一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

デート(楽器屋) 6

〈来蘭side〉

Gibsonと書かれた重厚なハードケースを開けると、赤いボディのベースが姿を現した。
ストラップを調整すると、店長さんがわたしにそのベースを持たせてくれた。
重さも問題ないし、ボディ部分も、わたしの身体に馴染む感じがするし、もうそのファーストインプレッションからこれだ!って感じがした。

廣瀬先輩も店長さんも、うんうんと頷いてる。

「わたし、赤いベースにするって決めてたんだ!」

「赤井 来蘭の赤だから?」
と陽介くんが聞くので

「うん!」
と返事をしたら、そこに居たみんなが、どっと笑った。

「なんで笑うの?おかしい?」

「いや、いいと思うよ」
と店長が笑いながら言う。

失礼しちゃうわね、もぅ
心の中で呟く。

「そしたら俺は黄色のギターを探さなくちゃな!奏太は青いドラムセットを調達しないと!」
陽介くん、絶対馬鹿にしてる...

「そうちゃんも陽介くんも、今日買うの?!」

「そのつもり!!」
2人声を揃えて言った。

「わたし、このベースに決めた!」

「お買い上げ有難うございます。」
と店長さんはニッコリと笑った。

わたしたちは、そうちゃんと陽介くんのドラムとギターを探すべく林店長さんの店を後にした。
わたしのベースは、調整に少し時間がかかるというので、帰りに受け取りに寄ることにして預けることにした。

「陽介くんは、お兄さんがギター弾くから家にあるって言ってなかった?」
と聞くと

「アニキのギターはあくまでもアニキのギターだからねー、やっぱりやるからには自分のギター欲しいから買うことにしたんだ!」

「そっか、そうだよねー、やるからには自分だけの相棒が必要だよね!で?やっぱり黄色のギターにするの?」
って聞いたら、3人して横向いて吹き出してる...

「そうだね、良い黄色のギターが見つかるといいんだけどねー」
とか言ってるけど、絶対黄色いギターなんか買う気ないくせに...

「そうちゃんはドラムセット買うの?」

「おう!じゃないと練習できないからなー」

「ドラムセット置くとこあるの?」

「うち、デカいガレージがあるんだよ!そこに置くことオヤジに了解もらったから大丈夫!」

そうちゃんち凄いんだな...


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