栴檀少女礼賛

マウスウォッシュ

マグネターより重い場

 翌日の朝のちょっとした休み時間、僕はショウタと駄弁っていた。


「なぁショウタ、お前さ日頃からあんな事してんの?」


「ん、まぁな。」


「んーで、最終的に証拠とやらはどうした訳?」


「どうしたもこうしたも、あの場に踏み込む前に既にポストに投函しちまってたよ。」


「じゃああのオッサンは、ハナっから謝っても謝んなくても破滅エンドだったわけ?」


「しょゆこと。」


「はは、エグいことすんね。」


「あんなのはまだ序の口よ。」


「ショウタは一体何を目指してるの?」


「第一にあるのはアミ打倒だけど、第二の目標として、俺はあのアキバ先輩とケンジ先輩の栄光を受け継ぐんだよ。」


「アキバ先輩とケンジ先輩?」


「あの2人はよ、たった2人で100人相手にした最強の伝説コンビだぜ。いつか俺はあんな風にダチの為に体張れる男になるんだ。」


「ケッコー時代錯誤な目標だね。」


「んぁ? かっけぇ男を魅せるのに、時代も何もカンケーねーだろ。」


「まぁそう言うけどなぁ......」


 僕が呆れてそう言おうとした瞬間、血相変えたミカがいきなり教室に入って来た。


「うお! ミカ! どしたの?」


「ちょっと......来て!」


 ミカが僕らを連れてきたのは、いつも特別補講に使っている空き教室の前だ。そこでミカは凄く神妙な顔をして、ゆっくりと口を開いた。


「今朝の登校中、私の前を歩いてたアキバ先輩が、交通事故に遭った。」


「マジか!?」


「先輩は今どういう状態なの?」


「今病院なんだけど、意識不明の重体だって。」








 午後、僕らがまた特別補講の準備をしていると、野球部の先輩達が少し神妙な顔をして教室に入って来た。


「アミ、アキバ先輩のこと聞いた?」


「あぁ、事故のことでしょ?」


「そうそう、だからちょっと今日は特別補講を休みにしたらどう?」


「一応それも考えたんだけど......」


 アミがそう言いかけた途端、いきなり教室の扉が勢いよく開いた。そして、そこには肩で息をする図書委員長マキ先輩が立ってた。


「あ、マキ先輩......」


 僕が話しかけようとした瞬間、マキ先輩は僕を押し退けてアミの目の前に行った。そしてツカツカ歩いてきた勢いのままアミに思い切りビンタした。


 教室に響く乾いた音、唖然とする僕と先輩たち、顔を真っ赤にするマキ先輩、そしてビンタされたまま無表情でマキ先輩を見つめ返すアミ、その場の雰囲気はマグネターより重かった。

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