一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

3years later 2

わたしはすぐにそのムービーを彼に送った。

どこに居たのか、数十分で飛んで来た。

玄関のベルが鳴る。

キーボードを弾いていた手を止めて、玄関へと駆けてゆく結の姿をわたしは追った。

玄関を開けるとそこには、スマホを手に息を切らしながら立ちすくむ優輝くんの姿があった。

「ゆー!」
喜ぶ結を抱き上げ、強く抱きしめる優輝くんの腕の中で、少し驚いた様子の結だったが、次の瞬間結は、優輝くんの頬にkissをした。



「落ち着いた?」

久しぶりに感情のままに泣く優輝くんの、右側にわたし、左側に結、三人並んでソファに座っていた。
結も黙って隣に居た。


そう...
結は、優輝くんが由香ちゃんの為だけに作ったあの曲のフレーズを弾いて歌ったのだ...

「由香...最後に言ったんだ...あの曲だけ天国に持って行くから...って...
あの曲歌って待ってるから、また私を見つけてね...って言い残して逝ったんだ...」

そう言って優輝くんは結の頭を撫でた。

「結の中に、由香ちゃんの想いの欠片があるのかもしれないよ...
結がお腹に宿ったのは、由香ちゃんの四十九日にあたる頃だもの...」

「...そうか...由香が残して行ったのかもな...」



人の想いや願いは、時空を超えて紡がれてゆくのかもしれない。
咲さんの想いも、由香ちゃんの想いも、これからもわたしはそうちゃん、加奈、陽介くん、優輝くんと共に、歌に込めて歌ってゆくよ...




[完]

「一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「現代ドラマ」の人気作品

コメント

  • 来亜子

    ずっと読んでくれて応援してくれた方を失ってしまって、心が折れた日もありました。それでも最後まで書き上げることが出来たのは、やはりずっと読んでくれて応援してくれたあなたの存在があったからです

    1
  • 来亜子

    長く書き続けてきたこの作品、本日完結させることが出来ました。途中スランプになって、アップしたのを(コメントくれていたにもかかわらず)消してしまって

    1
コメントを書く