自重を忘れた少年は貴族になる

時雨古鷹

洗礼  part1

 ミズキがきてからはや一ヶ月今日はとても大事な日だ。なぜならば、ようやく加護がもらえるのだ。

「フィルそろそろいくよ―」

「へーい」

〈きちんとしてください。マスター〉

〈ちきんとしてるっつーの〉

 最近やけに反抗してくるアオイをよそにフィルはいつもの装備で外に出た。

 馬車から見た街はいつもよりきれいだった。

〈ミズキの加護ほしい?〉

〈えっ、ミズキ神様じゃないよね〉

〈そうだけど精霊神の代役みたいなものだから加護与えられるよ〉

〈アオイ、解説お願い〉

〈しかたないですね。精霊神はほとんど眠っておられます。なので精霊の森つまり精霊達のすみかを治める精霊がいなくなります。なので精霊達は全員投票で精霊王をきめます。そして精霊王は精霊神からほぼ全て任されます。加護を与える権利も。なので精霊王のミズキさんは加護を与えることができる…と言うことです。〉

〈つまり選挙する。精霊王が決まる。精霊神から権利を与えられる。そういうこと?〉

〈そうだよ〉

「フィル、ついたぞ」

「ねえ父さんは加護もってる?」

「加護はもってないよ。加護は神様から認められたらもらえるんだ。神様から気に入られると加護の効果も上がるんだ。フィルはどんな加護がほしい?」

「僕はね―創造神の加護がほしい!」

「はは、そうかそうか。もらえるといいな」

「うん!」

 母さんはその間本職の冒険をしてくると出ていった。

「では今から洗礼の儀をはじめます」

 フィルは片膝をつき伝令係みたいな格好をとった。

「よろしいですかな?」

「はい」

「では、この世界を造りし神々よ、このフィルにステータスを授けこの世界のありかたをしめしたまえ」

 その瞬間フィルの視界は白に染まっていた。




目を開けると誰か座っていた。

「ようやくきたか待ちわびたぞフィル、いや星井俊君といったほうがいいかな」




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