一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

文化祭 10

それぞれの立ち位置へと進み、楽器を携える。

わたしは静かにマイクスタンドの前に立つ。

ステージには、シルエットだけを映す幕。

優輝くんのピアノが響き始める。

1曲目は、わたしたちが始めて作り上げたあの曲から…

とてつもなく暗く重いスタートに、静まり返る観客たち…

幕のこちら側で姿も見せずに演奏をするわたしたちに、観客は目を凝らしている…


静かにわたしは歌い始める。
救いの欠片もなかったあの頃の感情を歌に込める…

2コーラス目に入るドラムを合図に幕は振り落とされる!!

眩い照明に照らされ、『暗から明』へとスイッチが入る!

加奈のベースが子宮に響き、陽介くんのギターで覚醒する!!


破れた網タイツを纏った卑猥な片足を、モニターアンプに乗せ、観客を見据え、ひとこと
〈『Re Light』の世界へようこそ〉


そのまま2曲目へ突入、わたしはステージ狭しと走り回る!
加奈に駆け寄り、背中を合わせ身体を預け、振り返りざまに加奈の唇を奪う…
〈来蘭加奈〉推しの女子たちの悲鳴が響く

今度はギター側に寄り、ゾンビと絡む…
アドレナリン全開のゾンビに首を噛まれる…
あぁ…脳天がシビレる…


3曲ノンストップでやりきった!

照明が一旦消え、水を一口飲む…

スタッフさんが、ステージ脇からアコースティックギターを持ってくる。
わたしは、紫音先生のGibsonのビンテージギターを抱え、マイクスタンドの前に立った。

照明がわたしだけを照らした。



コメント

  • 来亜子

    本当にいつも嬉しいよ

    2
  • ノベルバユーザー427233

    演奏している所を想像したら脳がゾクってした

    1
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