邪神の力の一部で不死になったんだが!?
性能をを確認しよう・外に出てみよう
『ジーヴル』を『ジーヴィル』に変えました。書き換え忘れなどがあれば是非教えてください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あっ、そうだこう言う時こそ〈鑑定〉を使って調べよう。何かわかるかもしれない。」
手に持つこの金属物質は一体なんなのか、分かるといいが。もし鑑定して何も情報が無ければ、当分の間武器が解体用のナイフ一本だけになってしまう。
「お願いだから、何か分かって欲しい。」
さっそく〈鑑定〉のスキルを使おうと意識してみる。すると 先ほど同様頭の中に情報が流れ込んできた。
ーーーーーーーーーーー
【氷花〔ジーヴィル〕】•••別世界に存在した金属と個体名『グレイシア・アル・ネヴィカーレ』の膨大な魔力さらには『邪神ヴェルディトル』の因子を媒体に使われ金属が変質することによって創られた世界にただ一つの武器。『グレイシア・アル・ネヴィカーレ』専用の武器で魔力を通すことで好きな武器の形状に変えることができる。
Class: Weapon〔武器〕
Rarity:0 [Unknown 〔アンノーン〕]
Quality:ー
Durability:ー
Blood:0
〈吸血〉•••【ジーヴィル】を直接生物に突き刺すことで血を得ることができる。
〈刺突強化〉•••魔力を通すことで刺突攻撃時の貫通力を強化することができる。
〈凍結〉•••魔力を通すことで任意で接触した物を凍らせることができる。
〈召喚〉•••どんなに遠くに離れていても主の元に呼び寄せることができる。
〈血晶玉生成〉•••吸血した血と魔力を合わせて血晶玉を生成することができる。血晶玉の純度・大きさは吸血した血と魔力の量・純度に比例する。
【冰血世界】•••血晶玉を消費することで使用することができる。
ーーーーーーーーーーーー
「これは・・すごい能力ですね。」
(素材が異世界の金属・・ただの鉄筋・・と僕の魔力、さらには邪神の因子を使ってできた武器ということもすごいけど、何よりこのジーヴィルの能力がすごい。
(吸血に刺突強化のコンビは強力だと思う。それに吸血した血で血晶玉を作ることができるっていうのは、すごく相性が良さそうだ。接触した物を凍らせる力も強力じゃないかな?)
「一回使ってみようかな。どんな風になるのか気になるし。」
一度どのようになるか試してみようと、ジーヴィルを右手に持ちどんな武器にしようか考える。
「ここは無難な剣かな、でも剣ってあまり僕に似合わないよなぁ。ここはジーヴィルの能力を最大限発揮できる武器がいいよね。」
(やっぱりジーヴィルの最大の能力は吸血だよね。吸血した血で血晶玉を作るんだし、やっぱり突き刺すことに特化した武器がいいかな。一番最初に思いつくのは槍だなあ。他にはレイピアとかだけど、まあ両方試せばいいか。)
「先ずはジーヴィルに魔力を流して槍の形に・・イメージ・・・」
頭の中でジーヴィルが槍の形になるように魔力を通すと、手の中でジーヴィルは淡く発光しながら、まるで糸が解けていくようにえ金属の帯がいくつも広がっていく。元は長方形の棒のような板のようなそんなに形をしていたジーヴィルが今は無数の帯となり手の中で回転している。
「綺麗・・・」
しばらくすると、次の瞬間僕の手には白銀に輝く美しい槍が握られていた。槍の形状は円錐状のランスでは無くいわゆるスピアという感じで、穂先は細く両刃の短剣のような形をしている。柄の部分には魔力を通す前に表面に掘られていた薔薇に似た絵とやる全体に絡むように巻き付く茨が印象的だった。
「じゃあ、さっそく素振り?でもしようかな。でもこの建物の中じゃ槍は振り回せないよね。一回外に出ようかな。」
(流石にこの中で槍を振り回して、誤ってアストルティア様の像に傷でも付けたら大変だから。それに一度建物の周辺を確認しておかないといけないしね。)
「それじゃあ、まずはジーヴィルを元に戻して、それからマジックポーチを着けてと・・・」
ジーヴィルは魔力を通しながら元の形に戻るよう念じると、戻る時も槍になる時同様、金属の帯が回転しながら元の金属板に戻った。
マジックポーチはさっきも言ったけど今着ている服にも合うようなデザインなので、ちょうどいい感じだ。
「よし、うまく着けられてる。あとはアストルティア様からの手紙をポーチに入れて、ジーヴィルはどうしようか。」
(マジックポーチの中に入れていても問題はないと思うけど、いざという時に素早く武器を構えられないからなあ。)
「そうだ!ちょうど右の腰のあたりに小さな入れ物があった。・・これ、ちょうど長方形の形をしているし、ジーヴィルを入れたら銃のホルスターみたいで取り出しやすい。」
腰のホルスターー小物入れだがーは、まるで、このために設計されたかのようにジーヴィルがぴったりとが入った。
「もしかして、アストルティア様はジーヴィルがこの形になるのを予期して、このホルスターみたいな入れ物をつけてくれたのかな。そうだったら、ありがとうございます、アストルティア様。」
(さてと、準備もできたし外に出てみよう。っと、その前に・・)
「アストルティア様、僕をこの世界に転生させてくれてありがとうございます。この世界で、新しい目標作って充実した人生を送ります。」
改めてアストルティア様の像に向かってお辞儀をし、扉を開けて教会を出た。
顔がジリジリと焼かれる感覚を感じながら、視線を前に向けるとそこには・・・
「何これ?」
今僕が見ているのは、屋敷の裏側であると思われる建物だった。
目の前には荒れ果てた大きな裏庭と思われるものと、これまた荒れ果てた大きな屋敷が荘厳と建っていました。
嘗ては、緑の絨毯と見紛うほど綺麗な芝生が引かれていたと思われる庭は、今は雑草などが生茂り荒れ放題となっています。屋敷の側にも色々な花が咲いていたと思われるような、しっかりとした作りの花壇が至る所にあった。
屋敷は昔は貴族や大商人のものであったと思われるほど立派だったと思うけど、今は壁に無数の蔓が巻きついて、壁はボロボロで所々窓が割れている所がある。
「ここは、もしかして元々貴族のお屋敷だった場所なのかな?それとも、大商人の屋敷かな?」
屋敷の周囲を見回しても、周りには木々に囲まれており、この屋敷は森の中に立っているようだった。
「見たところ人が住んでいるようには見えないし、気配も感じないから、たぶん住んでいた貴族か大商人に何かあって放棄したんだろうな。」
始祖となったことで、前世の何倍にも強化された視力でも、何か動くものは捉えられない。それに先ほど魔力を操作したことで、感知できるようになった魔力も屋敷の中には何も居ないと教えてくれている。
「そういえば、アストルティア様が転生前に安全で拠点となる場所に誕生させるとか言ってたっけ。それに手紙でも、今いる土地を贈るって書いてあったしなあ。ポーチの中にその証拠の所有証明証も入れてあるって書いてあったし。」
一度その所有証明証を確認してみることにする。ポーチに魔力を通してリストの中から所有証明書を取り出す。
証明書は前世の学生時代に貰った賞状などに使われるような紙で、文章はこの世界の言語で書かれている。内容は要約してみると、目の前の屋敷と後ろの教会を含む建物とここら辺の周囲一帯をまとめてグレイシアのものと言うことを証明すると、荘厳な文と共に女神アストルティアの名義で書かれていた。
「しかも、所有者の名前の欄に『グレイシア・アル・ネヴィカーレ』って、さっき決めてばかりのはずの僕の名前でしっかりと書かれている。」
(恐らく神様の力でやったんだと思うけど・・まあ、ありがたいということには変わりないからいいかな。)
「でも、どうしたものかな。」
外でジーヴィルの性能を確かめようと思っていたけど、どうやら屋敷の中の探索が優先になったようだ。
「でもその前に、やっぱりジーヴィルの性能を確かめた方がいいかな。もし屋敷の中に僕が探知できなかったものがあって、急に襲ってきたときに、咄嗟に武器を扱えないってことになったら目も当てられないからね。」
そうなってくると長物の槍だと屋敷の中では十分に扱えないだろうから、別のものにしないといけない。そうなると、ここはナイフは短すぎると思われるので短剣か、剣の中でも刺突攻撃に特化したレイピアのどちらかだろう。
「うぅ〜ん、短剣はナイフよりは長いけどやっぱり戦闘になると初心者だし、至近距離まで接近して攻撃できないと思うから、レイピアの方がいいかな?」
(僕が生きてきた中で殺し合うような戦いは、前世を含めて一回だけだからな。)
「よしっ!そうと決まれば、先ずはジーヴィルをレイピアの形にイメージしよう。」
レイピアって想像すると、大体は前世のフェンシングのような細い針をそのまま大きくした感じなんだろうけど、フェンシングみたいにあまり細くしすぎると折れてしまいそうだから、ここは刀身の幅を広くして、厚さも少し太くした方がいいと思う。
上手くイメージが固まると、ジーヴィルをホルスターから抜き取り、イメージと共に魔力を流す。
すると、先ほど同様僕の手の中でジーヴィルが金属の帯に分解されながら回転し、次の瞬間には先程の槍と同様、薔薇のような花をモチーフにした白銀のレイピアが握られていた。
「うん、やっぱりジーヴィルはレイピアでも綺麗だなあ。それじゃあ、ちょっと練習しようかな。」
前世では中学校の剣道の授業くらいでしか剣を握ったことないけど、取り敢えずそれらしい構えをすることにした。
「レイピアは突くことを目的とした武器なんだから、構え方も突きを主眼に置いて構えよう。」
突く動作は普通の剣や刀などの斬る動作とは全く異なるので、根本的に構え方が違う。
「先ずは、フェンシングをお手本に構えてみようかな。」
最初にジーヴィルは右手で握っているので、足を肩幅まで開いき、左の足を軽く後ろに引き、少し腰を落とす。
次に、ジーヴィルを腰の辺りまで持っていき、脇を閉める。切っ先は目の前に標的がいると仮定して、前方に。
(よしっ。構えはこんな感じだね。次は実際に突きをしてみよう。)
「スゥ〜・・・ハッ!」
掛け声と共に、右足を前に踏み出しながら腕を前に向かって伸ばし、突きを放つ。
・・・・・
音は無かった。
敢えて挙げるとすれば、踏み込んだ際の足音だけだと思う。
もしここに誰かがいれば、グレイシアの放った突きに驚嘆しただろう。その突きは、目に捉えることができないほど速く、まさに閃光の如きであった。
「うぅ〜ん、自分では上手くできてるか分からないな。それに突きの攻撃だけだといろんな敵に対応できないと思うから、切ることもできる構えにしないと。」
フェンシングの構えだと、突くことができても斬ることは難しいだろうから。もし仮に戦いで斬る動作をすれば、バランスを崩して隙を晒しちゃうから。少し変える必要がある。
そのあと、しばらく試行錯誤しながら最適な構えを考え続け・・・
体感で三十分後、まだまだ幼稚ではあるけど基本となる構えが決まった。
構えは、足は肩幅に開き、右手と反対側の左足を少し後ろにし、左手は腰のあたりに構え、右手は手の甲を上にし剣先は僕から見て左斜め下の辺りの置く構え方だ。本来は左手には短剣やバックラーと呼ばれる盾を装備するみたいだけど、今は持っていないので無手だ。
剣先を左斜め下に置いたのは、突きと斬撃、両方が行いやすいから。突きの場合は、前に出る動作に合わせて剣先を前に向けながら突き出す。斬撃のの場合は、そのまま剣先を腕ごと少しからがに引き寄せ、前にでる動作に合わせて左斜め下から切り上げる。
この攻撃の仕方を仮に名付けるとすれば、突きの攻撃は刺の型、斬撃の攻撃は斬の型と言ったところかな。他にも考える必要があるだろうが、今は十分であろう。
「さてと、色々考えたけど、今はこれだけでいいかな。そろそろ探索しないと日が暮れちゃうしね。」
すでに僕が転生して目覚めてから数時間が経過している。目覚めたときの正確な時間は分からないけど、空はすでに黄昏色に変わり始めている。
「さっき気がついたけど、本当に異世界なんだね。ここ・・」
空を仰げば、そこには地球で言う太陽と、月と思はれる大小二つの惑星が浮かんでいた。
太陽と思われる恒星は時間が経過することで移動しているが、大小二つの月は先ほどから動いているようには見えない。このことからも、ここが異世界だろうと言うことは理解できた。
「さて、そんなことより早く探索しようか。」
そう呟く僕は屋敷に足を向けた。
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最後までお読みくださりありがとうございます。誤字・脱字やアドバイスなどのご意見があればコメントしてください。
次回もよろしくお願いします。
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「あっ、そうだこう言う時こそ〈鑑定〉を使って調べよう。何かわかるかもしれない。」
手に持つこの金属物質は一体なんなのか、分かるといいが。もし鑑定して何も情報が無ければ、当分の間武器が解体用のナイフ一本だけになってしまう。
「お願いだから、何か分かって欲しい。」
さっそく〈鑑定〉のスキルを使おうと意識してみる。すると 先ほど同様頭の中に情報が流れ込んできた。
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【氷花〔ジーヴィル〕】•••別世界に存在した金属と個体名『グレイシア・アル・ネヴィカーレ』の膨大な魔力さらには『邪神ヴェルディトル』の因子を媒体に使われ金属が変質することによって創られた世界にただ一つの武器。『グレイシア・アル・ネヴィカーレ』専用の武器で魔力を通すことで好きな武器の形状に変えることができる。
Class: Weapon〔武器〕
Rarity:0 [Unknown 〔アンノーン〕]
Quality:ー
Durability:ー
Blood:0
〈吸血〉•••【ジーヴィル】を直接生物に突き刺すことで血を得ることができる。
〈刺突強化〉•••魔力を通すことで刺突攻撃時の貫通力を強化することができる。
〈凍結〉•••魔力を通すことで任意で接触した物を凍らせることができる。
〈召喚〉•••どんなに遠くに離れていても主の元に呼び寄せることができる。
〈血晶玉生成〉•••吸血した血と魔力を合わせて血晶玉を生成することができる。血晶玉の純度・大きさは吸血した血と魔力の量・純度に比例する。
【冰血世界】•••血晶玉を消費することで使用することができる。
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「これは・・すごい能力ですね。」
(素材が異世界の金属・・ただの鉄筋・・と僕の魔力、さらには邪神の因子を使ってできた武器ということもすごいけど、何よりこのジーヴィルの能力がすごい。
(吸血に刺突強化のコンビは強力だと思う。それに吸血した血で血晶玉を作ることができるっていうのは、すごく相性が良さそうだ。接触した物を凍らせる力も強力じゃないかな?)
「一回使ってみようかな。どんな風になるのか気になるし。」
一度どのようになるか試してみようと、ジーヴィルを右手に持ちどんな武器にしようか考える。
「ここは無難な剣かな、でも剣ってあまり僕に似合わないよなぁ。ここはジーヴィルの能力を最大限発揮できる武器がいいよね。」
(やっぱりジーヴィルの最大の能力は吸血だよね。吸血した血で血晶玉を作るんだし、やっぱり突き刺すことに特化した武器がいいかな。一番最初に思いつくのは槍だなあ。他にはレイピアとかだけど、まあ両方試せばいいか。)
「先ずはジーヴィルに魔力を流して槍の形に・・イメージ・・・」
頭の中でジーヴィルが槍の形になるように魔力を通すと、手の中でジーヴィルは淡く発光しながら、まるで糸が解けていくようにえ金属の帯がいくつも広がっていく。元は長方形の棒のような板のようなそんなに形をしていたジーヴィルが今は無数の帯となり手の中で回転している。
「綺麗・・・」
しばらくすると、次の瞬間僕の手には白銀に輝く美しい槍が握られていた。槍の形状は円錐状のランスでは無くいわゆるスピアという感じで、穂先は細く両刃の短剣のような形をしている。柄の部分には魔力を通す前に表面に掘られていた薔薇に似た絵とやる全体に絡むように巻き付く茨が印象的だった。
「じゃあ、さっそく素振り?でもしようかな。でもこの建物の中じゃ槍は振り回せないよね。一回外に出ようかな。」
(流石にこの中で槍を振り回して、誤ってアストルティア様の像に傷でも付けたら大変だから。それに一度建物の周辺を確認しておかないといけないしね。)
「それじゃあ、まずはジーヴィルを元に戻して、それからマジックポーチを着けてと・・・」
ジーヴィルは魔力を通しながら元の形に戻るよう念じると、戻る時も槍になる時同様、金属の帯が回転しながら元の金属板に戻った。
マジックポーチはさっきも言ったけど今着ている服にも合うようなデザインなので、ちょうどいい感じだ。
「よし、うまく着けられてる。あとはアストルティア様からの手紙をポーチに入れて、ジーヴィルはどうしようか。」
(マジックポーチの中に入れていても問題はないと思うけど、いざという時に素早く武器を構えられないからなあ。)
「そうだ!ちょうど右の腰のあたりに小さな入れ物があった。・・これ、ちょうど長方形の形をしているし、ジーヴィルを入れたら銃のホルスターみたいで取り出しやすい。」
腰のホルスターー小物入れだがーは、まるで、このために設計されたかのようにジーヴィルがぴったりとが入った。
「もしかして、アストルティア様はジーヴィルがこの形になるのを予期して、このホルスターみたいな入れ物をつけてくれたのかな。そうだったら、ありがとうございます、アストルティア様。」
(さてと、準備もできたし外に出てみよう。っと、その前に・・)
「アストルティア様、僕をこの世界に転生させてくれてありがとうございます。この世界で、新しい目標作って充実した人生を送ります。」
改めてアストルティア様の像に向かってお辞儀をし、扉を開けて教会を出た。
顔がジリジリと焼かれる感覚を感じながら、視線を前に向けるとそこには・・・
「何これ?」
今僕が見ているのは、屋敷の裏側であると思われる建物だった。
目の前には荒れ果てた大きな裏庭と思われるものと、これまた荒れ果てた大きな屋敷が荘厳と建っていました。
嘗ては、緑の絨毯と見紛うほど綺麗な芝生が引かれていたと思われる庭は、今は雑草などが生茂り荒れ放題となっています。屋敷の側にも色々な花が咲いていたと思われるような、しっかりとした作りの花壇が至る所にあった。
屋敷は昔は貴族や大商人のものであったと思われるほど立派だったと思うけど、今は壁に無数の蔓が巻きついて、壁はボロボロで所々窓が割れている所がある。
「ここは、もしかして元々貴族のお屋敷だった場所なのかな?それとも、大商人の屋敷かな?」
屋敷の周囲を見回しても、周りには木々に囲まれており、この屋敷は森の中に立っているようだった。
「見たところ人が住んでいるようには見えないし、気配も感じないから、たぶん住んでいた貴族か大商人に何かあって放棄したんだろうな。」
始祖となったことで、前世の何倍にも強化された視力でも、何か動くものは捉えられない。それに先ほど魔力を操作したことで、感知できるようになった魔力も屋敷の中には何も居ないと教えてくれている。
「そういえば、アストルティア様が転生前に安全で拠点となる場所に誕生させるとか言ってたっけ。それに手紙でも、今いる土地を贈るって書いてあったしなあ。ポーチの中にその証拠の所有証明証も入れてあるって書いてあったし。」
一度その所有証明証を確認してみることにする。ポーチに魔力を通してリストの中から所有証明書を取り出す。
証明書は前世の学生時代に貰った賞状などに使われるような紙で、文章はこの世界の言語で書かれている。内容は要約してみると、目の前の屋敷と後ろの教会を含む建物とここら辺の周囲一帯をまとめてグレイシアのものと言うことを証明すると、荘厳な文と共に女神アストルティアの名義で書かれていた。
「しかも、所有者の名前の欄に『グレイシア・アル・ネヴィカーレ』って、さっき決めてばかりのはずの僕の名前でしっかりと書かれている。」
(恐らく神様の力でやったんだと思うけど・・まあ、ありがたいということには変わりないからいいかな。)
「でも、どうしたものかな。」
外でジーヴィルの性能を確かめようと思っていたけど、どうやら屋敷の中の探索が優先になったようだ。
「でもその前に、やっぱりジーヴィルの性能を確かめた方がいいかな。もし屋敷の中に僕が探知できなかったものがあって、急に襲ってきたときに、咄嗟に武器を扱えないってことになったら目も当てられないからね。」
そうなってくると長物の槍だと屋敷の中では十分に扱えないだろうから、別のものにしないといけない。そうなると、ここはナイフは短すぎると思われるので短剣か、剣の中でも刺突攻撃に特化したレイピアのどちらかだろう。
「うぅ〜ん、短剣はナイフよりは長いけどやっぱり戦闘になると初心者だし、至近距離まで接近して攻撃できないと思うから、レイピアの方がいいかな?」
(僕が生きてきた中で殺し合うような戦いは、前世を含めて一回だけだからな。)
「よしっ!そうと決まれば、先ずはジーヴィルをレイピアの形にイメージしよう。」
レイピアって想像すると、大体は前世のフェンシングのような細い針をそのまま大きくした感じなんだろうけど、フェンシングみたいにあまり細くしすぎると折れてしまいそうだから、ここは刀身の幅を広くして、厚さも少し太くした方がいいと思う。
上手くイメージが固まると、ジーヴィルをホルスターから抜き取り、イメージと共に魔力を流す。
すると、先ほど同様僕の手の中でジーヴィルが金属の帯に分解されながら回転し、次の瞬間には先程の槍と同様、薔薇のような花をモチーフにした白銀のレイピアが握られていた。
「うん、やっぱりジーヴィルはレイピアでも綺麗だなあ。それじゃあ、ちょっと練習しようかな。」
前世では中学校の剣道の授業くらいでしか剣を握ったことないけど、取り敢えずそれらしい構えをすることにした。
「レイピアは突くことを目的とした武器なんだから、構え方も突きを主眼に置いて構えよう。」
突く動作は普通の剣や刀などの斬る動作とは全く異なるので、根本的に構え方が違う。
「先ずは、フェンシングをお手本に構えてみようかな。」
最初にジーヴィルは右手で握っているので、足を肩幅まで開いき、左の足を軽く後ろに引き、少し腰を落とす。
次に、ジーヴィルを腰の辺りまで持っていき、脇を閉める。切っ先は目の前に標的がいると仮定して、前方に。
(よしっ。構えはこんな感じだね。次は実際に突きをしてみよう。)
「スゥ〜・・・ハッ!」
掛け声と共に、右足を前に踏み出しながら腕を前に向かって伸ばし、突きを放つ。
・・・・・
音は無かった。
敢えて挙げるとすれば、踏み込んだ際の足音だけだと思う。
もしここに誰かがいれば、グレイシアの放った突きに驚嘆しただろう。その突きは、目に捉えることができないほど速く、まさに閃光の如きであった。
「うぅ〜ん、自分では上手くできてるか分からないな。それに突きの攻撃だけだといろんな敵に対応できないと思うから、切ることもできる構えにしないと。」
フェンシングの構えだと、突くことができても斬ることは難しいだろうから。もし仮に戦いで斬る動作をすれば、バランスを崩して隙を晒しちゃうから。少し変える必要がある。
そのあと、しばらく試行錯誤しながら最適な構えを考え続け・・・
体感で三十分後、まだまだ幼稚ではあるけど基本となる構えが決まった。
構えは、足は肩幅に開き、右手と反対側の左足を少し後ろにし、左手は腰のあたりに構え、右手は手の甲を上にし剣先は僕から見て左斜め下の辺りの置く構え方だ。本来は左手には短剣やバックラーと呼ばれる盾を装備するみたいだけど、今は持っていないので無手だ。
剣先を左斜め下に置いたのは、突きと斬撃、両方が行いやすいから。突きの場合は、前に出る動作に合わせて剣先を前に向けながら突き出す。斬撃のの場合は、そのまま剣先を腕ごと少しからがに引き寄せ、前にでる動作に合わせて左斜め下から切り上げる。
この攻撃の仕方を仮に名付けるとすれば、突きの攻撃は刺の型、斬撃の攻撃は斬の型と言ったところかな。他にも考える必要があるだろうが、今は十分であろう。
「さてと、色々考えたけど、今はこれだけでいいかな。そろそろ探索しないと日が暮れちゃうしね。」
すでに僕が転生して目覚めてから数時間が経過している。目覚めたときの正確な時間は分からないけど、空はすでに黄昏色に変わり始めている。
「さっき気がついたけど、本当に異世界なんだね。ここ・・」
空を仰げば、そこには地球で言う太陽と、月と思はれる大小二つの惑星が浮かんでいた。
太陽と思われる恒星は時間が経過することで移動しているが、大小二つの月は先ほどから動いているようには見えない。このことからも、ここが異世界だろうと言うことは理解できた。
「さて、そんなことより早く探索しようか。」
そう呟く僕は屋敷に足を向けた。
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