ガチ百合ハーレム戦記
宣告、解呪の方法
ひとまず一行は場所を移動する。
先ほどのベッドが沢山ならんでいる部屋へと戻ってくる。
「はーい、じゃあ、おねんねしましょうね、ルーザちゃん」
「フーム、つまらんのー、オオーウ」
一つだけ空いていたベッド、それはエイダとチェスをして遊んでいた魔物、ルーザのベッドだった。
「はうぅっ……ショクシュがワタシを……」
やはり何らかの催眠術をかけられているらしく、ルーザの紫色の唇からは、ひっきりなしに喘ぎ声が漏れる。
彼女の灰色の肌がビクッと引きつるたびに、その巨大な肉の山がブルンッと跳ねる。
エイダは、なかなか寝ようとしないルーザの額に手を当てて、まるで子守唄を歌うようにして呪文を唱え始めた。
『エムルー、アムルー、エルセコニー……』
すると徐々にルーザの瞳がトロリ、とろけていった。
やがて、寝息が聞こえはじめる。
「ムニュムニュ……zzz……ソコハラメェ……」
しかし、淫靡な夢にうなされていることに変わりは無いようだ。
「……ふむふむ」
リーンは、レベルモノクルでルーザのレベルを調べる。
ブラックソーシャル 女
Lv??? 魔属性
エイダのレベルも確認する。
白色魔術士 女
Lv??? 水属性
どちらも測定限界を超えていた。
つまり、Lv53以上のどこかなのだ。
「それはゲンリ君のモノクルね」
「うおっ、ゲンリを知っているのか?」
「もちろん。彼はとっても優秀な魔術師だもの」
と言ってエイダは微笑む。
「あんた強えーんだな。このモノクルじゃ測れないぜ」
「そんなことないのですー。見ての通りの、か弱い女の子なのですー」
エイダはおどけたように指で自分の頬をぷにりとつっつく。
「へへへ、あんたが可愛い人だってのは、よくわかってるんだぜ?」
「リーン、見た目に騙されちゃだめよ。彼女こそスノーフルの伝統呪術士、雪原のエイダなんだから」
「おお、なんだか格好いいな」
「伝統呪術士ガル?」
「そう。エイダの魔力は一子相伝。先祖代々、受け継がれているものなのよ」
「なにか特別な血筋なんだな?」
「うん、スノーフルがあんな辺境の場所に国を築けたのは、エイダの体に流れる呪術士の血によるところが大きいの」
「へええー」
「すごい人なんガルね」
そして三人はエイダを見る。
「えっへん」
エイダは胸を張ってそう言った。
天然である。
「まあ、あんたが凄い人だってのはわかった。そこでさっそく本題なんだが」
リーンはベッドの上、エイダの隣に腰掛ける。
「この剣に呪いをかけたのはあんたで間違いないんだな?」
「はーい、その通りです。どうしてリーンさんがこの剣を持っているのです?」
「それはだな、かくかくしかじか……」
リーンは二人の近衛兵と戦って勝った時のことを話した。
「そんなことになっていたのー、大変だったねー」
「エイダ、リーンは死にかけたのよ。その剣の呪いをうけて」
「ごめーん」
「あ……いえ、エイダを責めているわけじゃないんだけどね」
「うふふ、わかってるよメイリー。それにしてもスゴイわ。この剣の呪いを受けて助かったなんて」
「体の出来が人とは違うんだ。運もよかったしな」
「それでもスゴイんだよ。この剣には飛びっきり強烈な呪いをかけてあったからね。鞘から抜いた瞬間に、全身血みどろの細切れ肉になっちゃう呪いをかけてあったんだから」
リーンの額に冷や汗が浮かぶ。
「呪いの域を超えてるぜ!」
「まあねっ。自分で言うのもなんだけど、もはや厄災ね」
「解けるんだよな? この呪い」
「えーとね……実はねぇ……」
そこでエイダは言葉を曇らせる。
わざわざここまで来てもらって悪いのだけど……。
そんな不穏な雰囲気が周囲に漂う。
「無理なのー!」
「えええええ!?」
ガーン!
リーンの額にすだれがかかる。
「どーしてだよ!」
「うーんとねー、それは私が国王に見張られているから」
「見張られてる?」
「そう、見張られてるの」
エイダは自身の両耳を指差す。
そこに緑色に光る耳飾が揺れている。
「この耳飾にはちょっとした魔法がかけてあってね。私がどんな魔法を使ったかを、逐一国王に知らせるの」
「てーことは」
「うん、今この剣の呪いを解いたら、そのことが国王様にばれちゃう」
「なんてこった……!」
リーンは拳を握りしめながらうなる。
「むむむむ、あのタヌキじじい。どこまで狡猾なんだ!」
「バレたらきっと私、ここの魔物ちゃん達のエサにされちゃうかなー。みんな人間のことが大好きだから、私のことをたっぷり可愛がってから食べてくれちゃうと思うわっ」
エイダは涼しい顔でそう言って、ハーレムに眠る魔物の女達の姿を眺めた。
「そいつは厳しいぜ!」
「せっかくここまで来たのに」
「一からやり直しガル……?」
三人はがっくりとうな垂れる。
あああーん……。
そしてハーレムの女達は相変わらず喘ぎ続けている。
「でも大丈夫、他の方法が無いわけではないわ」
途方にくれる三人に向かって、エイダはそう告げる。
「そうなのか!?」
「うん。一つだけ方法がある。でもそれは、とても危険な方法なの……」
「かまわねえ、教えてくれ!」
エイダはリーンの瞳をジッと見つめてきた。
その表情は、いつの間にか真剣なものに変わっていた。
大きな黒い瞳の奥に、冷たく澄んだ星の輝きが見える
「その方法はね、リーンさん。あなたが……死ぬことよ」
一同、ハッと息を飲む。
「持ち主が死ねば呪いは解けるわ。これはまず間違いないこと」
「ふーむ……」
意味深な沈黙が、その場に流れた。
「ちょ、ちょっとエイダ。呪いが解けても、死んじゃったら意味がないじゃない!」
「確かにそうだねっ、メイリー」
「え、えええ? 本気で言ってるの? あなた」
「もちろん。エイダはいつだって本気だよ?」
そのおっとりとした口調はともかく、エイダの表情はいたって真面目だ。
「ふふふ、そういうことかい、エイダさんよ」
リーンが不敵な笑みを浮かべる。
「うふふふ、どうやら勇者さまはお分かりのようね」
「ああ、バッチリな」
「ちょっとちょっと、どういうことなの? リーン」
「ヒントはエイダの血筋だ。エイダの術が一子相伝ってことは、つまりエイダの親御さんだって、前は同じ術を使えたはずなんだ。違うか? メイリー」
「あっ!」
「もう、エイダほどの力は無いのかも知れねえが、でもこの剣にかかっている呪いを調べることくらいは出来るはずだ。つまり、俺たちはその親御さんの眼力に頼るってわけだ」
そしてリーンはエイダを見る。
「そうだろ?」
「素晴らしいわ。正解よ」
エイダはリーンに笑みを返す。
「リーンさんを死の間際まで追い込んで、剣の呪いがとけたその瞬間に回復させる。それが出来れば、剣の呪いは解けるわ」
「ふむ、というわけだ。ラン、メイリー」
「なんという……」
「危険な賭けガル」
「だがやるしかねえ」
「まあね」
「優秀な医法師さんが必要ガル」
「リーンさん、医法師さんのあてはありますか?」
そのエイダの問いには、考えるまでもなく答えが出ていた。
「もちろんだ」
リーンの瞳がキラリと光る。
「アイツならきっとやってくれる」
天才美少年医法師エルレン、彼をおいて他にはなかった。
「よーし、決まったメイリー。次はお前の故郷に飛ぶぜ」
と言ってリーンは、呪われた剣スプレンディアを、高々と頭上に掲げる。
* * *
あはーん……うふーん……
「なあ、ところでなんだがエイダ」
「なぁに?」
「このアハンウフンは一体なんなんだぜ?」
「これはね、国王が彼女たちにかけていった催淫術なの」
「催淫術?」
「そう。国王が眠りにつくと同時に、術が発動するわ。そして彼女たち全員に淫らな夢を見せるの。これは寝てても起きてても関係なくて、術が発動している間はみんなビクビクになっちゃう。ルーザさっきまで私とチェスをしていたけど、あの子はすごく特別で、術が発動していても平気で起きていられるのよね」
リーンはその話を聞いてムカムカとしてきた。
「それって、単に趣味なのか?」
だとしたら今すぐにでもぶった切ってやりたい。
「うーん、どうなのかしらー? 一番の目的は、彼女たちとの交わりを通して、国王の魔力を上昇させることだからね。夢見を通じて国王と彼女たちの間に精神経路が出来るから、言うならば国王は、寝ながら44人の女の子とイチャイチャしている状態になってるの」
「寝ながら44人と……レベル高すぎるぜ!」
おおーう……あはははーん……
「それで、エイダは何をやらされているんだ?」
「もちろん。この子達の見張りとお世話」
そこでメイリーがポンと手を打つ。
「なるほどっ、国王はそれが目的でエイダを連れていってしまったのね!」
「そういうことだねメイリー。私が使う呪術は、魔物さんを管理するのにぴったりだから」
「エイダ、あなたは魔界調査団の一員として魔界に行って、そこで消息を絶ったといことにされているのよ」
「あらまあ」
「ここから出られるあてはあるの? エイダ」
「うーん、どうかしら? でも私は意外とここ好きよ? いくらでも本を読んでいられるから」
「でもずっとここにいるわけにはいかないでしょう? あなたがいないと結構大変なんだから、スノーフルは」
「それもそうだねー、でも今はまだその時ではないわ、メイリー、リーンさん、ランさん。国王はきっと何かを企んでいる。今に大きく動くわ。その時がチャンスよ」
そしてリーンの剣を見る。
「お父様なら、必ずその剣の呪いを見極められる。うまくやってね、リーンさん」
「ああ、まかせとけ。必ずエイダを迎えにきてやるからな。あと、オレのことは呼び捨てでかまわねえ」
「うんっ、リーン、がんばって」
ううーん……おおう………………すう、すう……
「いけない、みんなの喘ぎ声が止まったわ」
「それってつまり」
「国王が目を覚まされたわ。ここに来るかもしれない」
「よしっ、じゃあ待ち伏せてぶった切るか」
「うふふふっ」
「ちょっとリーン!」
「無茶ガル!」
「言ってみただけさ。ひとまず呪いを解く方法はわかった。退散するぜ」
「内側の錠前は私がかけておくわ、気をつけてね」
「ああ、あんたも元気でな!」
三人はそそくさとその場から退散する。
内側の扉をくぐり、鉄格子の窓ごしにエイダに手をふる。
「じゃあなっ、また来るぜ!」
「お父様によろしくねー」
そしてリーン達は、もと来た水路を戻っていった。
先ほどのベッドが沢山ならんでいる部屋へと戻ってくる。
「はーい、じゃあ、おねんねしましょうね、ルーザちゃん」
「フーム、つまらんのー、オオーウ」
一つだけ空いていたベッド、それはエイダとチェスをして遊んでいた魔物、ルーザのベッドだった。
「はうぅっ……ショクシュがワタシを……」
やはり何らかの催眠術をかけられているらしく、ルーザの紫色の唇からは、ひっきりなしに喘ぎ声が漏れる。
彼女の灰色の肌がビクッと引きつるたびに、その巨大な肉の山がブルンッと跳ねる。
エイダは、なかなか寝ようとしないルーザの額に手を当てて、まるで子守唄を歌うようにして呪文を唱え始めた。
『エムルー、アムルー、エルセコニー……』
すると徐々にルーザの瞳がトロリ、とろけていった。
やがて、寝息が聞こえはじめる。
「ムニュムニュ……zzz……ソコハラメェ……」
しかし、淫靡な夢にうなされていることに変わりは無いようだ。
「……ふむふむ」
リーンは、レベルモノクルでルーザのレベルを調べる。
ブラックソーシャル 女
Lv??? 魔属性
エイダのレベルも確認する。
白色魔術士 女
Lv??? 水属性
どちらも測定限界を超えていた。
つまり、Lv53以上のどこかなのだ。
「それはゲンリ君のモノクルね」
「うおっ、ゲンリを知っているのか?」
「もちろん。彼はとっても優秀な魔術師だもの」
と言ってエイダは微笑む。
「あんた強えーんだな。このモノクルじゃ測れないぜ」
「そんなことないのですー。見ての通りの、か弱い女の子なのですー」
エイダはおどけたように指で自分の頬をぷにりとつっつく。
「へへへ、あんたが可愛い人だってのは、よくわかってるんだぜ?」
「リーン、見た目に騙されちゃだめよ。彼女こそスノーフルの伝統呪術士、雪原のエイダなんだから」
「おお、なんだか格好いいな」
「伝統呪術士ガル?」
「そう。エイダの魔力は一子相伝。先祖代々、受け継がれているものなのよ」
「なにか特別な血筋なんだな?」
「うん、スノーフルがあんな辺境の場所に国を築けたのは、エイダの体に流れる呪術士の血によるところが大きいの」
「へええー」
「すごい人なんガルね」
そして三人はエイダを見る。
「えっへん」
エイダは胸を張ってそう言った。
天然である。
「まあ、あんたが凄い人だってのはわかった。そこでさっそく本題なんだが」
リーンはベッドの上、エイダの隣に腰掛ける。
「この剣に呪いをかけたのはあんたで間違いないんだな?」
「はーい、その通りです。どうしてリーンさんがこの剣を持っているのです?」
「それはだな、かくかくしかじか……」
リーンは二人の近衛兵と戦って勝った時のことを話した。
「そんなことになっていたのー、大変だったねー」
「エイダ、リーンは死にかけたのよ。その剣の呪いをうけて」
「ごめーん」
「あ……いえ、エイダを責めているわけじゃないんだけどね」
「うふふ、わかってるよメイリー。それにしてもスゴイわ。この剣の呪いを受けて助かったなんて」
「体の出来が人とは違うんだ。運もよかったしな」
「それでもスゴイんだよ。この剣には飛びっきり強烈な呪いをかけてあったからね。鞘から抜いた瞬間に、全身血みどろの細切れ肉になっちゃう呪いをかけてあったんだから」
リーンの額に冷や汗が浮かぶ。
「呪いの域を超えてるぜ!」
「まあねっ。自分で言うのもなんだけど、もはや厄災ね」
「解けるんだよな? この呪い」
「えーとね……実はねぇ……」
そこでエイダは言葉を曇らせる。
わざわざここまで来てもらって悪いのだけど……。
そんな不穏な雰囲気が周囲に漂う。
「無理なのー!」
「えええええ!?」
ガーン!
リーンの額にすだれがかかる。
「どーしてだよ!」
「うーんとねー、それは私が国王に見張られているから」
「見張られてる?」
「そう、見張られてるの」
エイダは自身の両耳を指差す。
そこに緑色に光る耳飾が揺れている。
「この耳飾にはちょっとした魔法がかけてあってね。私がどんな魔法を使ったかを、逐一国王に知らせるの」
「てーことは」
「うん、今この剣の呪いを解いたら、そのことが国王様にばれちゃう」
「なんてこった……!」
リーンは拳を握りしめながらうなる。
「むむむむ、あのタヌキじじい。どこまで狡猾なんだ!」
「バレたらきっと私、ここの魔物ちゃん達のエサにされちゃうかなー。みんな人間のことが大好きだから、私のことをたっぷり可愛がってから食べてくれちゃうと思うわっ」
エイダは涼しい顔でそう言って、ハーレムに眠る魔物の女達の姿を眺めた。
「そいつは厳しいぜ!」
「せっかくここまで来たのに」
「一からやり直しガル……?」
三人はがっくりとうな垂れる。
あああーん……。
そしてハーレムの女達は相変わらず喘ぎ続けている。
「でも大丈夫、他の方法が無いわけではないわ」
途方にくれる三人に向かって、エイダはそう告げる。
「そうなのか!?」
「うん。一つだけ方法がある。でもそれは、とても危険な方法なの……」
「かまわねえ、教えてくれ!」
エイダはリーンの瞳をジッと見つめてきた。
その表情は、いつの間にか真剣なものに変わっていた。
大きな黒い瞳の奥に、冷たく澄んだ星の輝きが見える
「その方法はね、リーンさん。あなたが……死ぬことよ」
一同、ハッと息を飲む。
「持ち主が死ねば呪いは解けるわ。これはまず間違いないこと」
「ふーむ……」
意味深な沈黙が、その場に流れた。
「ちょ、ちょっとエイダ。呪いが解けても、死んじゃったら意味がないじゃない!」
「確かにそうだねっ、メイリー」
「え、えええ? 本気で言ってるの? あなた」
「もちろん。エイダはいつだって本気だよ?」
そのおっとりとした口調はともかく、エイダの表情はいたって真面目だ。
「ふふふ、そういうことかい、エイダさんよ」
リーンが不敵な笑みを浮かべる。
「うふふふ、どうやら勇者さまはお分かりのようね」
「ああ、バッチリな」
「ちょっとちょっと、どういうことなの? リーン」
「ヒントはエイダの血筋だ。エイダの術が一子相伝ってことは、つまりエイダの親御さんだって、前は同じ術を使えたはずなんだ。違うか? メイリー」
「あっ!」
「もう、エイダほどの力は無いのかも知れねえが、でもこの剣にかかっている呪いを調べることくらいは出来るはずだ。つまり、俺たちはその親御さんの眼力に頼るってわけだ」
そしてリーンはエイダを見る。
「そうだろ?」
「素晴らしいわ。正解よ」
エイダはリーンに笑みを返す。
「リーンさんを死の間際まで追い込んで、剣の呪いがとけたその瞬間に回復させる。それが出来れば、剣の呪いは解けるわ」
「ふむ、というわけだ。ラン、メイリー」
「なんという……」
「危険な賭けガル」
「だがやるしかねえ」
「まあね」
「優秀な医法師さんが必要ガル」
「リーンさん、医法師さんのあてはありますか?」
そのエイダの問いには、考えるまでもなく答えが出ていた。
「もちろんだ」
リーンの瞳がキラリと光る。
「アイツならきっとやってくれる」
天才美少年医法師エルレン、彼をおいて他にはなかった。
「よーし、決まったメイリー。次はお前の故郷に飛ぶぜ」
と言ってリーンは、呪われた剣スプレンディアを、高々と頭上に掲げる。
* * *
あはーん……うふーん……
「なあ、ところでなんだがエイダ」
「なぁに?」
「このアハンウフンは一体なんなんだぜ?」
「これはね、国王が彼女たちにかけていった催淫術なの」
「催淫術?」
「そう。国王が眠りにつくと同時に、術が発動するわ。そして彼女たち全員に淫らな夢を見せるの。これは寝てても起きてても関係なくて、術が発動している間はみんなビクビクになっちゃう。ルーザさっきまで私とチェスをしていたけど、あの子はすごく特別で、術が発動していても平気で起きていられるのよね」
リーンはその話を聞いてムカムカとしてきた。
「それって、単に趣味なのか?」
だとしたら今すぐにでもぶった切ってやりたい。
「うーん、どうなのかしらー? 一番の目的は、彼女たちとの交わりを通して、国王の魔力を上昇させることだからね。夢見を通じて国王と彼女たちの間に精神経路が出来るから、言うならば国王は、寝ながら44人の女の子とイチャイチャしている状態になってるの」
「寝ながら44人と……レベル高すぎるぜ!」
おおーう……あはははーん……
「それで、エイダは何をやらされているんだ?」
「もちろん。この子達の見張りとお世話」
そこでメイリーがポンと手を打つ。
「なるほどっ、国王はそれが目的でエイダを連れていってしまったのね!」
「そういうことだねメイリー。私が使う呪術は、魔物さんを管理するのにぴったりだから」
「エイダ、あなたは魔界調査団の一員として魔界に行って、そこで消息を絶ったといことにされているのよ」
「あらまあ」
「ここから出られるあてはあるの? エイダ」
「うーん、どうかしら? でも私は意外とここ好きよ? いくらでも本を読んでいられるから」
「でもずっとここにいるわけにはいかないでしょう? あなたがいないと結構大変なんだから、スノーフルは」
「それもそうだねー、でも今はまだその時ではないわ、メイリー、リーンさん、ランさん。国王はきっと何かを企んでいる。今に大きく動くわ。その時がチャンスよ」
そしてリーンの剣を見る。
「お父様なら、必ずその剣の呪いを見極められる。うまくやってね、リーンさん」
「ああ、まかせとけ。必ずエイダを迎えにきてやるからな。あと、オレのことは呼び捨てでかまわねえ」
「うんっ、リーン、がんばって」
ううーん……おおう………………すう、すう……
「いけない、みんなの喘ぎ声が止まったわ」
「それってつまり」
「国王が目を覚まされたわ。ここに来るかもしれない」
「よしっ、じゃあ待ち伏せてぶった切るか」
「うふふふっ」
「ちょっとリーン!」
「無茶ガル!」
「言ってみただけさ。ひとまず呪いを解く方法はわかった。退散するぜ」
「内側の錠前は私がかけておくわ、気をつけてね」
「ああ、あんたも元気でな!」
三人はそそくさとその場から退散する。
内側の扉をくぐり、鉄格子の窓ごしにエイダに手をふる。
「じゃあなっ、また来るぜ!」
「お父様によろしくねー」
そしてリーン達は、もと来た水路を戻っていった。
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