一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

初ライブ 8

危ない!!
そう思った時にはもう遅かった...

フロアに響き渡る悲鳴
倒れ込む来蘭
広がる血の海

拓海がヤリ捨てた女の狂気の沙汰だった...

凶器がカッターナイフだったこと、ベースのボディが来蘭の身体を守ったことは、不幸中の幸いだった...だが刃先は来蘭の右腕の太い血管を切り裂き、みるみるうちに来蘭の腕は血に染まり、顔は青白くなって行った...

青木が自分のTシャツを破って傷口を縛って止血をするが止まらない...

「救急車!誰か救急車を呼んで!!」
泣きながら叫んだ。

廣瀬先輩が、刺した女を取り押さえる。
チラリと見えたその顔は、SNSに晒すと言っていた女とは違った...

その女はフロアで、この状況を撮っていた...
殴りに行こうとして立ち上がると、ステージから吉井先輩が飛び降りて殴り飛ばし、スマホを踏みつけた。





大森さんの車に、吉井先輩と廣瀬先輩とあたしの3人で乗り込んで、運ばれた病院へと向かっていた。車中、誰も何も喋らなかった...

病院の処置室の前に、血で真っ赤に染ったTシャツ姿のまま、青木は座っていた...

「奏太!来蘭の容態は!」
吉井先輩が青木に聞く

「うん...命に別状はないよ...でも傷が深くて...右腕の神経が断裂してるかもしれないって...最悪、右手に麻痺とかの障害が残る可能性もあるって...」

「あたしが照明落とさせたりしたからだ...あたしのせいだ...」
泣くまいと唇をキツく噛んだが、大粒の涙が足元にぽたぽたと落ちた...

「井澤のせいじゃない。井澤は守ろうとしてやったんだから、誰も井澤のせいだなんて思ってないよ...」
青白い顔をしながら、あたしを気遣うことを言う青木の姿にまた涙が溢れてくる...

「大森さん、吉井先輩、廣瀬先輩、ご迷惑をおかけして申し訳ありません」
そう言って深々と青木は頭を下げた
「せっかく頂いた機会が...こんな...ことになってしまって...」
膝に手を置き、頭を下げたまま涙声で言う青木を大森さんが抱きしめる。
「馬鹿野郎、こんな時に大人ぶらなくていい!」

来蘭は処置が終わり病室に移された。
着替えに帰れと先輩たちに言われたが、来蘭の側を離れたくないと、青木は聞かなかった。

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コメント

  • 来亜子

    何をおっしゃいますやら!あなたのコメントを励みにここ最近は書いているのですよ(泣)
    1ページアップするごとに、♡がひとつ付くのがどれほど嬉しいことか...
    いつも本当にありがとう✨

    初ライブがこんなことになってしまって、それぞれが深く傷付いて、作者なのに胸が締め付けられる思いです...

    あ、そうだ!
    タイトルを変えました。
    「一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...」に変えました。

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  • ノベルバユーザー427233

    未蘭を刺した奴め、吉井先輩廣瀬先輩 井澤 奏太 達は未蘭を心配して…重い空気に、せっかくの最初のライブステージがこんな結果になるとは、残念だな〜 何より大事に至らなくて良かった 貴方の虜になりました、たまにコメントしすぎて迷惑かな〜って思う事がありますけど、大丈夫ですか?

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