一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

next stageへ 2

「と言うわけで、東京ドーム決定だから明日から色々打ち合わせだからねー」

それだけ言うと、瀬名さんは帰って行った。

「東京ドームだってよ...」
独り言のように陽介が呟く

「信じらんないね...」
加奈も呆然としながら言う

「東京ドームって、何人入るの?」
来蘭がやっと口を開いた。

「55000人だって...」
ググりながら優輝が言う

「キャパだけから言うと、さいたまスーパーアリーナの倍か...まぁ間違いなく国内最大級の会場なのは確かだな」
と俺が言うと

「随分冷静だなぁ奏太、東京ドームだよ?さすがに俺は冷静で居られないわ...」
陽介はまだ放心状態だ。

「目指していた場所だったからな...いよいよかと思ってな...」



撮影が終わり、事務所のバンに5人で乗り込む。

来蘭は子供みたいに、必ず窓側に座りたがる。
俺は窓の外の景色をいつも嬉しそうに眺めている来蘭の横顔が見たくて、窓側じゃない方を選ぶ。
そんな他愛もないことも、随分と二人の間で自然になってきたなぁと思いながら来蘭の手を握った。
相変わらず小さい手だなぁ...って、握った手を見つめていると
「そうちゃん、そうちゃん」
と来蘭は握ったその手をクイクイと引っ張った。

「ん?どした?」

「イルミネーションが素敵...見て!ほら!東京タワーも見える!」

来蘭に言われて窓の外に目をやると、六本木けやき坂のイルミネーションの先に東京タワーが見えていた。

「来蘭、東京タワー好きだよなぁ...
こないだも渋谷スクランブルスクエアの屋上からの夜景、東京タワーばっかり見てたもんなぁ」

「うん、東京タワー好き♡」
ほんとこうゆう時の来蘭の無邪気な顔はキュン死にするわ!勘弁してくれぇー

東京タワーをスマホカメラに収めようとした来蘭のスマホの時間が目に入る。

『23:59』

「なあ...俺以外を好きとか言っていいと思ってんの?
よそ見してんなよ...
邪魔な東京タワーはこうしてやる!」

指先のピストルで〈バン〉と打ったその瞬間に、東京タワーの明かりが消えた。

「きゃあ!!」

驚く来蘭の顔を、グイッと引き寄せ

「俺だけ見てろ、ばか...」

そのまま唇を塞いだ。
そして来蘭の耳元で囁いた

「今夜は帰さない...」

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