イレギュラー・レゾナンス 〜原初の世界を再び救う為の共振〜
第59話 途中結果発表
「ふぅ、あんまり消費しないで勝ててよかったな」
これまでの意外といい感じの展開に、俺自身も驚きを感じるが、それよりも嬉しみを感じる。
これでシン達の為に貢献できる。
少し上機嫌になり上に上ると、展望台のように出っ張っている部分があったので、そこに立ち、街全体を見渡す。
「……お、この街、6つに分かれてる」
住宅の壁で、6等分に分かれているように見えることに気付いた。
6つってことは…6か国を表してるんかな?
今と『6』言われて思い付くのは、対抗戦に出場している国のことだった。
じゃあ、これらのどこがどの国かを判別する手掛かりがあるはず。
こういう系の勝負は、難しくはあっても、ヒントがないなんて理不尽なことはしない。…………はず。
「サンクテュエール王国と言えばの、目印があるはず」
王国と言えばやっぱ、パラシェル公園とか?
そのパラシェル公園って言えば……王族以外入場が難しい、とか。青焔花、とか。
「うーん……」
どれもピンと来なく、完全にこっから何をすればいいのか分からなくなってしまい、頭を抱える。
「あ……え……?」
そんな時気付いた仕掛けに見えるものに、思わず目を疑ってしまう。
だって、こんな子供っぽくて単純すぎる仕掛けだなんて、信じられな……。
「もしかして、こういう子供っぽい仕掛けがあるから競技名も子供っぽかったってこと?」
思いもしないところのヒントに、流石に嘆息する。
俺の目の前には、夕日が見え隠れしているが、その目前に街の景色があった。
——住宅で巧妙に王の文字が表されている、その街の景色が。
「じゃ、じゃあ、ここがその国を表しているのか。……ならどうせ、その中のパラシェル公園の位置がゴールなんだろうな」
幼稚なその手口に、落胆を隠さないながらも答えが出たゴールの位置へと向かう。
そこからは何もなく、その場所へと着くと光に包まれ、俺の身体は闘技場に強制転移された。
「こんな面倒くさいめんどくさい仕掛け……気付いたの俺が一番最初じゃね?」
言い終わると同時に視界が明瞭になり、視えるものを確認する。
視界には、大勢の観客、それと、制服を着た一人の生徒が見えた。
「あ……なんだ、二番乗りか」
もっと急いでおけば良かったかな。そう後悔したが、あれをすぐに解いたのかと関心もする。
それからどんなすごい人なんだろうと興味を持ち、その人を観察しようとまじまじと見ると、どこか見知った顔だった。
「あれ……サ、サリー!?」
「え? あ、マギアスさん?」
その名を呼ぶと、呼ばれた名の持ち主も俺のことに気付き、名を叫ぶ。
「あ、あの謎、解いたの?」
やはり動揺より、驚きが勝ってしまった。
おっちょこちょいそうなサリーが、こんな短時間であれに気付いたのかと。
「え? えっと、な、謎って?」
「へ?」
謎を解かなければゴールに辿り着けないのに、謎を解いたのかと問うと、意味が分からないという思いを顔に出してきた。
「サリーは、どうやってゴールしたの?」
仕掛けのことを知らないみたいな様子だったので、別ルートでもあったのかと思い、経緯を聞くことにすると、驚くべき回答が返ってきた。
「えっと……迷子になってたらいつの間にかここにいました……」
申し訳なさそうに、まさかの迷子になった結果がこれだと言った。
「は、はぁ!?」
その結果は考えもしていなかったので、客には聞こえない大声を上げた。
「え……えと、その、ごめんなさい!」
「はえ? いや、謝らないでいいよ。ごめんね、声荒げちゃって」
急な大きな声に驚いき、委縮した様子で謝られるが、そうさせてしまったことに罪悪感を抱いてしまい、こっちも謝った。
―――――――――
『障害物競走』のタイムはマギアスと話していた子が25分ほど、マギアスが30分ほどだったが、やはりあの仕掛けにはみんな戸惑ったようで、早くてもマギアスの倍。
遅い人では、3時間くらい経って『流石にやばいか』となって運営が後出ししたヒントにようやく気付き、やっとゴールできた。
競技も終わり、マギアスも選手控室に戻ると、みんな素直にマギアスを褒めちぎった。
「すごいねマギアス君! あれにすぐに気付くなんて!」
「いえ、たまたまですよ」
笑って恥ずかしさを隠すが、少しばかり隠せていないマギアス。
「それでもすごいし!」
「うん! 私も実況さんが仕掛けのことを説明するまで全く気付かなかったよ!」
「私も、ただ障害物を避けながらゴールを目指すものだと思ってました……」
「そこら辺、流石マギアスだよな」
「グッジョブ、マギアス」
「あ、ありがと……」
こんなに褒められるとは露ほども思ってなかったというように照れるマギアス。
「……ねぇ、マギアス」
他のみんながすごいすごいと盛り上がり、こちらには目もくれない状況となった時、そっとマギアスに話しかける。
「ん? どうした?」
さっきまでの参ったような様子は見えなくなり、俺の次の言葉が気になるように待つマギアス。
「雷を防いだ時のあれって、どうやったの?」
「……!」
そう単刀直入に切り出した途端、戦慄したように顔を強張らせる。
俺はあの映像を見た時、俺は自分自身でケリを付けると。
……そう決意した相手が、ふと脳裏に浮かんだ。
あいつと俺達の攻防が拮抗した時、ディザイアの魔法が朽ちていくように消えた。
マギアスが防いだ時の雷の消え方は、心なしか、あれと似ているように思えた。
「……それは……」
次に出す言葉を考える素振りを見せるが、すぐに何かを決めた顔になった。
「ごめん、今はまだ言えない。いつか、ちゃんと言うから」
「……」
気になるけど、詮索はしないでおく。
マギアスだって、俺の前の世界のことを詮索しないでくれているんだから。
「分かった。待ってるよ」
「ごめん」
その時のマギアスの顔は……とても辛そうだった。
―――――――――
『では、今日の予定はこれだけですが、時間が少々ありますので明後日の競技についての説明。そして、代表者選定を、今の時間に行います』
「そういえば、対抗戦ってあと何が残ってるんですか?」
代表対戦の時の実況さんのおかげで、シェル先輩が去年も対抗戦に出場を知ったので、それについて詳しいと思われるシェル先輩に、残り競技について尋ねる。
「えぇ、残りは明後日の競技と、最後の『領域乱戦』だけよ」
「その領域乱戦って、何なんです?」
初めて聞くその言葉の意味が分からず、ついそのことについて聞いた。
「あ、そっか。領域乱戦って言うのは、まず毎年大きな舞台が用意されるの。それこそ、今回の障害物競走に負けず劣らず程のね」
「そ、それはまた豪華な……」
俺達が知らないことに納得した素振りを見せると、まずステージについて説明し、比較に出した街をこの中で一番知っているマギアスが感嘆した。
「そこで代表者全員が街に放たれて、自由に動くの。他の学園代表者を倒すことを目指してね」
なるほど。つまり、デカい街での大乱闘ね。
「で、リーダーを倒したら5ポイント。他は1ポイントだよ。リーダーは、競技前にそれぞれ決めるの。他の学園のリーダーは分からないわ」
なぁるほどぉー……。めんどくさそうだなぁ。
「領域乱戦だけが唯一、毎年行われる対抗戦の種目なの」
『あ、申し訳ありません。その前に、現状でのポイントを発表させていただきます』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
「ソルセルリ―!!」
「やっぱり弐凛姉妹のいるディアライトよー!!」
「リュギアー!!」
「クリアッ!!」
「セイミナス!!」
「姫のいるフェラスだよ!!」
『えーっ、皆様希望がおありだと思いますが、順に、発表致しますのでご静粛に』
声がみんなに届くようにするため、様々な声援を制御し闘技場内を静かにして、発表に万全の準備をする。
『まずはクリア学園……6ポイント!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
……なんか微妙な点数なのに、観客ノリいいな。
でも、どの学園にもファンは大勢いるから、それぞれに歓声が上がるのは当然か。
『セイミナス学園……7ポイント!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
『ここからは点数から発表していきます。同じく7ポイント……リュギア学園!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
『9ポイント……フェラス学園!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
『そして10ポイント……ディアライト学園!』
「「おおぉぉぉぉ!!!」」
『最後はやはり王者の所以! 13ポイント! ソルセルリ―学園ッ!!』
「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」
流石……今までよりも一層と歓声が大きいな。
呆れ半分、恥ずかしさ半分で、皮肉を心の中で呟く。
これまでの意外といい感じの展開に、俺自身も驚きを感じるが、それよりも嬉しみを感じる。
これでシン達の為に貢献できる。
少し上機嫌になり上に上ると、展望台のように出っ張っている部分があったので、そこに立ち、街全体を見渡す。
「……お、この街、6つに分かれてる」
住宅の壁で、6等分に分かれているように見えることに気付いた。
6つってことは…6か国を表してるんかな?
今と『6』言われて思い付くのは、対抗戦に出場している国のことだった。
じゃあ、これらのどこがどの国かを判別する手掛かりがあるはず。
こういう系の勝負は、難しくはあっても、ヒントがないなんて理不尽なことはしない。…………はず。
「サンクテュエール王国と言えばの、目印があるはず」
王国と言えばやっぱ、パラシェル公園とか?
そのパラシェル公園って言えば……王族以外入場が難しい、とか。青焔花、とか。
「うーん……」
どれもピンと来なく、完全にこっから何をすればいいのか分からなくなってしまい、頭を抱える。
「あ……え……?」
そんな時気付いた仕掛けに見えるものに、思わず目を疑ってしまう。
だって、こんな子供っぽくて単純すぎる仕掛けだなんて、信じられな……。
「もしかして、こういう子供っぽい仕掛けがあるから競技名も子供っぽかったってこと?」
思いもしないところのヒントに、流石に嘆息する。
俺の目の前には、夕日が見え隠れしているが、その目前に街の景色があった。
——住宅で巧妙に王の文字が表されている、その街の景色が。
「じゃ、じゃあ、ここがその国を表しているのか。……ならどうせ、その中のパラシェル公園の位置がゴールなんだろうな」
幼稚なその手口に、落胆を隠さないながらも答えが出たゴールの位置へと向かう。
そこからは何もなく、その場所へと着くと光に包まれ、俺の身体は闘技場に強制転移された。
「こんな面倒くさいめんどくさい仕掛け……気付いたの俺が一番最初じゃね?」
言い終わると同時に視界が明瞭になり、視えるものを確認する。
視界には、大勢の観客、それと、制服を着た一人の生徒が見えた。
「あ……なんだ、二番乗りか」
もっと急いでおけば良かったかな。そう後悔したが、あれをすぐに解いたのかと関心もする。
それからどんなすごい人なんだろうと興味を持ち、その人を観察しようとまじまじと見ると、どこか見知った顔だった。
「あれ……サ、サリー!?」
「え? あ、マギアスさん?」
その名を呼ぶと、呼ばれた名の持ち主も俺のことに気付き、名を叫ぶ。
「あ、あの謎、解いたの?」
やはり動揺より、驚きが勝ってしまった。
おっちょこちょいそうなサリーが、こんな短時間であれに気付いたのかと。
「え? えっと、な、謎って?」
「へ?」
謎を解かなければゴールに辿り着けないのに、謎を解いたのかと問うと、意味が分からないという思いを顔に出してきた。
「サリーは、どうやってゴールしたの?」
仕掛けのことを知らないみたいな様子だったので、別ルートでもあったのかと思い、経緯を聞くことにすると、驚くべき回答が返ってきた。
「えっと……迷子になってたらいつの間にかここにいました……」
申し訳なさそうに、まさかの迷子になった結果がこれだと言った。
「は、はぁ!?」
その結果は考えもしていなかったので、客には聞こえない大声を上げた。
「え……えと、その、ごめんなさい!」
「はえ? いや、謝らないでいいよ。ごめんね、声荒げちゃって」
急な大きな声に驚いき、委縮した様子で謝られるが、そうさせてしまったことに罪悪感を抱いてしまい、こっちも謝った。
―――――――――
『障害物競走』のタイムはマギアスと話していた子が25分ほど、マギアスが30分ほどだったが、やはりあの仕掛けにはみんな戸惑ったようで、早くてもマギアスの倍。
遅い人では、3時間くらい経って『流石にやばいか』となって運営が後出ししたヒントにようやく気付き、やっとゴールできた。
競技も終わり、マギアスも選手控室に戻ると、みんな素直にマギアスを褒めちぎった。
「すごいねマギアス君! あれにすぐに気付くなんて!」
「いえ、たまたまですよ」
笑って恥ずかしさを隠すが、少しばかり隠せていないマギアス。
「それでもすごいし!」
「うん! 私も実況さんが仕掛けのことを説明するまで全く気付かなかったよ!」
「私も、ただ障害物を避けながらゴールを目指すものだと思ってました……」
「そこら辺、流石マギアスだよな」
「グッジョブ、マギアス」
「あ、ありがと……」
こんなに褒められるとは露ほども思ってなかったというように照れるマギアス。
「……ねぇ、マギアス」
他のみんながすごいすごいと盛り上がり、こちらには目もくれない状況となった時、そっとマギアスに話しかける。
「ん? どうした?」
さっきまでの参ったような様子は見えなくなり、俺の次の言葉が気になるように待つマギアス。
「雷を防いだ時のあれって、どうやったの?」
「……!」
そう単刀直入に切り出した途端、戦慄したように顔を強張らせる。
俺はあの映像を見た時、俺は自分自身でケリを付けると。
……そう決意した相手が、ふと脳裏に浮かんだ。
あいつと俺達の攻防が拮抗した時、ディザイアの魔法が朽ちていくように消えた。
マギアスが防いだ時の雷の消え方は、心なしか、あれと似ているように思えた。
「……それは……」
次に出す言葉を考える素振りを見せるが、すぐに何かを決めた顔になった。
「ごめん、今はまだ言えない。いつか、ちゃんと言うから」
「……」
気になるけど、詮索はしないでおく。
マギアスだって、俺の前の世界のことを詮索しないでくれているんだから。
「分かった。待ってるよ」
「ごめん」
その時のマギアスの顔は……とても辛そうだった。
―――――――――
『では、今日の予定はこれだけですが、時間が少々ありますので明後日の競技についての説明。そして、代表者選定を、今の時間に行います』
「そういえば、対抗戦ってあと何が残ってるんですか?」
代表対戦の時の実況さんのおかげで、シェル先輩が去年も対抗戦に出場を知ったので、それについて詳しいと思われるシェル先輩に、残り競技について尋ねる。
「えぇ、残りは明後日の競技と、最後の『領域乱戦』だけよ」
「その領域乱戦って、何なんです?」
初めて聞くその言葉の意味が分からず、ついそのことについて聞いた。
「あ、そっか。領域乱戦って言うのは、まず毎年大きな舞台が用意されるの。それこそ、今回の障害物競走に負けず劣らず程のね」
「そ、それはまた豪華な……」
俺達が知らないことに納得した素振りを見せると、まずステージについて説明し、比較に出した街をこの中で一番知っているマギアスが感嘆した。
「そこで代表者全員が街に放たれて、自由に動くの。他の学園代表者を倒すことを目指してね」
なるほど。つまり、デカい街での大乱闘ね。
「で、リーダーを倒したら5ポイント。他は1ポイントだよ。リーダーは、競技前にそれぞれ決めるの。他の学園のリーダーは分からないわ」
なぁるほどぉー……。めんどくさそうだなぁ。
「領域乱戦だけが唯一、毎年行われる対抗戦の種目なの」
『あ、申し訳ありません。その前に、現状でのポイントを発表させていただきます』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
「ソルセルリ―!!」
「やっぱり弐凛姉妹のいるディアライトよー!!」
「リュギアー!!」
「クリアッ!!」
「セイミナス!!」
「姫のいるフェラスだよ!!」
『えーっ、皆様希望がおありだと思いますが、順に、発表致しますのでご静粛に』
声がみんなに届くようにするため、様々な声援を制御し闘技場内を静かにして、発表に万全の準備をする。
『まずはクリア学園……6ポイント!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
……なんか微妙な点数なのに、観客ノリいいな。
でも、どの学園にもファンは大勢いるから、それぞれに歓声が上がるのは当然か。
『セイミナス学園……7ポイント!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
『ここからは点数から発表していきます。同じく7ポイント……リュギア学園!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
『9ポイント……フェラス学園!』
「「おおぉぉぉぉ!!」」
『そして10ポイント……ディアライト学園!』
「「おおぉぉぉぉ!!!」」
『最後はやはり王者の所以! 13ポイント! ソルセルリ―学園ッ!!』
「「うおおぉぉぉぉ!!!!」」
流石……今までよりも一層と歓声が大きいな。
呆れ半分、恥ずかしさ半分で、皮肉を心の中で呟く。
「ファンタジー」の人気作品
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