黒鎧の救世主

木嶋隆太

第十五話 ワイルドベアー

 頭を軽く叩かれる。弱い衝撃だったが、元々浅い睡眠だったのですぐに目が覚めた。頭を振りながら寝ぼけた頭を起こす。こんな場所で熟睡できるわけがない。体を起こすと、正座したプラムがこちらへ感情の映らない瞳を向けている。


「無用心に寝すぎ。寝ながらも警戒を怠らないで」
「寝ながら警戒するって無理すぎるだろ」
「脳の半分を起こしておくの」
「プラムはできるのか? やってみてくれよ。俺は人間なの、そんなこと出来るか」
「……どう?」


 プラムが両目を閉じて、小首をかしげる。


「やったのか?」
「うん」
「……証明できないぞ」
「感じて」
(無理言わないでくれ)


 適当にあしらってから智也は立ち上がり、ひびが入った窓から外を眺める。すっかり闇に染まっている。
 これから塔迷宮に行くことを思い出し、気分はあがらないまま寝室から移動する。
 エフルバーグたちとなど、塔迷宮に行きたくない。食事を取った部屋では、エフルバーグが部屋の壁によりかかっていた。


「起きたか」


 エフルバーグが近づいてくる。ただ、歩くだけにもかかわらず壁が迫るような圧力があり、智也は反射的に逃げようと後退して壁にぶつかる。慌てるように壁へと視線を映した瞬間に、頭をわしづかみにされてしまう。骨が軋むような音、痛みが襲い智也は拳を振り上げる。


「離せ、よっ!」


 腕を叩こうとするが、その前に異変が起こる。鼓動が早まるように心臓が一つ音をあげる。脳の中をかき回された、気がした。一瞬の間に様々な記憶が通り過ぎ、気づけば智也はめまいに膝をおり、片手を地面につける。息が乱れ、吐き気に近い気持ち悪さが体を巡る。


「なに、をしたんだよ……?」


 様々な記憶が脳の中を駆け回りながらも、智也は顔をあげてエフルバーグへ敵意をむき出しにする。頭痛と酔いにより、視界はぐるぐるとおかしくなっている。


「お前のためになることだ。さっさと用意しろ」


 エフルバーグは先に外に出る。プラムが片手を差し出してくれたので、智也は手を掴む。


「大丈夫?」
「あいつは、何をしたんだ?」


 ようやく治まってきて、数回呼吸をして整える。


「……わからない。ただ、危害は加えていないはず」
「脳の中をかき回されたみたいな感覚だったんだけど。これって十分な被害だろ」
「見た感じわからないから」
「ばれなきゃ何してもいいってか」
「当たり前」


 いい性格してるなと智也は嫌味を言ってやるが「ありがとう」と返されてしまう。会話をしていると、先ほどの不快な感覚も完全になくなった――本当になんだったんだ?
 用意するモノはないので、服についた埃を払ってから外に出る。こんな国にも月の明かりは等しく街を照らしている。むしろここでは街灯などは少ないので、明かりは月が頼りだ。
 外に出ると、腕を組んだクリュが壁に寄りかかっている。その胸は薄く、腕を組んでいるにもかかわらずどこが胸か分からない。
 プラムはすぐにエフルバーグの横に並んでしまう。


「お前も来るんだな」
「いたら悪い?」
「別に、頼もしいね」
「殺意を向けてる相手によくそんなこといえるわね」
「え? 向けてるのか?」
「間抜け」


 智也は苦笑いを浮かべながらも、どこか余裕げにエフルバーグへ近寄る。クリュ、プラムは共にエフルバーグの命令を聞いている。
 少なくともエフルバーグに嫌われない限り、自分の命は安全だと考えている。それでも、エフルバーグはムカつくのだが。
 智也は話しにくかったが、これからのことを想像するためにエフルバーグの背中に質問を投げる。


「これから、塔迷宮だよな?」
「わかっていることを訊ねるな」
「何の用があるんだよ。それぐらい教えてくれてもいいだろ」
「お前を鍛えるだけだ」


 抽象的な言い方に腹が立ち、智也は小石を蹴り飛ばした。


「……なに」
「いや、なんでもございません」


 小石がプラムの靴にぶつかり睨まれてしまい、智也は体を小さくする。
 ここ最近ついていないなと地面を見ながら歩き続ける。
 北の国に街の概念はない。それでも、昔はそこそこマシな街であったことを証明するように、崩れ落ちた看板などに店の名前が映っている。
 先頭に立つエフルバーグは、塔迷宮に近い一つの建物に入った。中に月明かりは届かないが、地面に魔石のようなものが置かれており、点滅を繰り返している。
 自分たちの靴の音を聞きながら階段をおり、一つの洞窟につく。隅には水溜りのようなものもある。青い魔石のおかげか、涼しい印象を与える場所だ。


「なんなんだ、ここは?」


 エフルバーグかプラムに聞きたいところだが、二人とも、自分に背中を向けているので話しかけにくい。仕方なく、隣をけだるげに歩いているクリュに視線を向ける。


「洞窟」
「いやそうじゃなくて、それはわかってるんだよ」
「わかってるのに聞くなんて、あんた性格悪いわね」
「お前にだけは言われたくない」
「なに?」


 クリュが可愛らしい笑顔で、しかしこめかみの辺りはひくついている。


「なんでもないです」


 この様子では聞くのは無理そうだ。そのまま黙ってついていくと、洞窟の奥に梯子がある。
 僅かな光が差し込んでいて、はしごを上っていくと、


「ここって、迷宮……」


 どこか懐かしい草原に近い塔迷宮。あちこちに木々が生えており、遠くまで見渡せない。魔石の明かりのおかげで、塔迷宮の中は夜でも明るい。暗闇からの急激な明かりに智也は目元を隠す。
 梯子を上った先はぼうぼうの草で隠れていた。最後にクリュが、緑の座布団のようなもので穴を塞ぐ。
 エフルバーグは周囲を見回し、


「二十九階層だ」
「わかりました。ジャンプ、二十九階層」


 プラムが唱えた瞬間に、目の前の景色が変わった。とはいえ、それほど大きな変化はない。ジャンプのスキルを、体験したのは初めてだ。
 そういえばプラムがそんなスキルを持っていたなと、改めてステータスを確認した。
 迷宮内を歩き――謎の魔法陣を見つける。以前見たボス部屋の魔法陣に似ている。


「中に入れ」


 拒否する暇もなく、魔法陣に乗せられる。景色が変化し、ボスエリアへと移る。中央に大きな熊のような魔物が、出現する。
 鋭いとげのような毛は茶色と青が混ざった不気味な色。背丈は智也の数倍あり、鈍く光る爪は鋭く太い。
 あの身体に体当たりでもされれば、全身が砕け散るだろう。エフルバーグは、さも当たり前のように、


「あいつを倒してもらう」
「なっ、あいつ二十九階層のボスだろっ!?」


 ステータスが、レベルが。敵うわけがない。エフルバーグはどうでもいいと言った様子で、口元を歪める。


「オレを殺すか、あいつを殺すか。どっちがいい?」


 もしかしたらエフルバーグのほうがラクかもしれない。ただ、目の前の男を殺したところでこの部屋から脱出はできない。
 エフルバーグの極論に対して、智也は文句を垂れたかったが、


「グォゥゥゥ!」


 戦闘準備を終えた熊が突っ込んでくるので、毒をぶつけることもできない。


 ワイルドベアー


 智也は服を汚すように転がり、エフルバーグたちは逆方向に避けた。祈るように智也はワイルドベアーを目で追う――俺じゃなくて、あっち。あっち行け!
 だが、ワイルドベアーは智也を虐めたいのか、こちらに狙いをつけて近寄ってきた。突進ではないので、距離を測る余裕はある。


(魔法が、使えれば……)


 あいにく持っているスキルに遠距離攻撃はない。諦めの境地で剣を一つ生み出し、両手でしっかりと握る。敵うわけがないが、死ぬわけにもいかない。
 ワイルドベアーは地面すれすれに爪を構えたまま大地に走りだす。
 大地には悲鳴とも取れる傷があり、智也は顔を青ざめ慌てて横に跳ぶ。


 着地――片手をついて転がり、すかさず剣をワイルドベアーの腕に向けて投げる。回転しながら飛んでいった剣は、硬い毛に阻まれ地面に落ちてしまう。毛がいくつか切れただけで、身には届いていない。
 ワイルドベアーは、肩をぶつけるように先ほど同様駆け出した。
 ワイルドベアーの突進が少しでも減退することを祈って、剣を生み投げながら横に跳ぶ。
 突進を避けるには、全身を使って横に飛び込むしかない。動きに無駄があれば、ワイルドベアーに攻撃する時間がなくなる。


(無理だ、無理に決まってるだろっ!)


 結局剣を投げる攻撃しか出来ない。そして、傷をつける威力はない。
 剛毛がない部分を探してみるが欠片もなかった。投げれば落ちるが、自然回復するのか毛はすぐに元の長さに戻っている。


(ダメだ、通じない)


 すべてが無駄に思えてきた――俺は、なんで戦っているんだろう。何度か同じことを繰り返し、智也は肩で息をしながら剣を構える。
 汗が顎を伝い、不快感が募っていく。


(勝てない……。俺はこの前までロクに戦ったことないんだぞ)


 ワイルドベアーの一撃を避けて、剣を振るう。捨て身覚悟の一撃。なぜか、その瞬間は死への恐怖が薄れていた。
 ワイルドベアーの豪腕が風を切る音を届ける。自分に命の危険が迫っているにもかかわらず、映像でも見ているような気持ちだった。ワイルドベアーの一撃を回避できず、智也はボールのように飛ばされて、地面を転がる。
 痛みが遅れて全身に訪れ、動き気力が完全に失われる。


(この世界に来る前は、勉強しかしてなかったんだぞ。身体なんて体育以外動かす機会なんかなかったんだ)


 戦意は薄れていく。死が近くなっても、恐怖が生まれてこない。


(俺が、なんでこんな目にあっているんだ。普通に生活して、それで、俺は何か悪いことしたのかよ?)


 何もしていない。智也は視線を動かすが、エフルバーグたちが助けてくれる様子はない。


(誰か、助けてくれ。俺は無理なんだ。ここまで戦ってこれただけでも、奇跡なんだよ)


 ワイルドベアーの大きな両手に全身を掴まれる。ワイルドベアーに握り締められ、智也は悲鳴をあげる。自由な右腕を動かして、ワイルドベアーの体を殴りつけるが、手に毛が突き刺さるだけだった。


(諦める……。そうだ、そのほうがラクだ。この世界で、塔の最上階を登ったところで何がある? 何もないかもしれないだろ)


 戻れるかもしれない可能性があるだけだ。絶対ではない。


(だったら、そうだ。ここで死ねば、それで全部終わる)


 ははっと簡単な真実に気づき、智也は狂ったように笑った。
 死ぬことがいけないと思っていた。死ねばすべてが終わる。なんだ簡単なことじゃないかと智也は何度も笑う。


(終わる? すべてが、終わる。そうだ、この世界には俺が死んでも悲しむ人間なんていない)


 口元の笑みが凍りつく。


(誰にも知られずに死んでいくのか? それは……それは、嫌だ)


 孤独がどれだけ悲しいものか。この世界に来てからこの世界に来る前からわかっていた。一人でいることは無駄な荷物を背負わずにすみ、寂しさはあったがラクであった。
 家に帰れば家族がいた。家族と話すことくらいが一日の中での主な会話だった。地球で死ぬば、家族が悲しんでくれる。


 ここで死ねばどうなる? 自分に問いかけて、智也は震える。家族は心配しているかもしれないが、死んだ事実は伝わらない。
 迷宮内では死体は残らない。誰も悲しんだりはしないだろう。そもそも、地球における自分の存在は一からなかったことにだってなっているかもしれない。
 途端に恐怖がよみがえり、生きたいと思う気持ちが強くなる。痛みに悶えながら、片腕をワイルドベアーの手から出し剣を作る。


「死にたく、ないっ! 離せっ」


 生きたいと、気持ちを乗せるように剣を叩きつける。毛が切れるが、ワイルドベアーにとっては瑣末な問題だ。ダメージなんてないように思う――だけど、生きたい。
 だが、体を締め付ける力をさらに強くする。遊びはここまでだとワイルドベアーが語るようだった。


(死にたくない。死ぬなら、全部やってからだ!)


 地球で過ごした楽しい記憶が流れる。――まだやっていないゲーム、見てないアニメなどだってある。
 見事に娯楽品ばかりだと苦笑しながら、智也は両目でワイルドクローを睨む。智也の目の奥に強い光が宿り、ワイルドクローの手が一瞬弱まった気がした。
 ここまで自分を育ててくれた家族に、何の親孝行もしないまま死んでたまるか。


 家に一人でいることの多い、妹。両親の帰りが遅くなることが多く、必然的に一緒に過ごす時間が多く仲がよかった。
 あいつを一人、家に置いておけるか。最後まで、あがいて、あがいて――。


(死ぬのは、それからだっ!)


 激情が智也の心に溢れ、




「――離せっていってんだろッ!」




 智也の中で何かが壊れる音がする。同時に身体の奥で眠っていた力が、抑えがなくなったことによりあふれ出る。


「うぉぉおおおっ!」


 右腕が、左腕が黒い鎧に包まれていく。未知の力に体を奪われるような恐怖が起こるが、すぐにそれは安らかなモノへと変化していく。
 智也は一度だけ笑い、右手に持つ剣を突き刺した。


「グォォォッ!?」


 戸惑いの悲鳴をあげ、ワイルドベアーの右手が血を噴き出して、智也の体を離す。いつもの数倍の切れ味を生み出し、智也は地面に着地する。
 血が飛び散り、智也の頭上に降り注ぐ。その中にいても不快な思いはない。 智也は手についた血をぺろり、と舐める。


(不味いな……つか、なんでこんなことしてんだよ)


 いつもの自分からはかけ離れていると思いながらも、その行動により頭の中が冴えていく。
 もう一度ワイルドベアーを見る。魔物だけあり、生命力は高い。傷のある手を押さえながらワイルドベアーがこちらへ憎しみを含んだ目を向ける。赤く染まった瞳に晒されても、不思議と怖くはない。


(この力、よくわからないが、長くは持ちそうにないな)


 本能が教えてくれ、ならば短期決戦だと首を鳴らす。念のため、ステータスでMPが減っていないか、体の痛みの具合などを確認して、剣を持ち直す。
 両手に持った剣を構え、智也はためらわずにスピードを発動させる。


 世界が遅くなったような感覚とともに、智也は一人自由に駆け回る。
 MPの許す限り、両手の剣でワイルドベアーに傷を作っていく。


 リートさんが使っていた身の丈ほどの大剣を生み出し、滑らかに両断する。同時にMPがなくなり、ワイルドベアーが全身から血を吐き出した。
 あふれ出た血は、すぐに迷宮に吸収され死体は消える。


 ワイルドベアーがいた場所には魔石と何かの素材が残っていた。
 智也はどうでもいいと言った様子で鎧を消して、不意に訪れた疲労に任せるようにぶっ倒れた。








「エフルバーグ、さん。彼をどうするつもりですか?」
「珍しいな、お前が質問をするなんて」


 プラムはエフルバーグさんの考えが理解できなかった。普段は様々な情報から考えを導きだし、ある程度目的がわかるのだが、今回ばかりは何もわからない。
 目の前でワイルドベアー相手になんとか立ち回る彼の様子を見て、勝てるわけがないとすぐに判断できた。


(……動きが未熟すぎる)


 トモヤの動きはステータスに引っ張られているだけだ。


「殺す、つもりですか?」
「違うな」
「心を折って、奴隷商に売りつけるためですか?」


 奴隷商に売る場合、調教済みの奴隷は普通に比べて多少高くなる場合がある。だがエフルバーグは首を振るだけだ。


「見ていればわかる」


 エフルバーグさんは間違ったことはしない。プラムは今までずっと見てきてそれを理解している。
 言われたとおり、戦いに意味があると考えて観察する。少しずつトモヤの動きが悪くなっていく。


(……心が折れ始めている)


 目に見えるほどに動きが雑になっている。生きようとする気持ちがない。隙さえあれば剣を投げて攻撃していたにもかかわらず、今のトモヤはただ攻撃を回避するだけだ。
 それさえも投げやりになっている。プラムの目には、死んでも別にいいという風に映っている。ワイルドベアーがトモヤを捕らえるまで、時間の問題だろう。


「助け、ないんですか?」


 トモヤが死のうとどうでもいいが、エフルバーグさんの目的は殺すことではない。


「いや、必要はない。すでにあいつに種は植え付けてある」
(種……家で突然倒れたヤツ?)


 もしもあれが種として、それで何が起こるのか。考えてもわからない。トモヤが捕まり、悲鳴をあげながら顔を伏せた。本当に死ぬ。それでもエフルバーグさんは動かない。


(何が、したかったのだろう)


 トモヤが死ぬことは多少気になるが、北の国では人が死ぬくらいで悲しむ人間のほうが少ない。
 プラムも例に漏れず、そこらに転がる死体が一つ増える程度にしか感じない。街の中で死られるよりマシだ。




「――離せっていってんだろッ!」




 だが、思考は中断された。とっくに死ぬつもりだと思っていたトモヤはなぜか、戦意を取り戻していた。何が彼を動かしているのか、分からない。
 両腕が黒い鎧に包まれ、どこか恐怖してしまう――……化け物みたい。
 そこからは一方的だった。剣の腕ははるかに向上し、ワイルドベアーのもっとも柔らかい部位を狙って腕を斬り落としていた。
 剣の振りを見ても、見るものの目を奪う綺麗な一閃だった。


(種が、発芽した?)


 日々の努力がいつか身を結ぶことはあっても、人が爆発的に成長することはありえない。
 プラムの考えはトモヤにあっさりと砕かれた。エフルバーグさんがこうなるのを予想していたのか確かめるために顔を覗き、プラムの頬には珍しく皺が生まれる。


「どうした?」
「笑って、います」


 なぜだか、鳥肌が立ってしまう。エフルバーグさんも気づいていなかったのか、顔を触ってから、


「笑い、か。久しぶりだな。こうもうまく行くとは思っていなかったな」
(初めて、みた)


 エフルバーグさんの元で生活するようになって、二年近くが経っている。
 今までの生活でプラムは、一度もエフルバーグさんが笑っているのを見たことはない。エフルバーグさんの笑みはすぐに消え、さっきの幻だったんじゃないかと思ってしまう。


「……血にまみれる。――最高ねっ。あたしもあの舞台に立ちたかったわっ」


 戦いに飢えた獣を見て、プラムは呆れた表情になる。クリュが自身の体を抱きしめながら、笑い声をあげる。
 プラムはちらとワイルドベアーを倒したトモヤをもやもやとした気持ちで見る。


(彼は、なに……?)


 プラムはワイルドベアーを倒すまで、一年はかかった。それでも、まだ一人では危険が残る。エフルバーグさんから笑みの感情を引き出した彼に、プラムは僅かに嫉妬する。


(倒れ、た?)


 そして、締めのない彼を見て、頭をひっぱたいてやりたくなった。

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