一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

next stageへ

〈奏太side〉

翌日、翌々日のさいたまスーパーアリーナのライブには、メンバー、スタッフみな喪章を付けて行った。

優輝は涙も見せず、気丈に2日間のライブをやりきった。
しかしこの数週間ほとんど寝ていなかった身体は、もう限界をとうに超えていたのだろう...ライブ最終日、すべてのライブが終わったと同時に、糸が切れた人形の如く倒れた...

優輝は、丸2日ほとんど寝続けた。
夢で由香ちゃんと会えているようにと、誰もが願った。

そして2日ぶりに目を覚ました優輝は、とても穏やかな顔をして僕らに言ったんだ

「さぁ、next stageへ行こう...」

それから優輝は作曲の神が降りて来ているかのように素敵なメロディーを次々と生み出した。
そしてそれに応えるかの如く来蘭も素晴らしい詞を乗せ、今後何世代も歌い継がれるであろう名曲がいくつも生まれたんだ。

そんな僕らRe Lightに、優輝の言うnext stageが用意されることになったのは、来春に高校卒業を控えた、年の瀬のことだった。

年明けに発売される、newアルバムのジャケット撮影スタジオに瀬名さんが訪れた。

蓮の撮影した写真を見ながら
「この来蘭ちゃんの表情エロティックでいいねえ...蓮にしか引き出せないねこの表情は!
この来蘭と加奈の絡みもいいじゃん!来蘭加奈推しはこれ狂喜乱舞するよ」
などと大絶賛している

こうゆう現場にはマネージャーは帯同しても、瀬名さんが姿を表すことはほぼないのだが...

もしや!

ピンと来た俺は、瀬名さんと目を合わせた。

瀬名さんは黙って頷いた。

決まったのか!

「珍しいじゃないですか瀬名さん、どうしたんすか?」
陽介の問いかけに

「お前らに、ちょっとしたニュースを届けに来たんだよ」

「ニュース?なんすか?」

「うん、まぁあれだ、来年の話しさ」

微妙に勿体ぶってる...

「来年?」

「なんと!!東京ドームが決まりました!!」

「........」(全員絶句)

「いやいやいや、嘘でしょ?」
そんなわけないって顔して陽介が言うと

「嘘じゃないって!ってかお前らもっと喜べよ!」
不満そうな瀬名さんに、俺は聞いた

「それで...日程は...」

「4月3日だよ」
そう言って瀬名さんは、俺に向かってニヤリとした。

俺は素知らぬ顔してチラッと来蘭の反応を見た。

気がついたかな...

...気がついて...ねぇな...あれは...

ホッとしたような、ちょっとガッカリしたような...

覚えてないのかよ...出会った日を...



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