宇宙人に転生した私、万能パワーで無敵に宇宙を大冒険!

ゆにこーん / UnicornNovel

84話 兵器

「特異点! あの邪魔者を排除しなさい!!」

「はい……」

 くぅっ……私の体なのに、完全にスプリィムの命令に従ってるよ。
 私達を攻撃しようとしてる……。

「マズいぞ! お嬢ちゃん、どうにか動けんか?」

「無理だよ、ダークマターをうまく使えないの……」

「命令、承りました……」

 手にダークマターを集めてる。
 思ったより弱々しいダークマターだけど……。
 とにかくあれで、私達を攻撃するつもりなんだね。

「行動、開始……」

 くっ、もうダメだ。
 ゆっくりと手をこっちに向けて……こない?

「あら? 何かしら?」

 うん? スプリィムに向かって手をかざしてる?
 何をしているんだろう?

「ダークマターの吸収、開始します」

「なっ、ぎゃあぁっ!?」

 えっ!?
 スプリィムを攻撃してる? どういうこと?
 一体何が起こってるの!?

「なんじゃと!? スプリィムのダークマターを吸収しておるぞ!」

 ダークマターを吸収?
 よく分からないけど、どうして私達じゃなくてスプリィムを……。
 あっ、ちょっと待って!

「スプリィムからダークマターを吸収したら、住民の命も削られちゃうよ!!」

「ふむ……確かに民から削り取ったダークマターも吸収しておる……しかしどうやら、九割方はスプリィムのダークマターを吸収しておるようじゃ。あれならば民の命に支障はないじゃろう」

「ホントに? 絶対に大丈夫だよね?」

「絶対とは言い切れんが……恐らくは大丈夫なはずじゃ」

「あ……あぁ……私の……ダークマター……が……」

 スプリィムのダークマター、すっかり弱くなっちゃってる。
 あんなに強力なダークマターだったのに、完全に吸収されたみたい。

「おお! スプリィムのダークマターが消えたぞ! 拘束も解かれた!」

「うん、私も自由に動ける!」

 とりあえずピンチは脱出した……かな?
 それにしても、どうして私の体はスプリィムからダークマターを吸収したんだろう?
 うーん……そっか、もしかして!

「やっぱり私の体だから、私の味方をしてくれてるのかな? 私にとっての邪魔者はスプリィムだから、スプリィムを攻撃してくれた?」

 うん、きっとそうだよ! 改造されちゃっても私の体だもの。
 悪者の言うことなんて、聞くわけないよね!

「ありがとう私の体! おかげで助かった──」

「邪魔者の排除に必要なダークマター、充填完了しました」

「あ……あれ?」

「これより排除行動に移ります」

 排除行動?
 ちょっと待ってよ! やっぱり敵なの!?

「分かったぞ、そういうことじゃったか!」

「どういうこと? 何を分かったの?」

「奴がスプリィムのダークマターを吸収した理由じゃ。簡単なことじゃ、ワシ等を排除するために必要なダークマターを補充しただけじゃ」

「ダークマターを補充?」

「改造直後でダークマターが不足していたのかもしれんのう」

 なるほど……。
 確かに最初は弱々しいダークマターだった。
 改造直後でダークマターが足りなかったから、必要な分をスプリィムから奪ったってことか。

「でも……だったらどうして、味方なはずのスプリィムからダークマターを吸収したの?」

「“スプリィムからダークマターを吸収するな”と命令されなかったからじゃ。たまたま近くにいたスプリィムから、効率的にダークマターを吸収した、それだけじゃろうな……」

「そんな……機械みたいな……」

「その通り、機械と同じじゃな。兵器とはそういうものじゃ」

 兵器……そっか……。
 私の体、ホントに改造にされちゃったんだね……。

「むっ! ダークマターの圧力があがったぞ、気をつけよ!」

「私も感じる……凄いダークマターだ!」

 この力、スプリィム以上かも。
 相手は私の体なのに、ホントに戦わなくちゃいけないの?

「くるぞ!」

「攻撃、開始します……!」

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