栴檀少女礼賛

マウスウォッシュ

ある晴れた朝の出来事

 朝、僕はショウタと登校していた。すると、橋の辺りでケンジ先輩が挨拶してきた。


「よっ、ハヤテ。」


「あ、おはようございます。」


「あ、ケンジ先輩!」


「君は......確かオニカミ君?」


「そうです! 顔と名前ご存知なんすね!」


「まぁ、お前も色々とやってるそうじゃないか。割と話題に上がるぜ? 入学早々に謹慎食らった一年坊が居るって。」


「まぁそうっすね。」


 僕たち三人は談笑しながら歩き出した。そして数分後、3人横並びで歩いてたのが悪かったのか、端っこに居た僕は向こうから来た人と肩がぶつかってしまった。


「あ、すみません!」


「ん、大丈夫っす。」


 僕が咄嗟に謝ると、ぶつかった人は軽く流してそのまま去っていった。僕は少し申し訳ない気持ちが残りつつも、直ぐに2人との談笑に戻った。








 俺は衝撃を受けつつ、その場に立ち尽くした。そして向こうから歩いてくる友達に呼び止められた。


「ネコじゃん、何してんのこんな所で。」


「お前こそ! さっき肩ぶつかったのに、なにサラッと流してんだよ!」


「流石にあの集団に因縁つけられねーよ。」


「はぁ?」


「100人斬り伝説の片割れケンジと、自校の番犬ショウタを相手に、因縁なんか付けられるわけねーだろ。」


 俺はハヤテが歩いてる方向に視線を移した。どうやら彼は、異常な交友関係のお陰で、曲がりなりにも異常者ヤンキーが多いこの辺で普通フツーの生活を送れてるのだろう。


「つかケンジとも仲がいいって、マジにナニモンだアイツ。」


 俺はいつの間にか恋敵への好奇心が刺激され、適当に切り上げるつもりだった尾行を、迷わず続行していた。








「そう言えば先輩たちの欠点者向け再テストそろそろですよね? 大丈夫そうですか?」


「まぁちょっと色々あったけど、普通に大丈夫そうだぜ。自分で勉強するクセも皆ついてきたし、何より甲子園出られなきゃアミの努力を裏切っちまうからな。」


「ケンジ先輩もアミの名前出すんすか。」


「ん? なんか不満か?」


「いや、いま俺アイツと勝負してんすよ。」


「いやショウタ、勝負とか言うけど、お前が勝手に一方的に思ってるだけだぜ?」


「るせーよ。とにかく、俺はアミに買って俺の方が優れていると証明したいんだ。」


「ふーん、ガッツあるじゃん。」

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