村人に転生したら、モンスターと会話できるようになってた。村人ライフしながらモンスター図鑑をつくろう!目指せモンスターキング!!

ピエロとサーカス

1話 異世界へ

 僕の日常は高校生活にある。
 特に友達がいるわけでもない、だがいじめられているほど特別視されているわけでもない、


 学力は普通で、運動能力も普通だ。
 とくに周りから求められることもない、


 そこに存在しているのか? それともいないのではないのかというくらい存在感が薄い。


 僕は動物園でアルバイトをしている。
 知っているのは先生だけで、


 僕にはある特殊な力がある。
 動物たちの気持ちが読み取れることだ。


 会話をするわけではない、


 ただ調子が良いか悪いかを把握することができる。
 普通の獣医でもできるかもしれない、


 しかし僕のはその本当に小さなささいな違い、


 それは右足に腫瘍ができたとか、細胞レベルにまで達する。


 一度僕の脳波を検査などしたが、原因は不明。


 僕はただ動物が大好きなそんな少年だと思われているのだろう。


 その日は普通にアルバイトを終えて帰ろうとしていた。
 1羽の鶏が行方不明になっていることが心残りでもあった。


 そしてそのニワトリは動物園の近くにある崖のそばで発見する。


 僕の鼻の先に鶏のラメードちゃんがいる。
 今年で2歳になるラメードちゃんはひよこのときから御世話している。
 ラメードちゃんは卵を産むようになり、
 その卵にヒナがいるとおもっているのか、


 僕から必至で守ろうとしたり、
 ラメードちゃんはいつも僕の後ろを歩いている。


 僕の頭の中は真っ暗になり、
 思い出すと、本当にバカなことをした。


 ラメードちゃんが崖から落ちる。その瞬間、ラメードちゃんの首を軽くつかむと、後ろに投げる。


 代わりに崖から落下したのは僕自身だった。


 その日僕こと、源忠博みなもと ただひろは死亡したと思ったのだから。




―――異世界へようこそ―――


 そういうゲームやそういうライトノベルがあることを僕は知っている。


 よく高校生のオタクチームがその話をしていたり、


 以外だったのはイケメンのリア充とか女子どものリア充まっしぐらの人もライトノベルを見ていたり、


 すごくかわいい女性が腐女だったり、


 そういう差別は最近ではなくなったけど、


 逆にそれを差別する人が差別されるという不思議なことが起きている。


 現在僕はどこかの神殿の台座に素っ裸で立っている。


 周りには老若男女の人々がこちらを拝んでいる。
 神父みたいな人が、錫杖みたいなものを僕にあてる。


「痛い」


 少しだけとげとげする錫杖だったが、
 僕は着るものをさがすと、


 神父が普通の村人みたいな衣服を渡してくれるので、
 その衣服を着慣れていないのだが、ゆっくりと着用することに。


 やっぱりゲームで出てくる布の服そのものだ。


「神のお告げを申しましょう、数百年ぶりに勇者召喚をしました。しかし、でてきたのは村人職業の青年です。村人たちよ、魔王の脅威もしかりですが、まだまだ横暴のあるヤバースィン王国から脱退はできないようです」


 神父がたんたんと答える中、
 僕はびくびくと周りを見つめると。


「勇者様がこられたらよかったのに、なんたることか、お前など知らぬどこかへ行ってしまえ」


 村長らしき老人が叫んだ。
 僕は事情がさっぱりわからないし、


「ちょっとまてよ、お前らが呼んだんだろ」


「うるせいガキがこの村の現状なんてしらねーだろうが」


「そっちこそ僕の人生をどうするつもりだ」


「てめーの人生なんてしったこったねーんだよ」


「酒場のおっさんみたいな顔してお酒を飲みながらしゃべらないでくださいよ」
「わりーかよわしは酒場のおっさんだよ」


「そもそもあんたが悪い、せめて勇者でいてくれないと」
「そっちは農家の主婦みたいじゃないか」


「そうよ主婦よ、でも土は枯れて、作物が育たない」
「僕には何もできないよ」


「あーもううるさい、たんなる村人ならとっとと飢えて死んでろ」


 次は道具をいろいろと準備していた道具屋の兄さんだった。
 彼は帽子をかぶって。


「ほら出口、さっさといけ」


「は、はぁあああああ」


 僕は唖然となって、召喚されたのに、召喚された神殿から強制的に排除されました。
 外に出ると草原が続いている。
 道があり、おそらく道なりに進めば村があるのだろう。


 沢山の村人たちが道なりに進んで村に向かっているのに。


 はたして僕はこの道なりに進むべきなのだろうか。


 最後に神殿の扉をしめて鍵をかけている神父さんは、
 こちらを見てにこりと笑った。


「ジムラ村にはこないほうがいいでしょう、あなたは追い出されるか、下手したら食われますよ、この世界では人食も当たり前ですから」


「どうしたら、僕は」


「がんばって村人なりに強くなってみんなを見返してやりましょう、ほれ木の棒と木の盾です。旅に出てください」


「お前はバカですか」


「なになに? 神父に馬鹿といったのですかな?」
「いえ、すみません」


「しっし、異世界の村人なんていりませんから」


 かくして僕はジムラ村の人々に召喚されて追い出されてしまったのだ。


 僕は途方に暮れながら草原を歩いている。
 所々に群生する森の木々たちは、まるでホラー映画に出てくる化け物のようだった。


 ひたすら歩き続けること、2時間くらいが経過しただろうか、


 足の裏には豆のような水膨れができており、
 うまく歩くことができない、


 本来このような長い距離を歩くことなどしてこなかった僕は、


 意外と足は弱かったらしい。


 木々の根本で足を休ませることにして、


 ゆっくりとため息と深呼吸を繰り返して、


 今後どのように何をしていけばいいか考えている。


 自分には何か力があるはずだ。


 あまりライトノベルは見たことがないが、時間の暇つぶしにネット小説を見たことがある。


 大抵ステータスオープンとかいうと、自分のステータスが表示されるはずだ。


「ステータスオープン」


 すると僕の目の前にはなんかゲームで出てくるあれがでてきた。
――――――――――――――――
源 忠博 レベル1 職業:村人
体力10
魔力50
攻撃力5
防御力5
回避力20
賢さ40
スキル
1 言葉【人型種族全般】【モンスター全般】
2 鑑定
――――――――――――――――


 ありがちな僕のステータスに僕はびっくりしつつも、
 イメージしていた村人通りであった。
 確かに村人通りの強さだ。


 村人だからこそ回避力が高いのか?


 魔力と賢さが高い原理はわからないが。


「おーいテナンドどこいったのーもうかくれんぼやめようよ、僕こわいよ~あ、そこにいるなぁ、木の後ろだな」


 僕は誰かに見つけられた。


 それはなんと人語を話すゴブリンだった。
 そしてさきほどのステータスを思い出し、


 どうやら僕がゴブリン語を話しているようだ。


 それがモンスターとの初めての接触だった。





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