一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

next stageへ 9

本番が始まる。

演奏陣がステージに表れると、5万人の割れんばかりの大歓声に、武者震いする。

来蘭の姿がないことに気が付いたオーディエンスたちが

『来蘭ー』
『来蘭ちゃーん』

来蘭の名を叫ぶ...

来蘭コールの中、センターステージからせり上がってくる来蘭の姿に、悲鳴と歓声が上がる!

来蘭の今日の歌声は素晴らしかった...
ただ、走ったりジャンプしたり、という動きは抑え目のような気がした...

それを補うかのように、加奈と陽介のパフォーマンスが凄かった!

陽介はあれはギタリストにしとくのは勿体ないとよく多方面から言われているが、今回の東京ドーム公演の後には、もっとその声は上がるだろうな...

加奈は、絶妙に来蘭の側に寄り添いながらのパフォーマンスと演奏に、ここから見ていて圧巻だった。

優輝はもう、すべての音を掌握し、タクトを振る指揮者のようだった。


本編25曲、アンコール3曲、全28曲を演りきった!!



鳴り止まぬオーディエンスの歓声に、もう一度ステージに上がる。

最後は必ず来蘭は1人で花道を歩き、センターステージの先端まで行く。

ここで行くと決めていた!

マネージャーが、エンゲージリングの小箱を大切そうに持って来た。

「来蘭!そこにいろ!」

俺は小箱を片手に、花道を一歩一歩歩いて行く。

観客たちは、固唾を呑んで俺と来蘭を見守っていた。

センターステージで待つ来蘭をスポットライトが照らす。

センターステージに着いた俺は、来蘭の足元に片膝を着いて跪いた。

「三年前の今日、来蘭に出会って一目惚れしてから、俺の青春には全部来蘭が居たよ...
この先の人生にも、すべてに来蘭が居て欲しい。
結婚しよう、来蘭」

悲鳴と歓声の中、エンゲージリングの箱を開けて差し出した。

涙を流しながら

「はい」
と返事をした来蘭の左手の薬指にリングを通し、立ち上がり抱きしめてkissをした。


そして来蘭は
「わたしからも伝えなきゃいけないことがあります」
と、話し出した。

お腹に手を当て
「ここに、そうちゃんとわたしの赤ちゃんが宿っています」

俺は一瞬頭が真っ白になったが、次の瞬間には来蘭を強く抱きしめていた。
溢れる涙は止めようがなかった。

「幸せにする。来蘭もお腹の子も絶対幸せにする」


鳴り止まぬ拍手と歓声に包まれて、俺と来蘭はもう一度kissをした。


 

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