栴檀少女礼賛

マウスウォッシュ

屑への鉄拳制裁タイム

 どうやらショウタが、トイレから出てきたサラリーマンを殴り飛ばしたらしい。僕はホントにワケが分からなかった。なんでショウタが、コンビニでトイレしてただけのサラリーマンを殴り飛ばさなきゃならないのか?


「よォ......よーやく見つけたぜ。」


「なっ! なんなんだイキナリ!」


「オッサンは俺のこと知らなくても、俺はオッサンのこと良〜〜〜く知ってるぜ? 外に停めてる立派な車持ってんのに、毎週火曜日だけ電車使ってんのもチョー知ってんだぜ?」


「なっ、なに!?」


「てめぇ......毎週火曜だけゴテーネーに電車使いやがって、ちょっと張ってみたらウチの高校の女子に痴漢しやがってたな。しかもイザって時に声を上げられないような、地味〜なヤツを狙ってサ。」


「ふふふ......証拠はあるのかね?」


「あぁ、もちろん。俺のダチに頼んでアンタの犯行現場の写真撮って貰ったんだわ、なんなら念には念を入れてって感じで興信所にも頼んだんだわ。なんならアンタの住所も勤め先も知ってっから、やろーと思えば証拠の写真ぜーんぶアンタの関係者に送ってやることだって出来るんだぜ?」


「......」


「おら、どーしたよオッサン。さっきまで推理小説の追い詰められた犯人みたく、ショーコショーコって言ってたじゃねーか。どした? ん?」


「......らないでくださぃ......」


「んぁ? 聞こえねーよ。」


「......送らないで下さい......」


「なんか足りねーなー?」


「......すみません......」


「すみませんだァ!? 『すみませんでした! 私の下卑た性欲の捌け口として、貴方の同級生を選んでしまって誠に遺憾であります、どうかこの事は内密にお願いします!』だろーが言葉遣いに気をつけろボケナス!」


 ショウタは思い切りオッサンを蹴り飛ばした。吹っ飛んだオッサンは後ろの商品棚に頭をぶつけ、その場に蹲った。


「すっ、すみませんでしたぁ......! 私のッ......下卑た性欲のッ......捌け口としてッ......貴方の同級生を......選んでしまって......誠に遺憾でありますッ! どうかこの事は......家族と勤め先だけには内密にお願いします!」


「ケッ......クソ野郎が。だせぇ事してんじゃねぇよ。」


 ショウタは一通り事を終えると、ノッポとデブに指で指示を出し、外に向かった。そして外に出ていく前に、もう一度オッサンの方に向き直り、助走をつけた金的蹴りを放ってから退店した。

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