一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

僕の歌姫

「来蘭ー!部活行くぞー」
早々と荷物をまとめたそうちゃんがわたしを急かす

「ちょっと待ってってー」
まったくもぅ、そうちゃんはせっかちなんだからー
なんて思いながらも、急いで支度をして席を立った。

そうちゃんに手を引かれ、1組の陽介くんのところへ向かった。
そうちゃんが1組のドアを遠慮なく開けると
「陽介ー!」
と叫ぶ
「おー、今行くー」
と陽介くんの声が返ってきた。
程なく陽介くんが出てきて、3人で第二音楽室へと向かった。

重い防音扉を開けると、もう先輩たちが音を出していた。
圧巻の先輩たちの演奏を、わたしたち3人は机に座って楽しんだ。

3曲ほどノンストップで演奏すると、先輩たちがわたしたちに気がついて楽器を置いた。

「お、来蘭!来たか!」
廣瀬先輩が、お兄ちゃんのように嬉しそうに言ってくる
「廣瀬先輩っ!」
先輩に駆け寄ると、廣瀬先輩がわたしの頭をわしゃわしゃする。

「廣瀬と来蘭ちゃんってさ、ムツゴロウさんと犬みたいだよね」
とドラムの菊地先輩が言うと、みんな笑いながらも妙に納得。

そう言えば...と、陽介くんが先輩たちに
「ドラムの菊地先輩とギターの菊地先輩って名前なんていうんですか?」

「あー、そうか、言ってなかったか!
ドラムが英二(えいじ)で、俺は英昭(ひであき)!名前で呼んでいいからねー」
と英昭先輩。
英昭先輩は、美少女みたいな綺麗な顔をしてるけど、ギターを弾き始めると、ものすごい
オーラを放つ不思議な人。
ボーカルの吉井先輩はもちろん、廣瀬先輩も英二先輩も、色気とオーラが半端ない。
メジャーデビュー目指してるって言ってたけど、間違いなく売れると思う。


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