異世界転生した悪役魔女のリセットライフ

如月ゆかり

第九章 勝負

図書室に入るとそこには私の思ってた通り、メルリちゃんが椅子に座って静かに本を読んでいた。


メルリちゃん以外、他に人が見当たらないな。


私は、メルリちゃんに見つからないように距離を縮めようと一歩ずつ足音を立てないように歩き出した。




だけど、彼女が気付かない筈がなかった。




「そこで、何をしてるの?ストーカーさん。」


「ストーカー!?」


「ずっと、私の事をつけてたでしょ」




気付いてたの!?それで逃げてたからずっと会わなかったのかな。




「私に何か用?」




気付いてたのなら仕方ない。当たって砕けろだよ!




「メルリ・オーズレッドさん、私とお友達になってください!」


「ストーカーさんとお友達にはなりたくないかな」


「ストーカーじゃないよ!」


「後をつけといて?名前も教えた覚えないんだけど」




うっ、何も言い返せない...。


確かに後をつけてたのも事実だし、名前をつい呼んじゃった私が悪いけど...。




「そんなに私とお友達になりたい?」




えっ、もしかして願い叶っちゃう?


メルリちゃんの問いかけに私は思いっきり頷いた。




「そう、なら...私と勝負して」




え、勝負?




「ここじゃあれだし、場所変えるよ」




えっと、ついてこいって事だよね。


ここが図書室なのを忘れて駆け足で図書室から出るとある場所に向かうメルリちゃんを慌てて追い掛けた。






メルリちゃんの後ろをずっとつけてると、人が通らないであろう森についた。


早く用件を済まさないと熊が出てきて襲われるかもしれない。




「メルリちゃん、こんなとこに何しに来たの?」


「人がこんな森の奥に来るわけがないよね。だから、何しても良いわけだ。」




え、どういう意味!?


メルリちゃんは悪役の様にニヤリと意地悪そうな笑みを浮かべながらこちらを見ていた。


この瞬間だけはメルリちゃんの方が悪役魔女にピッタリだよ。




「さぁ、やろうか。」




やるって何を!?


もしかして、殺し合いか何か!?




「いい、命だけは勘弁を!!」


「...何を言ってるの?」




メルリちゃんは不審者を見る目で私に何かを差し出してきた。良く見るとメルリちゃんの手にはほうきが二本握られていた。




「お互いが魔女だからこそ出来る勝負があるでしょ?」




魔女同士の勝負?


良く分かっていない私にメルリちゃんは溜め息を溢して告げた。




「私と、ほうきスピード対決して。」


「ほうきスピード対決?」


「魔女ならほうきに乗って空を飛ぶのは当たり前だよね。だからね、ここからほうきに乗ってこの広い森を一番に抜けた人の勝ちってルールで勝負しよ。」




ちょっと待って。


それって、私大ピンチじゃない!?


私の見た目は魔女、ミッシェルだけど私の中には少しもミッシェルの要素が入ってないのに!


でもそんな事言えないし...。だからって、このまま勝負してもすぐにバレるし。




「やんないの?」




どうしようかと苦悩している私にメルリちゃんが目を細めてボソりと言った。


その表情には苛立ちが表れていた。




「や、やります!やらせてください!!」




これ以上怒らせると本当に殺られそう。


まぁ、なんとかなるよね。




「じゃあ、始めるよ。」




メルリちゃんの合図とともにほうきに力を入れた。


大丈夫、なんとかなるよ。




お願い、飛んで───!!




私の願いが通じたのか、ほうきは私を乗せて宙に浮いた。


良かった、これならなんとか勝負出来そう...そう思ったのも束の間、私を乗せたままほうきが猛スピードで走り出した。


そのスピードはメルリちゃんのほうきをも上回っていた。




このままじゃ、落ちる!!




全然止まる気のないほうきに振り落とされないように掴まってるのが精一杯だ。




そして気付いた時にはもう、森を抜け出していた。


だけどほうきは一方に止まる気配がない。


それよりもどんどん上へ上へと昇ろうとしていた。




どこまで昇る気!?


これ以上、掴まってるの無理だよ...。


でも落ちたら一瞬で終わるじゃん。


だ、誰か...助けて。




「ほんと、世話の掛かる子だよね。」


「メルリちゃん!」




横を見るといつの間に追い付いたのか、メルリちゃんが呆れ顔で手を差し伸べていた。


掴まれって事だよね。


メルリちゃんの手に恐る恐る掴まると一瞬で下まで降りることが出来た。




メルリちゃんは凄いな。自由奔放なほうきをあんな簡単に扱えるだなんて。




「ねぇ、あなた本当に魔女?」


「な、なんで?」




メルリちゃんにそう言われた時、一瞬時が止まった気がした。


まさかそんな事を言われるとは思ってなかった。


やっぱ魔女だからこそ異変に気付いたのかな。




「ほうきがあなたを拒絶してるの。こんな事、初めて。」




さっきよりも冷たいメルリちゃんの眼差しに私は息を呑んだ。




「あなた、何者?」




どうしよ、なんて答えたらいいの?






バレたら一瞬で...バッドエンドだ───!!



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