宇宙人に転生した私、万能パワーで無敵に宇宙を大冒険!

ゆにこーん / UnicornNovel

88話 グランドマスター

《ヴェーゼ統括本部から連絡です、接続いたします──》

《──スプリィムよ、聞こえるか?》

「……え? 何この声?」

 ヴェーゼ統括本部から連絡?
 一体どういうこと?

「この声はまさか……グランドマスターじゃと!?」

「「「「グランドマスター?」」」」

「ヴェーゼの最高権力者にして、宇宙最強のダークマターの使い手じゃ。全宇宙を統括している、宇宙の絶対王者じゃ」

 ヴェーゼの最高権力者……。
 つまりラスボスってわけだね。

《ほう? 懐かしい声だな……ダークマター、フローンまで認識拡張》

「──なっ!? 今のは!!」

 もの凄く強いダークマターが、一瞬で駆け抜けていった!?
 何か見透かされたような、もの凄く嫌な感覚だ。

《そちらの様子は……なるほどな。久しいなジィエロン、元気そうで何よりだ。そうか……スプリィムはやられたのか……そしてお前は、特異点の精神体だな?》

 まさか、ダークマターを通じてこっち側の状況を見てるの!?
 通信機越しなのに、そんなこと出来るなんて。

《特異点の肉体は、計画通り動作したか。しかしまだ本調子ではないようだ》

「気をつけるのじゃぞ。奴はダークマターを通じて、こちらに干渉してくる」

《クックック、ずいぶんと警戒されているな、さて……》

 ──っ!
 背筋がゾワゾワする、頭のてっぺんからつま先まで、じっと見られている感覚だ。
 それに、もの凄いダークマターを感じる。
 こいつ一体どれだけ強いの?

《ハッハッハッ! 我を“こいつ”呼ばわりとは、面白い娘だ》

 嘘っ、心を読まれた?
 そういえば、最初にマジーメにさらわれた時も心を読まれた。
 ダークマターを使えるようになってからは、読まれなくなってたのに。

《ダークマターによる読心は、大きな力の差がなければ成立しない。つまり我とお前との間には、それだけ力の差があるということだ》

 力の差……悔しいけど、こいつとは戦っても勝てる気がしないよ……。
 だからって、好き放題やられるつもりもないけどね!

《なかなか強気な娘だな……さて、少し話をしようか? 特異点の娘よ、名はなんという?》

「明峰空だよ……人に名前を尋ねる時は、まず自分から名乗ったらどう?」

《クックック、確かにその通りだな。我が名はシュヴァルシルト、ヴェーゼのグランドマスターである》

「シュヴァルシルトね……あんた達ヴェーゼのおかげで、私は大変な目にあってるよ」

《それは悪かったな、こちらにも目的があるのだ》

「どうせ宇宙の支配でしょ? 何回も聞いたよ」

《その通り。我らの目的は、特異点の力を用いて、全宇宙を完全支配することだ》

 くっ、やっぱりこいつもゴミだね。
 ゴミボスだ。

「でも残念だったね。体は取り返したから、もう特異点の力は使えないよ?」

《それはどうかな……?》

 ……何……この感覚?
 ダークマターがズンッと重くなっていくような……。

《特異点の肉体は渡してもらおう……ダークマターよ!》

 うぅっ、これは……私の体を拘束してる、私のダークマターを崩してる!?
 信じられない! 離れた場所から、こんなに強力なダークマターを使えるなんて。

《他愛もない……特異点を我が元まで転送せよ!》

「ダメ! 逃がさない!!」

 ダークマター! 私の体を捕まえて!
 絶対に逃がさないで!!

《ほう? 我のダークマターに抵抗するか、面白い》

「ぐうぅ……強い……」

 捕まえておくだけで精いっぱいだ……気を抜いたら持っていかれちゃう。
 このままじゃ──。

「きゃあぁっ!?」

「うニャ!? グラグラするミャァ」

 ちょっと! 今度は何!?
 なんだかもの凄く揺れてる、無重力なのに振動が伝わってくるよ。

「本部がっ、本部が揺れていますわ!」

「いかんっ、スプリィムが倒れた影響で、本部の制御が失われておるのじゃろう。このままでは本部は倒壊して、地上に落下してしまうぞ!」

「地上に落下……マズいですわ、本部の地下には住民達が!」

「落下させるわけにはいかない、私のダークマターで──」

《どうした? 気をそらしている場合か?》

「あぅっ……!?」

 ダメだ、本部にダークマターを回すと、私の体を捕まえてられなくなっちゃう。
 でもこのままだと、地下にいる住民達は押し潰されちゃうよ。

《ハッハッハッ! さあ、どうするのだ? 特異点の娘よ!》

 やっとここまできたのに……。

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