Infinity インフィニティ
1章3話 「美しき姉妹」
「愛らしいお姫様」の蝋人形の隣にはとても醜い顔の女性の蝋人形があった。
『No.009 醜いお姫様
 隣に立つ愛らしいお姫様の姉。彼女も生前美しい顔でまるで楊貴妃の如く隣国の王を籠絡していた。
 しかし、両親と国民は彼女を愛さなかった。みんな妹をもてはやす。彼女は他人からの愛よりも身内からの愛が欲しかった。だから妹を殺した。
 「妹がいなくなれば私が愛される」そう思った彼女は妹を殺したことをみんなに伝える。しかし、彼女が愛を得ることはなかった。ある者は妹の死を嘆き、またある者は彼女を暗殺しようと企んだ。
 妹が死んで2週間がたった後、彼女は王宮に押し入った賊に捕まり街の中心部で火炙りにされ焼死する。
 その顔は美しかった面影もなくやけただれ醜い姿になっていた。私はあえて復元せずに彼女を蝋人形にしてみた。美しい妹と醜い姉。どちらを愛そうか?』
「………………え?」
「まさかだけどさ、これってもしかしなくとも……」
私達の中に沈黙が流れる。
100歩譲ってこれが本物だとすれば、とてもやばい物と言うことになる。
「………とりあえず、ここから出よう」
美紅は真っ青な顔でそう言う。
私もその方がいいと賛成して急いで出入口に向かう。
しかし、開かなかった。
「えっ!どうして?!」
何度も強くドアを叩いていると奥から不気味な歌声が響いてきた。
『私、は……妹よりも、美しぃ〜♪︎隣国、の王も………私、に…釘付け〜♪︎でも、…私は、国ぃの…みんなの、愛が愛が愛が愛が愛が愛が!!欲しぃー!妹妹妹妹妹がぁぁあああ!いるから……妹のせいで、愛して貰えな……い〜♪︎殺して殺してっ、醜く顔を……引き裂ぃて、しまい……ましょう〜♪︎』
「……………」
「やばい、やばいやばいやばいやばい!」
私達は必死にドアを叩き開けようとする。
「開いてっ!お願いだから開いて!!」
叩いても叩いても全く開く気配がない。そうこうしている間にもその歌声はゆっくりとこちらに向かってくる。
『私、……と妹、どっちがぁ……美しぃ、の〜♪︎』
「これって、なぞなぞ…?」
「どうする?どう答えるの?!」
どう考えても「愛らしいお姫様」が美しいがそう言ってしまったら恐らくアウトだろう。
「……妹、です」
だが私はそう答える。
「ちょっ……!?」
美紅は何か言いたげたけど私は続けて彼女に私の考えをぶつける。
「妹さんはとても物憂れげな顔でした。きっと妹さんは貴女のことを思っていますよ。」
『……………』
「妹さんも身内でしょう?あの顔は貴女を心配しているんですよ。貴女は愛されてるじゃないですか……家族に」
『………そうだった。あの子も私の「家族」。妹への恨みばかりで大事な事忘れていたみたい。』
彼女の声はとでも優しいものになっていた。そこには先程の恐ろしさはない。
『…大切な事、思い出させてくれてありがとう。』
そう言葉を残し、彼女は消えた。
気になって2人の蝋人形の置いてある場所を見てみると「姉」の方はとても美しい顔をしていて更には説明書きも変わっていた。
『No.ーーー 「美しき姉妹」
 彼女らはかつて恨みによって翻弄されていた。だが開放された今はとても仲睦まじく2人一緒にいる。
 妹は姉の罪を許し、また、姉は妹を愛した。もう2人に行き違いなどない。その証拠に2人はとても幸せそうな顔をしている。』
『No.009 醜いお姫様
 隣に立つ愛らしいお姫様の姉。彼女も生前美しい顔でまるで楊貴妃の如く隣国の王を籠絡していた。
 しかし、両親と国民は彼女を愛さなかった。みんな妹をもてはやす。彼女は他人からの愛よりも身内からの愛が欲しかった。だから妹を殺した。
 「妹がいなくなれば私が愛される」そう思った彼女は妹を殺したことをみんなに伝える。しかし、彼女が愛を得ることはなかった。ある者は妹の死を嘆き、またある者は彼女を暗殺しようと企んだ。
 妹が死んで2週間がたった後、彼女は王宮に押し入った賊に捕まり街の中心部で火炙りにされ焼死する。
 その顔は美しかった面影もなくやけただれ醜い姿になっていた。私はあえて復元せずに彼女を蝋人形にしてみた。美しい妹と醜い姉。どちらを愛そうか?』
「………………え?」
「まさかだけどさ、これってもしかしなくとも……」
私達の中に沈黙が流れる。
100歩譲ってこれが本物だとすれば、とてもやばい物と言うことになる。
「………とりあえず、ここから出よう」
美紅は真っ青な顔でそう言う。
私もその方がいいと賛成して急いで出入口に向かう。
しかし、開かなかった。
「えっ!どうして?!」
何度も強くドアを叩いていると奥から不気味な歌声が響いてきた。
『私、は……妹よりも、美しぃ〜♪︎隣国、の王も………私、に…釘付け〜♪︎でも、…私は、国ぃの…みんなの、愛が愛が愛が愛が愛が愛が!!欲しぃー!妹妹妹妹妹がぁぁあああ!いるから……妹のせいで、愛して貰えな……い〜♪︎殺して殺してっ、醜く顔を……引き裂ぃて、しまい……ましょう〜♪︎』
「……………」
「やばい、やばいやばいやばいやばい!」
私達は必死にドアを叩き開けようとする。
「開いてっ!お願いだから開いて!!」
叩いても叩いても全く開く気配がない。そうこうしている間にもその歌声はゆっくりとこちらに向かってくる。
『私、……と妹、どっちがぁ……美しぃ、の〜♪︎』
「これって、なぞなぞ…?」
「どうする?どう答えるの?!」
どう考えても「愛らしいお姫様」が美しいがそう言ってしまったら恐らくアウトだろう。
「……妹、です」
だが私はそう答える。
「ちょっ……!?」
美紅は何か言いたげたけど私は続けて彼女に私の考えをぶつける。
「妹さんはとても物憂れげな顔でした。きっと妹さんは貴女のことを思っていますよ。」
『……………』
「妹さんも身内でしょう?あの顔は貴女を心配しているんですよ。貴女は愛されてるじゃないですか……家族に」
『………そうだった。あの子も私の「家族」。妹への恨みばかりで大事な事忘れていたみたい。』
彼女の声はとでも優しいものになっていた。そこには先程の恐ろしさはない。
『…大切な事、思い出させてくれてありがとう。』
そう言葉を残し、彼女は消えた。
気になって2人の蝋人形の置いてある場所を見てみると「姉」の方はとても美しい顔をしていて更には説明書きも変わっていた。
『No.ーーー 「美しき姉妹」
 彼女らはかつて恨みによって翻弄されていた。だが開放された今はとても仲睦まじく2人一緒にいる。
 妹は姉の罪を許し、また、姉は妹を愛した。もう2人に行き違いなどない。その証拠に2人はとても幸せそうな顔をしている。』
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