一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

徹夜のリハ 3

〈奏太side〉

バーカウンターの椅子に腰掛けて、ミネラルウォーターを飲みながら、スピーカーから流れる自分達の演奏に耳を傾けていた。
時計は深夜の2時を指していた...
に、2時!?
来蘭大丈夫か?
来蘭の姿を探す...

来蘭は向こう側のソファに1人で座っていた。
来蘭に近づこうとすると、陽介と優輝にパーカーのフードをぐいっと引っ張られた。

(「寝てる」)

(「来蘭ちゃん寝ちゃってる」)

男3人で、そーっとソファで眠る来蘭の側に近づく...

「天使だな...」
思わず呟いてしまった俺に続いて

「うん」
「天使だな」
陽介も優輝も呟く

「うちの『姫』だからな」
と優輝が言うと
「姫って言うと、まだ恥ずかしがるけどな」
陽介がクスっと笑う

「輝かせてやりたいよな、天使みたいな寝顔のうちの『歌姫』をさ...」
と俺が言うと、優輝も陽介も頷いた。

「さすがに俺らも眠いな...ソファひとつだしな...優輝俺ん家来いよ、ちょっと寝ようぜー」
陽介が優輝を連れて帰ってった。

連れてくか...
いわゆる「お姫様抱っこ」をするしかないなと、寝ている来蘭の背中に手を回したところで目を覚ましてしまった...
「んん...」
寝ぼけて抱きついてきた...
これ、手を出さないで居ろってのは拷問だぞ...
来蘭が首に手を回してくれたから、そのまま抱き上げて家まで運んで、俺のベッドに降ろして寝かせた。

可愛らしい寝息を立てて眠る来蘭の横に俺も横になって、しばらく寝顔を見ていた...
kissくらいはいいよな?
そっと唇に触れるだけのkissをして、すぐに離れて、来蘭の横に仰向けになって天井を見た。
すると寝返りをうった来蘭が、俺を抱き枕と勘違いでもしたのかのように
「そうちゃぁん...」
と言いながら抱きついてきた...
「来蘭...」
抱きしめ返して俺も名を呼んだ...
「てっぺん取ろうな...てっぺん取れたら〈ひとつ〉になろうな...」

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