異世界を歩いている
ファンタジー

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異世界を歩いている

  • あらすじ

      平成29年9月21日――岩手・花巻のとある海崖。
     
     「海が踊っている。
      まさに、僕を食べようとしているみたいだ」
     
      秋元賢佐・23歳。世に一度ライトノベル作家として出るも、挫折(主にテレビに曝し挙げられ、フルボッコにされた。内容が内容なので)で精神的に病む。
     
      嫌いなものは「安易に言葉を吐き出す精神」。好きなものは宮沢賢治の作品「土神と狐」。
     
     「僕は僕が恥ずかしい」
     
      その時だった。
     
     『居た・・・!』
     
      高橋嶺兎・19歳。一度だけ、賢佐の作品の挿絵を担当した女性イラストレーターである。
     
     「ミネか。良かった。最期に見る、者の顔が君で・・・」
     
     「なに、最期とかほざいているのですか!? 私は認めませんよ! なんで・・・なんで、貴方が死ななきゃいけないんだ」
     
      賢佐は苦く笑った。
     
     「それが世の理だからだ」
     
     「そんな理、あるわけがない!!」
     
      嶺兎は地面に遺書を起き始める賢佐を睨め付ける。
     
     「あまり泣かないでくれ。それだと、僕の人生に未練が出来る」
     
     「昨日の、デートは、未練を消すためのものなのですか!? そんなの・・・貴方はもっと、熱血漢だったはずだ!!」
     
      嶺兎はずんすんと賢佐に近付いていく。
     
     「人は変わるのだ。変わらないものなど、存在しない。
      例えそれが存在したとて、それは本当に世の理に準じているのか・・・答えは「否」である」
     
      そう言うと、賢佐は嶺兎の手の甲に軽いキスをし、微笑んだ。
     
     「来世は、理から外れられるよう、頑張ってみようと思う。
      ありがとう、ミネ。僕は少なからず君に救われた。
      君の人生に、幸があるよう、祈っているよ」
     
      賢佐は瞳を閉じ、海崖から海へと身を興じた。
     
     「先生・・・っ!!」
     
      それに続いて、嶺兎も。
     
     
     
     
      ――――この日、地球という病人だらけの世界から、二人の正常者が消えたのだった。

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