので、そんな視線を向けられても…
「とにかく、オレは犯人じゃないし、なんで先生がそんなこと言ったのかも分からない」
オレは最後にそう締めくくっておいた。
「ふーん、そう。……だったら、私と協力関係を結びなさい」
「……は?」
突然意味のわからないことを言われ、間抜けにも口を開けてしまう。
「だって協力者は多い方がいいに決まってるじゃない。誰かが犯人が分かったら、その情報を共有してみんなで賞金を増やすのよ」
まぁ、確かに理屈は通ってるな。
「協力したヤツの中に犯人がいたらどうするんだよ?」
そこが問題である。犯人が偽の情報を共有させたら、賞金が減るかもしれない。
「それも計算のうちよ。仲間になって油断させれば、ボロを出すかもしれないじゃない」
なるほど。仲間に取り込みつつ探るということか。
こいつ結構頭がいいな。
「……確かに、そうかもしれないな。そうすれば、犯人が誰かも分かるかも……」
「でしょ。だから私と手を組みなさい」
まぁ、ここで断ったら犯人だと思われるかもしれないし、手を組んだほうがいいか。
「わかったよ…。協力するよ」
「それじゃあ、よろしく月田くん」
川瀬は初めてオレの名前を呼んだ。
いつもなら、仲の良いグループに分かれて昼食を食べているが、今日は一人で食べている人が多かった。教室の空気が重くギスギスしている。みんな疑心暗鬼になっているようだ。
オレも今日のところは控えようと、一人で昼食を食べようとする。
「ねぇ、ちょっといいかしら?」
思わぬ来客が現れる。川瀬が話しかけてきた。
思いがけぬ来客に少し緊張する。
「いいけど。なに?」
「一緒にご飯食べない?」
なん……だと?女子から初めて食事に誘われて動揺がピークに達する。
まさかこいつ、オレのことが好きなのか?
落ち着け。そう思い込むのは早計だ。
とりあえずオレはクールに返すことにした。
「いいけど、けどいきなりどうして?」
「ちょっとあなたに話があったから…」
まさか、告白というやつか!?
落ち着けってオレ。勘違いだったら恥ずかしいだろ。
「場所を変えないか?ここで二人で食べてたら変な噂されそうだし」
そういう噂をされてもいいかどうかで、好きかどうかを探る。
「それもそうね」
脈なし決定。
危ねえ、うっかり自滅して死んじゃうところだった。
オレ達は外にあるベンチで昼食を食べる。
「それで、話ってなに?」
こっちから話を振ってみる。関わりたくないと言ったのに近づいてくるのには理由があるはずた。
「……あなたって犯人?」
やっぱりその話か。
「違うけど、けどなんでオレなんだ?」
「私、誰が犯人なのかさっぱりわからないから、ダメ元で榎本先生に誰が犯人なのか訊いてみたのよ」
それは思い切ったことをしたな。それを当てるゲームなのに教えてくれるはずがない。
「それで、どうだったんだ?」
結果は分かっているが一応訊いてみる。
「ダメだったわ」
やっぱり。
「でも、榎本先生はこうも言ったのよ。知りたかったら月田にでも訊いたらどうだ、って」
どういうことだ?
ゲームに関して中立の立場である教師がヒントまがいなことを言うなんて。
何者か分からないオレへの嫌がらせだろうか。
「どういう意味だろうな。オレは犯人じゃないぞ」
「じゃあなんで、先生はあんなことを言ったの?」
「そんなのオレが分かるわけないだろ。単に、嫌がらせじゃないか?」
思いある節はそれしかない。
「なんで嫌がらせなんてされてるの」
「入学初日に書類に不備があるって呼び出されたんだ。そのことじゃないかな」
「そんなことする先生には見えないけど…」
川瀬は訝しげな視線を絶えず向けてくる。
オレにもどういうことかわからないので、そんな視線を向けられても…
「とにかく、オレは犯人じゃないし、なんで先生がそんなこと言ったのかも分からない」
オレは最後にそう締めくくっておいた。
「ふーん、そう。……だったら、私と協力関係を結びなさい」
「……は?」
突然意味のわからないことを言われ、間抜けにも口を開けてしまう。
「だって協力者は多い方がいいに決まってるじゃない。誰かが犯人が分かったら、その情報を共有してみんなで賞金を増やすのよ」
まぁ、確かに理屈は通ってるな。
「協力したヤツの中に犯人がいたらどうするんだよ?」
そこが問題である。犯人が偽の情報を共有させたら、賞金が減るかもしれない。
「それも計算のうちよ。仲間になって油断させれば、ボロを出すかもしれないじゃない」
なるほど。仲間に取り込みつつ探るということか。
こいつ結構頭がいいな。
「……確かに、そうかもしれないな。そうすれば、犯人が誰かも分かるかも……」
「でしょ。だから私と手を組みなさい」
まぁ、ここで断ったら犯人だと思われるかもしれないし、手を組んだほうがいいか。
「わかったよ…。協力するよ」
「それじゃあ、よろしく月田くん」
川瀬は初めてオレの名前を呼んだ。
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