一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

僕の歌姫 11

どのくらいホームのベンチに居ただろうか...
何本もの電車が、このホームに入って来ては大勢の人々を降ろしては行き過ぎてった...
僕はただそれをベンチに座って見ていた。

フッと、昼休みに見えた彼女の〈水色のパンツ〉を思い出して、ちょっと笑ったら、手のひらで、スマホが震えた。

彼女からのメッセージだった...

「最後の曲の歌詞を書いてみてもいいかな?」
とあった...

それは昨日浮かんだばかりのメロディーだった...作ろうとして作ったメロディーではなく、フッと降りてきたメロディーだった。
とにかく忘れないように録っておかねばと、あわてて録ったやつだ。

僕はすぐに
「もちろんだよ!」
と返事を送った。

よりによってあの曲かよ...

彼女に出会うために降りてきた曲のような、そんな曲の歌詞を彼女は書いてみたいと言った。

メロディーラインのみのあの曲は、まだなにも他の音は足していない...

あの曲を彼らと一緒に作ってみたらどんな曲に仕上がるだろうか...
彼女があの曲を歌ってくれたなら、きっとすごくいい曲になるだろう、そこだけは確信がある。
文化祭を目標にやってみるか!

僕はやっとベンチから腰を上げた。

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