幼馴染みの2人は魔王と勇者〜2人に挟まれて寝た俺は2人の守護者となる〜

海月結城

ダンジョン攻略~5~

 僕たちを魔王とその手先だと誤解、一部誤解ではないが……そんなのは誤解だ。

「違う! 僕たちは魔王の手先なんじゃない!!」
「違う? 何が違うんだ!? お前たちの後ろにいる奴が証拠じゃないか!! クソッ、お前の優しそうな振る舞いに騙された。魔王も良い刺客を持っている。それじゃ、お前たちはここで始末する」

 勇者であるプロメールさんは地面を蹴って、魔物の上に立っているリュクスに向かって大剣を振り上げた。
 リュクスはそれを立ち尽くして見ているだけだった。

「遂に、諦めたか魔王!!」

 その言葉にリュクスは反応を示さなかった。
 そして、プロメールの大剣がリュクスに当たる瞬間、大剣を弾き飛ばされ、自分も押し戻されたプロメールさんは大剣を地面に突き立てて吹き飛ばされる距離を軽減させた。

「今のは……同じ技」

 プロメールさんは、地面に突き立てた大剣を握りなおして、抜刀でもするかのように構えた。
 足にグッと力を入れて、今にもリュクスに跳びかかりそうだった。

「プロメールさん!! 待って!!!」

 プロメールさんは、僕の静止を無視して再びリュクスに攻撃を仕掛けた。抜刀のように大剣を振るうと、リュクスはそれを微動だにせずに受け止めた。

「何故!! 私の攻撃がお前に当たらない」
「当たり前だ。お前の元の所有者はこの俺だぞ。なぁ、『七つの大罪』色欲のコピー。さっさと、元の姿に戻ったらどうだ? サソリ女」

 そう言って、コピーとリュクスの距離が離れた。

「ちょ、ちょっとリュクス、どういうこと!!」
「そうですよ。あの人は紛れもなく勇者でしたよ。私の聖女の魔力がそう言っていたんですよ!!」
「あいつは、自分の姿を魔力、外見、その人の何もかもをそっくりに姿を真似することが出来る。今のように勇者に化けると、自分が本当に勇者になるから嘘は付いていないんだ」
「な、なにその強力な能力」
「強力なのはそれじゃない。あいつが持っているサソリの尻尾。それがあいつの一番の武器だ」

 偽りの姿から真の姿に戻ったコピーは、紫色の髪を首の下あたりまで伸ばしている。そして、特徴的なのが、ロングスカートだろう。

「あれの下にサソリの尻尾があるのか」
「それで、あいつどうするの?」
「言っただろう。あれは俺の能力だ。勝手に剝がしやがって、返してもらう。それはお前たちには手に余る」
「まさか、こんなに早くばれるとは思っていなかったけど、さっさと行くわよ」
「それと、あいつを戦闘不能にしたらこのダンジョンも破壊されるだろう。ダンジョンのコアをあいつの内側から感じる」
「え、そんな事も分かるの?」

「まぁな、魔王だからな。でも、あいつ、馬鹿なことをやったな」
「馬鹿な事?」
「ダンジョンのコアを体内に埋め込むなんて、私を殺してくださいって言ってるのと同等だ」
「ダンジョンは、コアを破壊することで攻略が出来る」
「ってこは、さっきから魔王が言っていた終わりって場所に来たんだね」
「……そうだな。本当は、魔王城にあると思ってたんだが、見当違いだった」

 そして、僕たちと七つの大罪の戦いが幕を開けた。

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