日常【BL】

Motoki-rhapsodos

夜ぞふけにける 2


「あー……。そういや2人で毎晩ガヤガヤとうるさかったわ」

うんざりと言った俺に、カラカラと笑う。

「あいつ、不器用だしね」

「あ、やっぱそう思います? のわりに、ヒトの不器用さには全然容赦ねーしッ」

「そうそう。結構 『怒りんぼ』 だし」

「そう! いきなりビックリするくらい怒るでしょ。周りが迷惑だっての!」

クスクスと、心底楽しそうに笑ってくれる。

自分の 『カノジョ』 の悪口を言われてるってのに、庇おうともせず会話を楽しんでいる。

――『大物』 だ、この人は。

時折、そう思う。大袈裟じゃなく 『我儘』 な姉貴と付き合っていられる時点で、それは証明されている気がし た。

姉貴と同じ大学に通う潤一さんは、姉貴より2つ上の3回生だ。サークルが一緒だと聞いたが、どうやら姉貴 が潤一さん目当てに入ったようだった。

「右下左前、右下左前」

隣で、潤一さんが呪文のように唱える。

首を傾げて目を遣ると、又もや可笑しそうに微笑んだ潤一さんが、前を掛け合わせるような仕草をしてみせ る。

「コレ。間違えたら、死人になってしまうんだってさ。なんか大騒ぎだったよ」

コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品