日常【BL】

Motoki-rhapsodos

わが身ひとつの 2


「なぁなぁ、先輩ってどんな人?」

興味が湧いて訊いてみる。すると祐志は驚いた顔で俺を見返すと、すぐに視線を逸らせた。

「どんなって……。面白い人だよ、ノリがよくて。俺等より2つ上で、後輩の面倒見がよくて。いつも俺達グループの、中心だった」

「へぇ」

「親父さんが長距離トラックの運転手であんま家にいないもんだから、先輩のアパートが俺達の溜まり場になってた。だからアパートに行くと、ゼッテー誰かが上がり込んでんだぜ。で、先輩は俺等が行くと、『おかえり』って言うんだ。――俺はなんだか、それが嬉しかったな」

微かに微笑む祐志に、「いい先輩なんだな」と返す。すると祐志は、一瞬ためらうようにして口を噤んだ。

「なんだよ?」

「いや。……でも怒ると、スゲー怖い」

「うそぉッ!」

思わずヒビッた声丸出しで叫ぶ。

祐志でさえあんなに怖いのに、その祐志が「怖い」っていう先輩って、どんなだよッ!

一瞬マジで帰ろうかとも思ったが、クスクスと笑う祐志がなんだか幸せそうで、俺はそのまま笑って歩いた。

「俺がもし先輩の地雷踏んじゃったら、祐志が助けてくれんだよな?」

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