剣聖伝説物語

南川 剣士

第2話 剣聖の日

ー1907年7月18日ー
「……遂にこの日が来てしまった」
なんだか嫌そうな声で机に張り付いてそう言った。そう、7月18日は剣聖の日だからだ。剣聖の日は安息日で、親戚などが三代目剣聖"レン"の家に集まる。
「も、もうこの時期なのね…」
こちらも嫌そうな声で机に張り付いてこの言葉を発した。こっちはリン。レンの妻だ。2人とも変わり者だ。魔力は化け物の域を超えるほどだし、何より性格が悪い。っていうか、2人ともとても仲が良い。悪い意味で。
「もぅ、そんなこと言わないの!せっかくみんなが集まるんだから」
と、2歳の双子の姉に言われた。この子はシオン。とても優しくて可愛い子だ。
「そうだよ!シオンの言う通りだよ!」
かなり大きい声で言われてしまった。この子は双子の妹のスミレ。元気で可愛い子だ。
「騒がしいから嫌なんだよ」
レンはこう言った。シオンは、
「そんな事言ってたら剣聖なんて務まらないよ!」
と、言った。かなり心に刺さる言葉だ。面倒くさいからもういいかと思いながらレンは溜息をつく。
すると、家のチャイムが鳴る。親戚の誰かが来たらしい。レンとリンは、これを無視しようとするが、シオンが出た。
「お邪魔しまーす」
と言って入って来たのは二代目剣聖のキリと、妻のシナだ。この2人がレンの親だ。
「出来るだけ静かにしろよ?いいな?」
どうやらレンはゆっくりしたいらしい。いつもゴロゴロしてるのに……。
「ゴロゴロしすぎで疲れてるんじゃない?」
スミレにかなり良いところを突かれた。確かに間違ってはいない。というか2歳の女の子がこんなに言葉をスラスラ喋れるのはどう考えてもおかしい。でも、この2人はかなり言葉を練習している。恐らく国語の先生ぐらい話せるのでは、、、とか思ったり。
「レンは疲れてないけど私は疲れてるの。」
リンにこう言われてしまった。確かにどう考えてもリンの方が疲れているだろう。レンは職に就いていないけど、リンは小説を書いている。明らかにリンの方が疲れているだろう。
「まぁまぁそんな事言わずに準備進めよーぜ!」
と、キリが言った。この日の夕方に、毎年パーティーが開催される。すぐにシオンとスミレが準備に取り掛かる。飾りをしたり、料理の支度をしたり。相変わらずレンとリンは机でサボっている。
「さ、て、と、始めますかぁ」
と、なんだか面倒くさそうな声でレンが言った。一体何を始めるのだろうか。
「んじゃ、行ってくるわ」
そう言って、レンが二階の部屋に入って行った。
「うん…」
この家に居る全員がそう言った。そして、レンが何かの準備を始めた。それは、リノア王国大戦に現れた、"青年"を迎える準備だった。

コメント

コメントを書く

「戦記」の人気作品

書籍化作品