一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

来蘭をDVから救え 5

そうちゃんと一緒に教室に戻ると、加奈は静かにわたしの後ろの席に座っていた。


教室のドアが開き、ドアのすぐ横の席に座るわたしを担任の長谷川先生が呼んだ
「赤井、だいたいのことは青木から聞いた。これからのこと話そう。一緒に来なさい。」

「はい」

そうちゃんも一緒に行こうとしたが、先生に制された。


わたしは保健室へと連れていかれ、女性である保健の先生に、身体にある痣を確認された...
惨めで涙が出た...

担任と、保健の先生と、わたしの三者で話し合いがなされた。

「赤井はどうしたい?先生たちはそれを尊重したいと思ってる。」

「わたしは...出来ることなら、あの家を出たいです。
でも、これからもこの学校に卒業まで通いたいのです。それには、今の状況に我慢するしかないと思ってました...
だけど、この状況を脱する方法がもしあるのなら、力を貸して頂きたいです。」
そう言って私は頭を下げた。

先生たちからの提案としては、父親がこの状況を知らないのだとするなら、まずは父親に学校側から話しをしてくれるということになった。
父親に電話など、あまりしたことはなかったが、わたしのスマホから先生が電話をしてくれた...

きっと仕事中だろうし、わたしの番号から着信あったとしても出ないだろうな...
保健室の窓から見える空をぼんやりと見ていた...

案の定、何度かかけたようだが、父親は出なかったようだ。
かけ直してくる可能性もあるだろうと、担任にスマホを預けて、ひとまず教室に戻るようにと言われた。

授業中の学校はしんと静まり返って、不思議な空間に感じた。この校舎内には、沢山の人間が居るはずなのに、誰も居ない廊下を歩いていると、自分がたった一人のような気持ちになった。

自分の教室に向かう気にはとてもなれず、無意識に向かった先は、部室である第2音楽室だった。
重い防音扉をそーっと開けて、中の様子を伺う...
この時間音楽の授業はないようだ。

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