禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?
第104話・ゲームクリア。
「あなた?本当にあなたなの?」
ウルスラは昨日とは全く反応が違います。目の前に夫がいる事が信じられないようです。
「はっははは、私は本物のグロリアだよ。しかも生きている。ここは天国でも、地獄でもない。君は長い夢の中を彷徨っていたんだ。さあ、一緒にブルーアスに帰ろう。」
50年振りの再会なのに、2人は何処か余所余所しいです。さっさと抱き合うなりして、心の溝を埋めて欲しいです。
「2人の邪魔になりそうだから、私はここで自分の目的に戻る事にするよ。グロリア、今度こそウルスラさんと一緒に仲良く暮らせる平和な世界になるといいな。」
エッサは2人の邪魔にならないように、別れを告げると何処かに向かおうとしています。
「エッサ、ちょっと待てくれ!私達の世界に一緒に来ないか?お前さえ良ければ、私達の世界を美しく再生するのを手伝って欲しいんだ。もちろん、それ相応の報酬は用意するつもりだ。どうだろうか?」
ハァ〜、確かに悪い話ではないようだ。やり甲斐もあるだろう。だが、それは私の仕事でも夢でもない。これから2人で長い年月をかけて、やっていけばいい事である。
「悪いが先約を待たせているんだ。そろそろ会いに行かないと私の事を忘れてしまうかもしれない。それにエリクサーの泉があれば、枯れ果てた大地を元通りに癒す事も容易なはずだろう。2人には私の方こそ色々と世話になったぐらいだ。ありがとう、グロリア。ありがとう、ウルスラさん。」
「そんなぁ〜、私は助けられただけで、何一つお礼を言われるような事はしていません。私の力で何か役に立てる事があれば、遠慮なく申してください。」
「そうだ!エッサ。私達に出来ることがあれば何でも言ってくれ。必ず力になろう。」
フム………2人に一緒に王都を襲撃してもらう訳には行かないだろう。これは私のケジメであり、心の問題でもある。決着は必ず私1人の手で行わなければ意味がないだろう。だとしたら、2人の気持ちを汲んでこのぐらいの要求が適切かもしれないな。
「では、2人にお願いしたい事が2つある。まずはこの世界を侵略するのを諦めて異世界で2人仲良く暮らして欲しい。もう一つは私をミルド王国の近くまで浮遊城で運んで欲しい。この2つのお願いはとても難しく、2人にしか叶えられない願いだ。どうだろうか、私の願いを叶えてくれないか?」
「なるほどな。どうするウルスラ?一つ目の願いは私1人の気持ちではどうにもならない願いだ。君さえ良ければ、もう一度、私と一緒暮らしてくれないだろうか?」
「わざわざ聞くような事ですか?私は最初からそのつもりです。それとも、私は簡単に心変わりするような女に見えるんですか?」
グロリアはウルスラに対して、まだまだ他人行儀な感じがします。その事に頬を膨らませて少しウルスラが怒っているようです。少しずつ2人の心の溝は埋まって行っているようで、エッサは安心しました。
「やれやれ、余計な事を言ってしまったようだ。2人の邪魔をするようで悪いが、2つ目のお願いの返事を聞かせて欲しいものだ。」
「はっ!済まない……もちろん送らせてもらう。東にあるミルド王国ならば1時間もあれば到着するだろう。その間に食事や必要なものがあったら、言って欲しい。出来るだけ用意しよう。」
エッサの存在を忘れて、2人はイチャイチャし始めました。さすがに終わるまで待つほど、エッサも暇ではありません。仲良くするならエッサがいなくなった後にして欲しいです。
(もうすぐ会えるぞ、エミィ。お前は私が生きていたら驚くだろうか、怖がるだろうか、それとも喜ぶだろうか。私にも私が分からない。お前を愛しているつもりはなかったが、この複雑で理解出来ない気持ち……これが愛なのかもしれない。)
グロリアとウルスラの2人との別れの挨拶を済ませると、エッサは王都の近くにある霊峰ミルドの山道に、浮遊城から降り立ちました。
1人の村人NPCの活躍で、世界は侵略という脅威から救われました。けれども、エッサにとっての最後の戦いは、まだ終わっていません。彼の戦いの結末に光は訪れるのでしょうか。
◆
◆
◆
♬タンタララ〜タン、タンタララ、ラ〜ラ〜
企画・株式会社○○堂
キャラクターデザイン・ランランさん
システムデザイン・大森佳代子
マップデザイン・松本陽介
ミニキャラクターデザイン・織部正志
モブキャラクターデザイン・立花京子
ディレクター・田中義経
プロデューサー・岩田純一郎
THE   END………。
◆
◆
◆
『ブーン、バァリーン!』
「NPCがゲームクリアしてんじゃねぇよ!俺の会社を潰す気か!」
岩田プロデューサーは裏でエッサの暗殺を企てていましたが、EXダンジョンの改造ウルスラも失敗しました。しかもゲームクリア条件が達成されてしまいました。こんなクソゲーを客に実際にプレイさせたら大問題です。
(プレイヤーが遊んでいる途中でエンディング曲が流れ出したら、さすがにマズイ。いやいや、逆にこのパターンもありだと思わせるのも一つの手かもしれない。)
でも、時間的にこの問題作を修正する時間はありません。そもそもシステムにバグを発生させるものを、コンピュータ回線を利用したフルダイブ式ゲームで使わせたら、世界的な悪影響が発生するかもしれません。今なら外部から遮断されたこの部屋の中だけで処理出来るかもしれません。
(今なら、会社だけの損害で助かるのか………だが、最後にA3にも報いを受けてもらわないとな。A3を破滅させてやる!)
ウルスラは昨日とは全く反応が違います。目の前に夫がいる事が信じられないようです。
「はっははは、私は本物のグロリアだよ。しかも生きている。ここは天国でも、地獄でもない。君は長い夢の中を彷徨っていたんだ。さあ、一緒にブルーアスに帰ろう。」
50年振りの再会なのに、2人は何処か余所余所しいです。さっさと抱き合うなりして、心の溝を埋めて欲しいです。
「2人の邪魔になりそうだから、私はここで自分の目的に戻る事にするよ。グロリア、今度こそウルスラさんと一緒に仲良く暮らせる平和な世界になるといいな。」
エッサは2人の邪魔にならないように、別れを告げると何処かに向かおうとしています。
「エッサ、ちょっと待てくれ!私達の世界に一緒に来ないか?お前さえ良ければ、私達の世界を美しく再生するのを手伝って欲しいんだ。もちろん、それ相応の報酬は用意するつもりだ。どうだろうか?」
ハァ〜、確かに悪い話ではないようだ。やり甲斐もあるだろう。だが、それは私の仕事でも夢でもない。これから2人で長い年月をかけて、やっていけばいい事である。
「悪いが先約を待たせているんだ。そろそろ会いに行かないと私の事を忘れてしまうかもしれない。それにエリクサーの泉があれば、枯れ果てた大地を元通りに癒す事も容易なはずだろう。2人には私の方こそ色々と世話になったぐらいだ。ありがとう、グロリア。ありがとう、ウルスラさん。」
「そんなぁ〜、私は助けられただけで、何一つお礼を言われるような事はしていません。私の力で何か役に立てる事があれば、遠慮なく申してください。」
「そうだ!エッサ。私達に出来ることがあれば何でも言ってくれ。必ず力になろう。」
フム………2人に一緒に王都を襲撃してもらう訳には行かないだろう。これは私のケジメであり、心の問題でもある。決着は必ず私1人の手で行わなければ意味がないだろう。だとしたら、2人の気持ちを汲んでこのぐらいの要求が適切かもしれないな。
「では、2人にお願いしたい事が2つある。まずはこの世界を侵略するのを諦めて異世界で2人仲良く暮らして欲しい。もう一つは私をミルド王国の近くまで浮遊城で運んで欲しい。この2つのお願いはとても難しく、2人にしか叶えられない願いだ。どうだろうか、私の願いを叶えてくれないか?」
「なるほどな。どうするウルスラ?一つ目の願いは私1人の気持ちではどうにもならない願いだ。君さえ良ければ、もう一度、私と一緒暮らしてくれないだろうか?」
「わざわざ聞くような事ですか?私は最初からそのつもりです。それとも、私は簡単に心変わりするような女に見えるんですか?」
グロリアはウルスラに対して、まだまだ他人行儀な感じがします。その事に頬を膨らませて少しウルスラが怒っているようです。少しずつ2人の心の溝は埋まって行っているようで、エッサは安心しました。
「やれやれ、余計な事を言ってしまったようだ。2人の邪魔をするようで悪いが、2つ目のお願いの返事を聞かせて欲しいものだ。」
「はっ!済まない……もちろん送らせてもらう。東にあるミルド王国ならば1時間もあれば到着するだろう。その間に食事や必要なものがあったら、言って欲しい。出来るだけ用意しよう。」
エッサの存在を忘れて、2人はイチャイチャし始めました。さすがに終わるまで待つほど、エッサも暇ではありません。仲良くするならエッサがいなくなった後にして欲しいです。
(もうすぐ会えるぞ、エミィ。お前は私が生きていたら驚くだろうか、怖がるだろうか、それとも喜ぶだろうか。私にも私が分からない。お前を愛しているつもりはなかったが、この複雑で理解出来ない気持ち……これが愛なのかもしれない。)
グロリアとウルスラの2人との別れの挨拶を済ませると、エッサは王都の近くにある霊峰ミルドの山道に、浮遊城から降り立ちました。
1人の村人NPCの活躍で、世界は侵略という脅威から救われました。けれども、エッサにとっての最後の戦いは、まだ終わっていません。彼の戦いの結末に光は訪れるのでしょうか。
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♬タンタララ〜タン、タンタララ、ラ〜ラ〜
企画・株式会社○○堂
キャラクターデザイン・ランランさん
システムデザイン・大森佳代子
マップデザイン・松本陽介
ミニキャラクターデザイン・織部正志
モブキャラクターデザイン・立花京子
ディレクター・田中義経
プロデューサー・岩田純一郎
THE   END………。
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『ブーン、バァリーン!』
「NPCがゲームクリアしてんじゃねぇよ!俺の会社を潰す気か!」
岩田プロデューサーは裏でエッサの暗殺を企てていましたが、EXダンジョンの改造ウルスラも失敗しました。しかもゲームクリア条件が達成されてしまいました。こんなクソゲーを客に実際にプレイさせたら大問題です。
(プレイヤーが遊んでいる途中でエンディング曲が流れ出したら、さすがにマズイ。いやいや、逆にこのパターンもありだと思わせるのも一つの手かもしれない。)
でも、時間的にこの問題作を修正する時間はありません。そもそもシステムにバグを発生させるものを、コンピュータ回線を利用したフルダイブ式ゲームで使わせたら、世界的な悪影響が発生するかもしれません。今なら外部から遮断されたこの部屋の中だけで処理出来るかもしれません。
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