薬師無双〜ドーピングで異世界を楽しむ〜

蜂須賀 大河

純白のワンピース

 朝目覚めた俺達は、食堂へと向かった。


 食堂には、夜よりかは少なくはあるがそれでも多くの人達が食事をしていた。


 そして朝食を食べ終えた俺達はまず、リアラの職業を変える為に教会へと向かう事にした。


 教会の外観は、木造で建てられており壁は白に塗装され、屋根は青く塗装をされていた。
 屋根の上には立派な鐘が付いており、まさに教会だなと思わせる外観をしていた。


「んじゃ、行くか」


「うん」


 そして俺達は中へと入る。
 教会の中は、外観と変わらず白と青を基調に作られており、長椅子がズラッと並ばれていた。
 まるで、結婚式場だな。


「今日は、どのような御用件でしょうか?」


 中に入ると、修道服を着た女性がこちらへとやって来た。


「すいません、彼女の職業を転職したいのですが、大丈夫でしょうか?」


「はい。大丈夫ですよ。ただ、転職されるのでしたら10万メルを教会に寄付して頂く事になるのですが、よろしいでしょうか?」


「はい。大丈夫です」


 俺はシスターに10万メルの入った袋を手渡した。


「はい、ありがとうございます。では、あちらの部屋で転職を致しますので、お部屋までご案内しますね」


 シスターはそう告げると、俺達は別室へと向かった。
 部屋へと入ると、床には大きな六芒星の魔方陣が描かれており、その中心には魔道具と思われる水晶が台座に置かれていた。


「では、こちらまでどうぞ」


 シスターがそう告げると、リアラを六芒星の中心へと向かった。


「では、水晶にまず手を翳して下さい」


 リアラは水晶に手を翳した。
 すると水晶は、青白く輝き出した。


「そして、なりたい職業を心の中で選んで下さい」


 すると、翳していた水晶の光がリアラの身体の中へと吸収されるかのように吸い込まれていった。


「はい、お疲れ様でした。これで、転職は完了しました」


 今ので転職は終わったみたいだ。
 そして俺はリアラを鑑定してみることに。




 名前:リアラ 性別:女 15歳
 職業:僧侶Lv1
 HP:16/16
 MP:26/26


 物攻:5
 物防:6
 魔攻:12
 魔防:14
 敏捷:8


 <スキル>
 魔力操作1


 <回復魔法1>
 ヒール


 <装備>




 リアラは無事、僧侶に転職出来ていた。


「はい、ありがとうございました。では、これで失礼します」


「ありがとうございした」


 俺達はシスターに挨拶をし、教会を後にした。


「ねぇ、アラン! これで、少しはアランの役に立てるかな?」


 リアラは僧侶に転職出来た喜びからか、目をキラキラと輝かせ子供のようにはしゃいでいた。


「Lv1が何言ってんだよ。装備整えて、食材とか買い出した後ミッチリ鍛えてやるからな」


「むぅ〜。わかってるわよ」


 リアラはプクッと頬を膨らませ、少し拗ねていた。
 相変わらずの可愛さである。
 その後俺達は、まず鍛冶屋へと向かった。


 鍛冶屋の中には、色々な武器や防具などが置かれおり俺は武器や防具を鑑定しながら見ていた。


【ショートソード】
 多くの人に愛用されている、一般的な武器。主に戦士などに多く使われている。
 物攻+5


【メイス】
 主に僧侶の職に就く者に愛用されている、一般的な武器。
 物攻+3
 魔攻+2


【ロッド】
 主に魔法使いの職に就く者に愛用されている、一般的な武器。
 魔攻+5


 武器はこんな感じの、初心者が使う武器が大半であり、これよりも強い武器もあるにはあるのだが、魅力を感じなかった。
 防具に関しても、皮の鎧やライトメイルなどの一般的な物しか置いていなかったので、俺は受け付けにいた50代くらいの、恐らくここの店主であろう男性に声を掛けた。


「すいません。ここにある装備以外は置いてないんですか?」


「ん? 武器はそこに置いてあるので全部だな。ただ、防具なら一つだけあるが、女性専用で値段も高いぞ」


 女性専用か……
 俺も欲しかったけどまぁ、仕方ないよな。
 リアラの装備だけでも揃えておいた方がいいしな。


「それって見る事は出来ますか?」


「ああ、なら少し待っててくれ」


 そして、数分が経ち店主が戻って来た。
 手には、純白のワンピースのような物を持っていた。


「──綺麗」


 リアラは純白のワンピースを、まるで結婚式のドレスを見ているかのように目を輝かせていた。


「これ、防具なんですか?」


「ああ。これは【聖なる法衣】と言ってな。とある冒険者のパーティーがダンジョンで見つけたんだよ。そのパーティーに女性はいないから、持っててもしょうがないんで、うちに売りに来たって事だな」


 聖なる法衣か。
 これは即買いだな。
 むしろこれが防具じゃなくても即買いだな。
 リアラの純白ワンピース姿か……
 絶対似合うよな……


 そして、俺は一応鑑定してみる事に。


【聖なる法衣】
 高位の女性聖職者が愛用している法衣。
 また、男性用の聖なる法衣も存在する。
 物防+35
 魔防+55
 魔攻+40




 さすが、聖なる法衣……
 かなり強くね……
 これだけの装備なら、問題は値段だな……


「すいません、これいくらですか?」


「売るとすれば、120万メルってとこだな」


 高っ!
 盗賊から奪った金が全額飛ぶな。
 でも、こんだけいい装備だし……
 リアラの純白ワンピース姿だし……
 即買いだな! うん。


「じゃあ、これどうぞ」


 俺は120万メルを店主に渡す。


「え、ちょっ、アラン! こんな高価な物はさすがに……」


「いや、大丈夫だよ。それに、これくらいの装備をしなきゃ旅なんか続けられないと思うし。それに、単純に俺がリアラのこのワンピース姿が見たいだけだから、気にしないでいいよ」


 するとリアラは顔を真っ赤に染め、照れ臭そうに『ありがとう』と呟いていた。


「兄ちゃん、なかなか豪快な男だね! 気に入った! そこら辺にある武器で良ければ、一つならタダで持っていっても構わねえぞ! うちからのサービスだ」


 これは助かるな。


「ありがとうございます。ならこれを貰って行きますね」


 俺は、リアラの武器をタダで貰うことにした。
 これでリアラの装備は安心だな。
 俺は素手だし、また金が貯まり次第買えばいいか。


「おう、ありがとよ! また、いつでも来てくれ」


 そして俺達は店主に礼を言い、鍜治屋を後にした。

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