日常【BL】

Motoki-rhapsodos

忍ぶれど 4

「じゃさ、来年は行こうぜ? 早めに日にち、調べとくからさ」

「…………」

無言の俺に、弘人も黙り込む。小走りで俺の隣に並ぶと、窺うように顔を見つめてきた。

「大丈夫だよ。メールくれってみんなには言っといたし」

何を勘違いしたのか、フォローの台詞を口にする。

「もしメールきたら、それから行ったっていいし。みんなも、向こうで会えるとは思ってないかもしんないし」

必死になって言う弘人に、もう1度足を止める。

「――あのな」

お前は最初に、相沢を誘ったんだぞ。

なら相沢を、誘うべきだろが。

なぜ、この馬鹿には、俺の言いたい事が解らない?

無言で見下ろす俺を見上げて、弘人は申し訳なさそうに言葉を続けた。

「俺勝手に、お前行けると思っててさ。2人で行くよりみんなで行った方がいいかと思って。夏休みに入ったら、他のみんなとはしばらく会えないし……」

「――は?」

頓狂な声で問う俺に、弘人も「えっ?」と訊き返してきた。

「なんだって?」

「え? だから。他の奴等とはしばらく会えなくなるし」

「じゃなくてその前」

思わず、力が抜ける。

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