薬師無双〜ドーピングで異世界を楽しむ〜

蜂須賀 大河

レベルアップ

 外へ出ると、小屋の横には小さな湖があった。
 湖を見ると、自分の姿が見える。


(……見た目はちゃんと、前世と同じだな)


 アランの見た目は、日本人の特徴である黒髪、黒目。
 目鼻立ちがハッキリしており、整った顔立ちをしている。
 日本にいた前世では、成績も優秀だった為、同年代では一番モテいた。が、本人はそれを知る由もない。


 ☆


 俺は辺りを見渡してみると、小屋と湖を囲む様に木が生えている。
 恐らくここは、どこかの森の中なのだろう。
 そして俺は湖の水を掬い、この水は飲めるのか?
 そう思い、俺は飲んでみた。


「……うん。普通に美味いわ」


 これで水は確保したな。
 後は食料の確保だ。
 森の中だし、なんか食べる物もあるだろう。
 そして俺は森の中へと向かっていく。


「鑑定しながら歩いてれば、なんか見つかるだろう」


(おっ、あの草なんかどうだろ?)


 そう思い、心の中で鑑定と唱えてみる。




 【薬草】
 HPを5%回復させる効果を持つ草。
 そのまま食べると、物凄く苦い。




(……おおっ! これが薬草か。なんか、感動だ……)




 森の中で、鑑定しながら素材を集め、魔物を狩ってレベルを上げるって方針でいこう。


 薬学創造魔法を使えば、薬草位なら簡単にゲット出来るが、MPが少ない今、あまり使えないんだよな……。
 まぁ、今はまだいっか。


「それじゃ、本格的に探索始めるとしますか」


 ──俺は気を引き締め、森の中を探索開始する。
 道に迷わないよう、木に目印を付けながら鑑定を使い、森の中を探索していく。


 すると突然


「ギャギャギャッ」


 日本では聞き慣れない鳴き声が聴こえ、その声の発生源の場所へと向かうことに。
 すると、緑色の肌に、頭には小さくはあるが、二本の角が生えている生物がいた。
 そして俺は、そいつを鑑定してみる事に。




 ゴブリン
 Lv:2
 HP:20/20
 MP:0/0


 物攻:8
 物防:6
 魔攻:0
 魔防:2
 敏捷:5


(ゴブリンか。やっぱゴブリンって想像通りの見た目だな……武器は──この石でいいか)


 俺は、地面に落ちている石を拾い、それを大きく振りかぶり、ゴブリン目掛けて投げる。
 石は、ゴブリンの顔面にクリーンヒットし、口や鼻から夥しい血が吹き出している。


 俺は、『チャンス!』と思い、よろめいているゴブリンに対し、また石を拾って投げつける。
 そして、また石を拾っては投げつける。
 すると、ゴブリンはそのまま倒れ、動かなくなった。


 ──なんとか、倒せたみたいだ。


「まあ、これなら怪我する事なく安全に戦えるな」


 俺は、そのまま森の中を探索し続けた。
 素材や食べ物の採取。
 現れたゴブリンは石で倒す。
 それを延々と作業のように繰り返していた。


 ──そして、日も暮れ始めたので、小屋へと戻る事に。


 腹が減った俺は、キッチンで採取したキノコを木の枝で刺し、そのまま丸焼きにして食べる。
 なんの味付けもない、キノコのみなので正直かなり物足りない……。
 でもまあ、仕方ないと割り切る事に。


 ふと、ステータスを確認してみれば、順調にレベルが増えていた。


 今日は疲れので、濡らしたタオルで身体を拭き、さっさと寝ると事にする。
 そのままベッドへと潜り込んだ俺は、明日も頑張ろうと思い、目を瞑った。


 こうして俺の、異世界初日は無事終えた。





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