50年前に滅びた世界で

たかき

第27話 行く途中で

今回はちょっと短いです。



街の中心部に向けて自転車を走らせているが、なかなか近づいている感じがしない。
単純に距離が離れているというのもあるのだが、道の状態が悪くて速度を出せなかったり、自転車を降りざる終えないということも間々あるというのも理由になっていた。
それでも、なんとか少しずつ近づくことができた。街にある高い建物はコンクリートかなにかで作られた高層ビルみたいだが、爆弾が当たったのか崩れたり折れたりしている建物もある。
どうもこの街は相当爆撃されたみたいだ。それも工場や軍事基地とかに的を絞るのではなく、建物があったらとりあえずぶっ壊すという無差別爆撃を。
そして、中心部へと向かっているうちにあるエリアに到達した。

「この辺りは特にひどいな……」

ひどいといっても、特に凄惨な光景が広がっているわけではない。辺りには草が生い茂り、時折低木も生えたりしているが、それと同時に建物の基礎みたいなのもかなりある。コンクリ製の建物もいくつかあるが、まるで原爆ドームみたいにボロボロで、そしてその悲惨さを物語っていた。どうもここらは特に被害が大きかったみたいだ。爆撃がこの辺りは重点的に行われたのか、木造建築が多くあったため被害が拡大したのか、それはわからない。

「昔は焼野原だったのかな……」

焼け焦げた建物があるわけではないが、この周りの様子からそれは容易に想像できた。山の上から見たときはバカでかい広場があると思っていたが、実際はこの辺りには数多くの建物があったのだろう。

「この辺りは何にもないね」
「まあ、今となってはね。昔はいっぱいあったんだろうけど……」

それは50年前の話だ。アンジェラの言う通り、この辺りには草木とボロボロの道路、少し残っている焼け焦げたコンクリの建物と土台くらいだ。
一応、そのコンクリの建物の中を外から見たりもしたが、何もなかった。中のものもすべて爆撃でなくなってしまったようだ。中に入ろうにも、かなりボロボロなので何かの拍子に崩れる可能性もあるため、入ることはできない。そんなわけで、再び道を走り抜けようとしたが、その時あるものを見つけた。

「これは……缶詰? 空みたいだけど……」

廃墟となっている建物のすぐ近く。そこにあったのは中身が入っていない缶だった。それだけならいいのだが、どうもこの缶は開けられて大した時間は経っていないみたいだった。中身は入っていないが、缶の記載から見るにビスケットの缶詰みたいだ。
誰かがここで食事をとったというのは、間違いないだろう。

「他に人……が、いるのかもわからんね」

人ではなくドワーフだとかエルフだとかかもしれないが、この様子を見るに、もしかしたら他の人がここで食事をとったのだろう。そうなると、この街には誰かがいるのかもしれない。

「ホントに? あっちの方に行ったら会えるかなぁ」
「いやーどうだろう。結構時間たってるみたいだし……」

缶が最近開けられたといっても、開けられてから恐らく数週間は経っている。それに自分らが向かっている方向にその人も向かっているかわからないので、出会う確率はほとんどないかもしれない。それでも、他にも人が居るかもしれないということが分かっただけでも良かったのではないだろうか。
一応他にも何か落ちていないかを見たが、缶詰のほかには何もなかったので、再び中心部へと向かうことにした。



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