イレギュラー・レゾナンス 〜原初の世界を再び救う為の共振〜
第19話 シンの賭け
「そっかそっか。シンもいっぱい成長してるんだよねー」
付いた埃を払い、立ち上がりながらそう言った。
「じゃあ、改めて、ラウンド2と行きますか」
「だな」
俺の言葉をスイッチに、両者集中し直す。
俺が影纏いを使うとしたら、レイはすぐに光を出してくるだろう。なら冰纏いを使えばいい話だが、俺は影纏いの方が使い慣れている。つまり、影纏いの方が慣れてるし、 威力も高いということだ。
使い慣れていない冰纏いではレイを倒すことは厳しいだろう。それくらいは俺でも分かる。
なら、隙を作るしかない。
「雷纏い肆ノ型 百雷《ひゃくらい》の業《ごう》!」
天から俺に向かって雷が落ちてくる。
「冰纏い参ノ型 轟天華《ごうてんか》!」
地から天へ1つの冰槍が伸びゆく。
まるで雷の槍と冰の槍のぶつかり合いだな。
結果は同等。相打ちだ。
良かったー。こっち負けると思ったわ。
今度は標的をレイに定め、
「冰纏い参ノ型 滅冰泉《めっひょうせん》」
地面から無数の冰槍が伸びる。轟天華《ごうてんか》との違いはまずは、1つの大きさ。轟天華《ごうてんか》は1つが大きいが滅冰泉《めっひょうせん》は1つはそこまで大きくはない。1mくらいだ。
その次に1つの槍の強さ。滅冰泉のそれは轟天華《ごうてんか》よりは脆い。決して威力がないという訳では無いが。轟天華《ごうてんか》よりは脆いというだけだ。
最後に攻撃範囲。轟天華《ごうてんか》は1点集中攻撃だが滅冰泉《めっひょうせん》は範囲攻撃だ。
レイは跳躍でそれを躱す。
…………あ。やばいこれ色々と見えてしまう。
ソルセルリー学園の女子の制服はスカートだ。だからまぁ、跳んだら見えるよな……。
観覧席は高い位置にあるからみんなには見えていないと思うが。
俺はそのことを必死に考えないようにしながら技を繰り出す。
「……冰纏い漆ノ型 冰絶《ひょうぜつ》一閃《いっせん》!」
「雷豪 剣《つるぎ》の形《けい》!」
レイは防御をしたが、体勢を崩す。
あ、できた。隙だ。
ただの影纏いじゃレイを倒せないだろうからな。ここは賭けよう。
まだ成功率は5回に1回成功したら良い方だ。
「影纏い 玖《きゅう》ノ型《かた》! か……」
「はあぁぁ!!」
玖ノ型を繰り出そうとしたその時、レイが攻撃をしてきた。
いや、ただ魔力をそのままぶっ放しただけだから攻撃なのかは謎だが。
でも空中にいる俺にはそれだけで十分だったようだ。思いっきり体勢を崩してしまった。これじゃ絶対成功できないな。
ちっ。また隙狙わなきゃいけないのか……。めんど……。
俺は着地し、どうやって隙を作ろうか考える。
「シン! これ受けてみてねー」
うん? なんだ?
「雷纏い、光纏い 捌ノ型!」
うわ、めちゃくちゃやな予感!
「八咫烏《やたがらす》!!」
ほらぁ! 何2つの纏い同時発動って。うざ!
まぁ、共振武器2つっていうレイだからできるんだろうけど。でも纏い同時発動って絶対魔力操作かなりのもの要求されるよな。
……純粋にすげぇ。
って感心してる場合じゃねぇ。
全部で16個の弾丸なんだよな……。
あ、いいこと思いついた。レイと同じことすればいいんだ。
「カスレフティス・ディミオルゴ!」
これ言いにく!
俺の魔法で鏡が前に創造される。その鏡によって光纏いの八咫烏は反射してレイの所へ。
雷の方は俺が相殺。
「冰纏い捌ノ型 八咫烏《やたがらす》」
……ふぅ、焦ったー。
レイは自分の八咫烏が直撃してダメージを負う。
「うあっ!」
もうちょいあからさまな隙を作ろう。分かってても防げないような。
その為に俺はすぐに追撃する。
「冰絶一閃!」
「……雷豪 剣《つるぎ》の形《けい》!」
レイは目の前に剣を作り防御するが、苦し紛れに作ったものだったのですぐに俺が押し勝ち、レイのもとに余波が届く。
レイはそれで更に体勢を崩す。
……ここで行こう!
頼む。ほんとに成功してくれよ……!
「影纏い 玖《きゅう》ノ型!」
レイはまだ全く反応出来ていない。
目線はこっちを見ている。どうやら反応することは出来ないと悟ったようで、失敗することを懇願しているようだ。
……でも残念だな。よく分からないが、俺の勘が成功すると確信している。
「影鰐《かげわに》!!」
刀から前方向に広範囲に影が広がる。そして、俺が刀を振り抜くのと同時に影がその範囲全てを打ち付けた。
この影鰐は、広範囲だが1点1点の威力もすごい。俺が今使える型のどの攻撃も凌駕するほどの威力だ。1点でさえも。
……そうだ。レイ、大丈夫かな? 闘いに夢中になってたけど、あっちも相当傷を負ってるはず。更に最後の影鰐も直撃したし……。
不安な気持ちを抑えながらもレイのいた場所を見る。
すると、そこにはエクセレトス先生が立っていた。片手を上げて前に突き出した格好をしたエクセレトス先生が。
よく見たらバリアのようなものが見える。どうやらエクセレトス先生がガードしてくれたようだ。
レイはその後ろで倒れている。
「……シンの勝ちだな」
俺はレイのそばに駆け寄り、レイの様子を確認する。
……良かった。気は失ってるけど大丈夫そうだ。
「お前ら、見違えるほど強くなってんな」
「まぁ、プロットに鍛えてもらいましたからね」
少し笑いながら答える。
「なるほど。四天王直々に。そりゃすごい体験してんな」
確かに。今頃だけど俺たち国で4番目に強い人に鍛えてもらってたんだよな。
「とりあえず早く治療しなきゃな。こんくらいだったら俺の魔法ですぐに癒えるだろ」
そう言って俺とレイの2人に回復魔法を施《ほどこ》し、魔力を分け与えた。
俺たち2人の魔力をすぐに全回復させても平気って先生どんだけ魔力あるんだろ。さっきもザックと俺にも同じことしてたし。
つか俺、先生に世話になりすぎだろ……。
1週間ちょいしか経ってないのに3回もか。
……自重しよう。
「そいえばシン」
「はい?」
「お前今魔力量どうなってる?」
あーそういえば最近スキルカード見てないな。
えーどれどれ?
―――――――――
サクライ シン
魔力量:23000/23000
スキル
・影帝
・言語理解
・自由自在
―――――――――
お、なんかスキル増えてる。確かこれプロットも持ってたよな?
てか魔力量上がりすぎじゃね!?
前確か8000くらいじゃなかったか?すごいなー俺の成長速度。
一般成人30人分も成長した。
「ほぉ、自由自在持ってんのか」
「あ、そうみたいですね。俺も今気付いたんですけど」
「自由自在は伝説級のスキルだぜ? 操魔法が紙を少し動かすくらいしか出来なくてもそれを持ってたらでかい岩石10個同時に操るのも簡単に出来るくらいの効果があるやつ」
何それすごっ!
「なんでも魔法も少し操れるらしいぞ?」
「おぉ」
「ってこんなこと話してないでそこでずっと気失ってるレイ早く保健室連れてけ。場所は分かるだろ?」
「はい」
そう言って俺はレイをお姫様だっこして保健室に連れていく。
レイ軽っ! あれ、こんな軽かったか? こいつ。あ、元々軽かったけどこっち来て鍛えるようになったからそう感じるのか。
ていうか……学園の保健室ってことは、あの先生いるんだよな……あのからかってきた人……えーっと名前は……あれ、なんだっけ? やべ、忘れちった。んーとー……。
などと考えている間にもう保健室に着いてしまった。
あ。問題発生。ドア開けられない……。
レイを床に置けばいいんだろうけど可哀想だしな。どうしよ。
と、ドアの前で悩んでいると突然後ろから誰かがドアに手を掛け、そのまま開けた。
気になって後ろを見ると、
「よっシン。俺らも心配だから着いてきたぜ」
ザックを先頭に、Sクラス生全員揃っていた。
「ありがとう」
笑いながら礼を言い、保健室の中に入る。
「あら、どうしたの?」
セラピアというネームプレートを胸に、白衣を着た翠髪翠眼の人が不思議そうに聞いてくる。
あ、セラピア先生だ。
「レイが模擬戦で気を失ったから寝かせに来たんです」
「えっとあなた達は確かSクラスよね。だったら確か教師はエクスね。ならもう回復はしてるはずだから……うん、寝かせていいわよ」
「あ、はい」
レイをベッドに寝かせる。
「えっと、エクス?」
「あぁ、エクセレトス、あだ名でエクスよ。私達同級生だから」
「そうなんですか」
「僕達の間でも先生はエクス先生って呼ばれてるんだよ」
アレクが教えてくれる。
「そうなのか。じゃあ俺もこれからそうしよ」
先生の名前ちょっと長くて少し疲れると思ってたし。
「……ん」
その時、レイの意識が戻った。
付いた埃を払い、立ち上がりながらそう言った。
「じゃあ、改めて、ラウンド2と行きますか」
「だな」
俺の言葉をスイッチに、両者集中し直す。
俺が影纏いを使うとしたら、レイはすぐに光を出してくるだろう。なら冰纏いを使えばいい話だが、俺は影纏いの方が使い慣れている。つまり、影纏いの方が慣れてるし、 威力も高いということだ。
使い慣れていない冰纏いではレイを倒すことは厳しいだろう。それくらいは俺でも分かる。
なら、隙を作るしかない。
「雷纏い肆ノ型 百雷《ひゃくらい》の業《ごう》!」
天から俺に向かって雷が落ちてくる。
「冰纏い参ノ型 轟天華《ごうてんか》!」
地から天へ1つの冰槍が伸びゆく。
まるで雷の槍と冰の槍のぶつかり合いだな。
結果は同等。相打ちだ。
良かったー。こっち負けると思ったわ。
今度は標的をレイに定め、
「冰纏い参ノ型 滅冰泉《めっひょうせん》」
地面から無数の冰槍が伸びる。轟天華《ごうてんか》との違いはまずは、1つの大きさ。轟天華《ごうてんか》は1つが大きいが滅冰泉《めっひょうせん》は1つはそこまで大きくはない。1mくらいだ。
その次に1つの槍の強さ。滅冰泉のそれは轟天華《ごうてんか》よりは脆い。決して威力がないという訳では無いが。轟天華《ごうてんか》よりは脆いというだけだ。
最後に攻撃範囲。轟天華《ごうてんか》は1点集中攻撃だが滅冰泉《めっひょうせん》は範囲攻撃だ。
レイは跳躍でそれを躱す。
…………あ。やばいこれ色々と見えてしまう。
ソルセルリー学園の女子の制服はスカートだ。だからまぁ、跳んだら見えるよな……。
観覧席は高い位置にあるからみんなには見えていないと思うが。
俺はそのことを必死に考えないようにしながら技を繰り出す。
「……冰纏い漆ノ型 冰絶《ひょうぜつ》一閃《いっせん》!」
「雷豪 剣《つるぎ》の形《けい》!」
レイは防御をしたが、体勢を崩す。
あ、できた。隙だ。
ただの影纏いじゃレイを倒せないだろうからな。ここは賭けよう。
まだ成功率は5回に1回成功したら良い方だ。
「影纏い 玖《きゅう》ノ型《かた》! か……」
「はあぁぁ!!」
玖ノ型を繰り出そうとしたその時、レイが攻撃をしてきた。
いや、ただ魔力をそのままぶっ放しただけだから攻撃なのかは謎だが。
でも空中にいる俺にはそれだけで十分だったようだ。思いっきり体勢を崩してしまった。これじゃ絶対成功できないな。
ちっ。また隙狙わなきゃいけないのか……。めんど……。
俺は着地し、どうやって隙を作ろうか考える。
「シン! これ受けてみてねー」
うん? なんだ?
「雷纏い、光纏い 捌ノ型!」
うわ、めちゃくちゃやな予感!
「八咫烏《やたがらす》!!」
ほらぁ! 何2つの纏い同時発動って。うざ!
まぁ、共振武器2つっていうレイだからできるんだろうけど。でも纏い同時発動って絶対魔力操作かなりのもの要求されるよな。
……純粋にすげぇ。
って感心してる場合じゃねぇ。
全部で16個の弾丸なんだよな……。
あ、いいこと思いついた。レイと同じことすればいいんだ。
「カスレフティス・ディミオルゴ!」
これ言いにく!
俺の魔法で鏡が前に創造される。その鏡によって光纏いの八咫烏は反射してレイの所へ。
雷の方は俺が相殺。
「冰纏い捌ノ型 八咫烏《やたがらす》」
……ふぅ、焦ったー。
レイは自分の八咫烏が直撃してダメージを負う。
「うあっ!」
もうちょいあからさまな隙を作ろう。分かってても防げないような。
その為に俺はすぐに追撃する。
「冰絶一閃!」
「……雷豪 剣《つるぎ》の形《けい》!」
レイは目の前に剣を作り防御するが、苦し紛れに作ったものだったのですぐに俺が押し勝ち、レイのもとに余波が届く。
レイはそれで更に体勢を崩す。
……ここで行こう!
頼む。ほんとに成功してくれよ……!
「影纏い 玖《きゅう》ノ型!」
レイはまだ全く反応出来ていない。
目線はこっちを見ている。どうやら反応することは出来ないと悟ったようで、失敗することを懇願しているようだ。
……でも残念だな。よく分からないが、俺の勘が成功すると確信している。
「影鰐《かげわに》!!」
刀から前方向に広範囲に影が広がる。そして、俺が刀を振り抜くのと同時に影がその範囲全てを打ち付けた。
この影鰐は、広範囲だが1点1点の威力もすごい。俺が今使える型のどの攻撃も凌駕するほどの威力だ。1点でさえも。
……そうだ。レイ、大丈夫かな? 闘いに夢中になってたけど、あっちも相当傷を負ってるはず。更に最後の影鰐も直撃したし……。
不安な気持ちを抑えながらもレイのいた場所を見る。
すると、そこにはエクセレトス先生が立っていた。片手を上げて前に突き出した格好をしたエクセレトス先生が。
よく見たらバリアのようなものが見える。どうやらエクセレトス先生がガードしてくれたようだ。
レイはその後ろで倒れている。
「……シンの勝ちだな」
俺はレイのそばに駆け寄り、レイの様子を確認する。
……良かった。気は失ってるけど大丈夫そうだ。
「お前ら、見違えるほど強くなってんな」
「まぁ、プロットに鍛えてもらいましたからね」
少し笑いながら答える。
「なるほど。四天王直々に。そりゃすごい体験してんな」
確かに。今頃だけど俺たち国で4番目に強い人に鍛えてもらってたんだよな。
「とりあえず早く治療しなきゃな。こんくらいだったら俺の魔法ですぐに癒えるだろ」
そう言って俺とレイの2人に回復魔法を施《ほどこ》し、魔力を分け与えた。
俺たち2人の魔力をすぐに全回復させても平気って先生どんだけ魔力あるんだろ。さっきもザックと俺にも同じことしてたし。
つか俺、先生に世話になりすぎだろ……。
1週間ちょいしか経ってないのに3回もか。
……自重しよう。
「そいえばシン」
「はい?」
「お前今魔力量どうなってる?」
あーそういえば最近スキルカード見てないな。
えーどれどれ?
―――――――――
サクライ シン
魔力量:23000/23000
スキル
・影帝
・言語理解
・自由自在
―――――――――
お、なんかスキル増えてる。確かこれプロットも持ってたよな?
てか魔力量上がりすぎじゃね!?
前確か8000くらいじゃなかったか?すごいなー俺の成長速度。
一般成人30人分も成長した。
「ほぉ、自由自在持ってんのか」
「あ、そうみたいですね。俺も今気付いたんですけど」
「自由自在は伝説級のスキルだぜ? 操魔法が紙を少し動かすくらいしか出来なくてもそれを持ってたらでかい岩石10個同時に操るのも簡単に出来るくらいの効果があるやつ」
何それすごっ!
「なんでも魔法も少し操れるらしいぞ?」
「おぉ」
「ってこんなこと話してないでそこでずっと気失ってるレイ早く保健室連れてけ。場所は分かるだろ?」
「はい」
そう言って俺はレイをお姫様だっこして保健室に連れていく。
レイ軽っ! あれ、こんな軽かったか? こいつ。あ、元々軽かったけどこっち来て鍛えるようになったからそう感じるのか。
ていうか……学園の保健室ってことは、あの先生いるんだよな……あのからかってきた人……えーっと名前は……あれ、なんだっけ? やべ、忘れちった。んーとー……。
などと考えている間にもう保健室に着いてしまった。
あ。問題発生。ドア開けられない……。
レイを床に置けばいいんだろうけど可哀想だしな。どうしよ。
と、ドアの前で悩んでいると突然後ろから誰かがドアに手を掛け、そのまま開けた。
気になって後ろを見ると、
「よっシン。俺らも心配だから着いてきたぜ」
ザックを先頭に、Sクラス生全員揃っていた。
「ありがとう」
笑いながら礼を言い、保健室の中に入る。
「あら、どうしたの?」
セラピアというネームプレートを胸に、白衣を着た翠髪翠眼の人が不思議そうに聞いてくる。
あ、セラピア先生だ。
「レイが模擬戦で気を失ったから寝かせに来たんです」
「えっとあなた達は確かSクラスよね。だったら確か教師はエクスね。ならもう回復はしてるはずだから……うん、寝かせていいわよ」
「あ、はい」
レイをベッドに寝かせる。
「えっと、エクス?」
「あぁ、エクセレトス、あだ名でエクスよ。私達同級生だから」
「そうなんですか」
「僕達の間でも先生はエクス先生って呼ばれてるんだよ」
アレクが教えてくれる。
「そうなのか。じゃあ俺もこれからそうしよ」
先生の名前ちょっと長くて少し疲れると思ってたし。
「……ん」
その時、レイの意識が戻った。
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