一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...

来亜子

下駄箱 3

〈来蘭side〉

鞄を教室まで取りに行ったそうちゃんを下駄箱で待ってた。

さっき、後から抱きしめられたよね...
びっくりした...
でも、いやじゃなかったな...
むしろ...

小さい頃から、コロコロのぽちゃぽちゃだったわたしは、男の子からはいじめられることはあっても、優しくされたことなんて1度もなかった。
だから男の子と話すことすら上手く出来ない。陽介くんの何気ない言葉にもこんなありさまだ。

あれ?そう言えばそうちゃんとは、最初から普通に話せたな...

あ、そうちゃん来た。

そうちゃんの姿が見えたとたん、わたしは走り出していた。

わたしが視界に入ったそうちゃんは、その場で立ち止まり腕を伸ばし、わたしの手を掴んだと同時にぐいっと引き寄せた。
あっ  と思う間もなく、わたし身体はそうちゃんの腕の中に居た。
ふわりとそうちゃんの香りがした...

数秒後、ごめんといって身体を離したそうちゃん

一瞬どんな顔したらいいのかわからなくて困ったけど、そうちゃんの顔を見たらもうそんなのどうでもいいやって思えるくらいの優しい顔をしていたから、わたしも笑った。

「帰ろう、そうちゃん」

そうちゃんはゆっくりうなずいた。

2人で靴を履き替える
大きなローファーと小さなローファーが並ぶ
 
「来蘭のローファーちっちゃ!」

「そうちゃんのが大き過ぎるんだよ!」

ローファーに足を入れ損ねて、よろけたわたしを
「っぶねーなーもー」
って支えてくれる
なんかもう、いちいち優しいなぁもぉ

「なぁ来蘭ー、寄り道してかない?」

「え?寄り道?」

「ここから海まですぐだから、そこでジュース買って海行かない?」

「海っ!!行くっ!」

ってそうちゃんの顔を見上げたら、くるっと向こう側を向いてしまって
「...わいすぎる...」って小さく聞こえた気がした。
そして、そうちゃんの手はわたしの右手を握り
「ほら、行くぞ」
って引っ張った。


コメント

コメントを書く

「現代ドラマ」の人気作品

書籍化作品