村人に転生したら、モンスターと会話できるようになってた。村人ライフしながらモンスター図鑑をつくろう!目指せモンスターキング!!

ピエロとサーカス

17話 イカリ国王

―――ヤバースィン城の目の前―――


 目の前には巨大なヤバースィン城がそびえたっている。
 ミシュカと怪盗グーニーは忍び込んでひっそりと交渉することを提案してきたのだが、


 僕としては正々堂々と真正面から向かい合うことを選んだ。


 2人は絶句して止めたが、


 僕としては死ぬ気で来ている。


 まず衛兵に事情を説明することに。


「実は、国王の病を治す方法を持参したのだが」


「ほう」


 衛兵は僕とその護衛である3人を見計らって、
 その後ろにいる2頭の火炎獅子のペットを見て。


「その方法を伝えよ」


 まぁ確実にその方法を奪う方法に手を付けるだろうとは、
 僕は思っていたのだ。


 それがこの国の悲惨なる状況なのだから。


「その方法はお伝えすることはできません」
「なら通せぬ」
「ならあなた達は国家反逆罪です。これを国王にお届けしないと国王は死にます」
「ほう、それだけの自信があるということなのだな」


「もちろんです」


「でも通すことはできん、ちゃんと理由を、お、おぬしなにをしている」


 僕はエリクサセット、つまり5枚のエリクサを出す前に、
 一枚を使用することにする。
 ごほごほと咳をしながら、口の中にエリクサを含み、


 次にはナイフを取り出し、右手を両断してみせた。
 血が噴水のように飛び出る。
 衛兵たちは何が起きたのか理解できない表情で、戸惑っている。


 痛みは激痛となり、
 死にそうになるくらい痛い。
 それでも村人たちが必至で勇者を召喚させて、
 この国を滅ぼそうとしていたくらいに、
 真剣に取り組もうと決めていたのだ。


「き、きさま、死ぬ気か」


 次の瞬間には右手は復元していた。


 衛兵たちは腰を抜かして、


「ば、ばけものかああああ」


 と叫ぶも、


 僕はにやりと笑って。


「これが治癒方法です。あなたたちに理解できましたか?」


「い、え、いえ、だけど、化け物を通すわけには」


「だから言っているでしょうがこれが治癒方法です。国王の病を治す方法です。次は右足ですか? それとも僕の頭を落としますか? それとも腹にナイフを刺しますか? さぁ注文してごらんなさい」


「ひ、ひいいい、ごめんなさい、今から国王様に許可をとってまいります」


―――ヤバースィン国王の前にて―――


「この方はヤバースィン王国の王の中の王、イカリ国王であられる。無作法は遠慮してもらおうか、そこの3人の護衛も兜をぬげい」


 それは執事らしき人が叫ぶ。


 まぁ仕方がない、


「ザバンド、テナンド、カナードネ兜を脱いで、あと服の中に隠れている族長もでてきて」


 3体のゴブリンは兜を脱いだ。
 次の瞬間そこは真っ青になる衛兵たち、
 次の瞬間、衛兵たちは抜刀する。


 そうおそらくヤバースィンの歴史上初めてのモンスターが城にやってきたという失態なのだろう、だが僕はにやりと笑って見せると。


「彼らは同盟者です。僕たちは【囁きの仲間たち】という仲間たちなんです。僕はモンスターの言葉を理解し、鉱物の言葉を理解することができます」


「な、なんということじゃ、モンスターキングの伝説は本当じゃったのか、がはがは、ごふごふ」


「こ、国王様、水です」


「すまぬ、そこのものたちよ抜刀を取り下げよ」


【御意】


「できれば木人とイカリ国王さまは話すべきなのです」


「ふむ、わしにはモンスターの言葉は理解できぬが」




 イカリ国王の顔は髭をはやしている。
 そして頭がぼさぼさでありながら、老齢の禿げという部分は存在しておらず。


 背丈は小さいが、
 それでも頑固そうな顔は国王そのものであった。


 国王の右と左にはおそらく皇太子と皇女様が立っており、
 その隣の玉座には妃である人が座っているようだ。
 あとは執事と衛兵だけなのだが、


 この一騒動で、衛兵たち20人くらいに取り囲まれている。


 交渉の仕方を間違えれば、
 僕たちは死ぬだろう。


 僕は【囁き伝染】を発動させ、ここにいるすべての人間とモンスターの言葉を理解させるようにした。


「準備万端です族長」
「うむ、イカリ国王よ久しぶりだな」


「わしはお主に合ったことがないぞ木人」


「わしが世界樹だといえばわかるか? お主が小さきころ森で迷ったとき、道を示したものじゃ、その時は言葉は通じないから、木人となりてお主に道を示した」


「な、なんとあの時の木の人でしたか」


「そのお主が沢山の村を苦しめていると聞いたときは、あのときお主を森に食わせるべきだとおもっていた」


「そうでしたか、ですが、こちらには事情があるのです」
「ほう、申してみよ」


「わしはあともう少しで死にます。ですがあと数年時間が欲しいのです。そのためにエリクサを求めていました」


「そうか」


「魔王がよみがえったのです」


 国王のその一言で、その場にいるすべての人々が暗い顔をしていた。
 それがすべての原因なのだろう。


「村かたくさんの食料が必要で、沢山の人材が必要で、魔王は無人島にて蘇りました。冒険家である数名がその魔王に殺され、命からがら逃げてきた冒険者が述べたのは、魔王そのもの、それが1体ならよかったのです」


「それはどういうことじゃ?」


「この大陸の【果てしなき地平線】にて数体の魔王が出現したとのこと、そしてそこに向かっていた開拓者たちが逃げ帰ってきました」


「うむ」


「勇者が必要なのです。この世界には、神父に勇者召喚してもらっていますが、どうでもいい愚図ばかりがくるのです。そいつらは牢獄に閉じ込めております」


「それは本当ですか、あとで僕に合わせてください」
「それもよかろう、モンスターキング様には頭が上がらぬし、わしの病をなんとかしてくれるエリクサを持ってきてくれているようだからな」


「ふむ、なら、わしのエリクサを受け取れ」


「これになります」


 僕は膝を下げて、目の前に箱を取り出す。
 そこには4枚のエリクサが入っている。
 国王はそれを受け取ると、
 1枚のエリクサを口の中にいれて、
 もしゃりもしゃりと食べている。


 次の瞬間、
 国王の体が光輝きだし、
 閃光のようにほとばしる光を発している。


 まぶしいを通り越して、
 そこには老人の姿のままの国王がいたのだが、
 背丈はのびのびとしており、
 顔色から病魔の証が消えていた。




「ふう、感謝するぞモンスターキング」


「1つ聞いてもいいでしょうか?」


 僕は問いかけると、イカリ国王はうなずいてくれた。


「モンスターキングとはなんなのですか?」


「よかろう、今教えてようと思う、ここにいる息子と娘、そして衛兵長たち、あと執事たち、このことは我が王家の伝説だから、疑ったものは死罪と思え」


【御意】


 その場の全員が頷いたのであった。





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