剣聖伝説物語

南川 剣士

第1話 リノア王国大戦

リノア王国大戦。今までの大戦の中で最も大きな大戦だった。そこで、1人の青年が立ち上がった。
ー1864年7月11日ー
リノア王国。かつて世界一栄えた国と言われていた。国の人口、面積が世界一と言われていた。国の中心には大きな城が建っていて、市場はとても賑やかだ。
「はぁ゛〜」
賑やかな市場に1人大きな溜息をつく青年がいた。市場は賑やかだったので、殆ど誰にも聞こえなかった。
「ねぇねぇお兄ちゃん。どうしたの?」
どうやらすぐそこに座っている少女には聞こえていたらしい。
どう返そうかと迷っていたその瞬間、とても激しい揺れが王国を襲った。その揺れで、市場の商品などは殆どが吹き飛んだ。
青年は、慌てて走り出した。何も考えずに。そこに
「ねえ、何があったの?」
すぐそこに少女がいた事をすっかり忘れていた。青年は少女の手を握って
「死ぬ気で走れ!」
と、大きな声で少女に言った。
その瞬間、大きな爆発音がした。青年は少女の手を離して
「いい?あの大きな城に逃げるんだぞ?」
と言って、青年は城壁の方に走って行った。その背中はとても大きく見えた。
城壁に着くと、そこはまさに地獄であった。次々と殺されていく軍人。燃える森。

6月26日。新種の生物発見。人間を襲う。自然を嫌う。よって、"人間の敵"。

青年は物凄く速いスピードで敵を殺していく。まさに風だ。この世界には4つ魔法の属性が存在する。火、水、風、光。これが今人間が使える魔法の属性だ。でも、この日、5つ目の属性が発見された。闇属性だ。これを使用出来るのはこの日現れた「魔族」と、後に現れる「下上の四人」のみだ。
まさに世界が絶望に晒された。この日初めて見る闇属性の技に対応出来るわけがない。と、誰もが思い込んでいた。でも、青年は戦った。
「な、なんだこいつ!早すぎるだろ!」
魔族がそう言った。無理もない。魔族は逆に言うと人間の使える技を殆ど見てないという事だからだ。
「どうしたお前ら!この程度か?」
と、青年は魔族にも軍人にも言った。
ここで、ほんの数人の軍人が立ち上がり、魔族は叫びながら攻めてくる。
「軍人は城壁の防衛に集中してくれ!」
落ち着いた声で軍人に言った。青年の力は圧倒的だった。軍人は全員が城壁に向かって行った。
「よし、思いっきり暴れられるなぁ」
霞んだ声でこの言葉を発した瞬間、青年の姿が消えた。
次の瞬間、嵐が来た。正確には青年が"作った"嵐だった。魔族は慌てて東に逃げて行った。だが、嵐のスピードが尋常じゃないほど速い。それで、そこら辺にいた魔族は全滅した。
でも、これで問題が解決したわけではない。魔族が他にも居ないという事はないだろうし、リノア王国周辺の森は燃え、国の中さえも燃えている。
すると、急に黒い雲がかかった。豪雨が来た。でも今は好都合。その雨で殆どの火が消えた。とても一瞬に感じたけど、青年は、魔族と3日も戦っていたらしい。
「うわぁめっちゃ時間経ってんじゃん」
普通、1か月程で大戦が完全に終わるが、敵の消滅、火の消火を合わせて1週間で大戦が終わった。リノア王国の軍人が
「あの青年は剣聖だ」
とか言って広めたらしい。だが、その事を知っている人は殆どいない。何故なら、国の面積の5/6が燃え、人口の11/12が、国から消えたからであった。

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