一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

テトラポット 2

〈奏太side〉

「小田原から通ってるって、誰も同じ中学のやつが居ない学校にあえて来たって言ってたろ?さっき」

だまってうなづく来蘭

「なんか気になってさ...」

下を向いていた来蘭がゆっくり顔を上げ、真っ直ぐ正面を向いたまま、そこに広がる海を見つめながら話しはじめた
「中学は、楽しいことなんてなにもなかったなぁ...だからわたし、中学では出来なかったこと高校では全部やりたいんだ。勉強も恋も部活も文化祭も体育祭も修学旅行も全部楽しかった!って最後に言えるようにしたいの」
そう言った後、来蘭はまたうなだれて言葉を続ける
「でも...それにはどうしたらいいのかわかんないや...」

「来蘭!俺に任せろ!」
えっ?って顔して俺を見る来蘭の肩に手を置き立ち上がると、ヒラリとテトラポットを降り、目の前の砂浜に立って来蘭を見上げて言った
「来蘭の望み、俺がこれから全部叶えてやるよ!」

足元に転がって来たビーチバレーのボールを拾うと、渾身のジャンピングサーブで返してやった。久しぶりに打ったけど、飛ぶもんだな。
ビーチバレーやってた連中からの拍手が聞こえて来る
来蘭もびっくりして手を叩いてる。
「すごいねそうちゃん!かっこよかった!!」

「え?最後の聞こえなかった、もっかい言って?」

来蘭は素直にもう一度言う
「かっこよかった!」

だめだわもう俺
かわいすぎるよ来蘭
なんなの?その素直さ
普通の女子はね、2度目はもう言わない!とかあざとく言うんだよ!

緩んだ顔を、キリッとさせてから
「俺、中学ん時バレー部だったんだ!しかもキャプテン!」
ドヤってみた

「すごい!キャプテンっぽい!うん!」
手を叩きながら興奮気味に来蘭が言う
「じゃあ高校でもバレー部入るの?」

「いや、高校ではバレー部入るつもりないよ」

「そうなの?どうして?」

中学でバレーはやりきったということ、バレー三昧で、他のことはなんにも出来なかったこと、だから高校では中学で出来なかったことをやりたいんだと話しながら気が付いた。
「あれ?これ、俺も来蘭と同じなんじゃん」

「ほんとだね。高校では中学で出来なかったことやりたいね」
と言って、来蘭は少し悲しそうな顔で笑った。

「なんで中学は一緒じゃなかったんだろう俺たち...俺がそばに居たら、来蘭を守ってやれたのにな」
と言って横を向くと、来蘭の目からは涙がこぼれてた...
「どうして?どうしてわかるの?」

「わかるよ」
とだけ言って、抱きしめた。

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