禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?
第85話・エッサVSロックタ。
(久し振りの戦闘だから、オラ、ワクワクするべぇ。)
エッサは2ヶ月間も自暴自棄な生活を続けていたので、農作業と戦闘で鍛えられた逞しい身体は、今ではプヨプヨ腹の恥ずかしい状態です。歩くだけでも重労働になるかもしれません。
「おはようございます。久し振りに外に出掛けて来ます。お勤めご苦労様です。」
「………。」
いつものように門番さんに挨拶をしますが、返事がありません。前に王様からもらったバッチも取り上げられたので、今のエッサはただの1人の通行人なのでしょう。少し寂しいですが仕方ありません。
エッサとロックタの2人は王都を出て、霊峰ミルドにある地下迷宮を目指しました。
(………見た事ある気がするんだが、誰だったけ?)
王都を出て行くエッサの後ろ姿をジッ〜と見ながら、1人の門番がそんな事を思っていました。痩せていた人が、急激に20キロも太ると、本人だと分からなくなるのでしょうか。意外と体型の方が印象に残りやすいのかもしれません。
◆
「ひぃ〜はぁ〜。ひぃ〜はぁ〜。」
息を切らせながら、エッサは頑張って山道を登ります。たまに山道に現れる鳥型モンスターを、ロックタが二本の剣で軽々と倒して行きます。
『ズバァズバァ、ズバァズバァ!サァーーー。』
(左右の剣で、通常攻撃4連撃だべぇか。しばらく見ないうちにロックタは本当に強くなったんだな。)
最大で通常6連続攻撃も可能ですが、その前にモンスターが倒れてしまいました。ロックタはランク8の防具を頭、胸、腰、腕、足のつけています。モンスターから受ける攻撃ダメージの40%を防いでくれます。魔法などの一部の例外はあるものの、現在の王都で手に入る最強の防具です。
エッサはロックタの持っている二本の剣や防具をジッ〜と見続けていました。エッサのランク4のジェネラルソードや、ロックタから貰ったランク5の防具では明らかに不満なようです。元奴隷のロックタが、主人のエッサよりも良い物を持っている事が許せないのでしょう。
「なぁ、ロックタ。その剣と防具をオラの物と交換してくれないべぇか?嫌ならいいんだべぇが、オラはロックタと違ってレベルも低いし、今の装備で地下迷宮の19階まで死なずに辿り着く事なんか出来ないべぇ。オラが死んでもいいのなら交換しなくていいんだべぇよ。」
明らかに『交換しろ!』と言っているようなものですが、残念ながら無理なようです。
「申し訳ありません。この装備はお譲り出来ません。この装備はエミィ様から一時的にお貸ししてもらっているだけなのです。私に所有権はありません。」
「そうだべぇよな。はっははは。無理言って悪かったべぇな。」
何とも惨めな姿です。これでは路地裏の物乞いの方がまだマシです。エッサは少し歩いては、今着ている防具を触っては、『はぁ〜〜』と深い溜め息を吐きます。何度も何度もです。
(駄目だ駄目だ!エッサ様には、これから死んでもらわないといけないんだ。同情なんかしている場合じゃないぞ!甘い考えは捨てるんだ。)
ロックタは頭をブゥンブゥン振って、自分の中の優しさを追い出しました。これから、エッサに死んでもらう必要があるのです。余計な優しさはかえって、エッサを傷付けるだけです。
「エッサ様。実は今日はお願いがあって、ここまで、エッサ様を連れて来たんです。」
(どうせそんな事だと思ってたべぇ。エミィの聞きたいことなんて、あの本を何処で手に入れたとか、毒除けのお守りを入手した方法だろうべぇ。オラが話さなければ、地下迷宮に行かずに、王都に引き返すべぇか?ネチネチと嫌な女だべぇ。)
「分かっているべぇ。何でも知っている事は話すべぇ。だから、もう王都に軟禁するのはやめて欲しいんだべぇ。」
(嘘、デタラメをバッチリ教えてやるべぇよ。くぅふふふふ。せいぜい頑張って探すんだべぇよ。)
「エッサ様には、今日ここで死んでもらいます。毒除けのお守りと、それ以外の持ち物と有り金全部を私に渡してください。抵抗しても無駄なので分かるはずです。私を信じて?」
ロックタが話している途中でしたが、エッサは剣を左腰から一気に引き抜くと、ロックタの顔に向かって、剣技を振り上げました。
「豪・昇竜斬!」
『ギィィン!』と激しい金属音が鳴り響きました。エッサの剣技が、交差するロックタの二本の剣に止められてしまいました。
(なっ!完全に不意打ちだったはずだべぇ?何でオラの剣が止められているんだべぇ。)
2人の実力差はハッキリしています。どう頑張っても、エッサがロックタに勝つ事は出来ません。無駄な抵抗です。
(ふぅ〜。言葉で説得するよりも、エッサ様なら実力差を教えてあげた方がいいかもしれませんね。)
「分かりました。エッサ様がそのつもりなら、お相手しましょう。私は手加減しますから、エッサ様は全力でお願いします。ふっふ。そうしないと勝負にもなりませんからね。」
エッサはロックタの挑発にイラつきながらも、ゆっくりと剣を正面に構えました。ロックタと戦う覚悟があるようです。
「レベルだけが強さじゃないべぇよ。オラに勝てると本気で思っているようなら、身の程を教えてやるべぇ。くっくくく、後悔するんじゃないべぇよ。」
エッサには何やら考えがあるようです。まさかとは思いますが、本気でロックタに勝つつもりなのでしょうか。
エッサは2ヶ月間も自暴自棄な生活を続けていたので、農作業と戦闘で鍛えられた逞しい身体は、今ではプヨプヨ腹の恥ずかしい状態です。歩くだけでも重労働になるかもしれません。
「おはようございます。久し振りに外に出掛けて来ます。お勤めご苦労様です。」
「………。」
いつものように門番さんに挨拶をしますが、返事がありません。前に王様からもらったバッチも取り上げられたので、今のエッサはただの1人の通行人なのでしょう。少し寂しいですが仕方ありません。
エッサとロックタの2人は王都を出て、霊峰ミルドにある地下迷宮を目指しました。
(………見た事ある気がするんだが、誰だったけ?)
王都を出て行くエッサの後ろ姿をジッ〜と見ながら、1人の門番がそんな事を思っていました。痩せていた人が、急激に20キロも太ると、本人だと分からなくなるのでしょうか。意外と体型の方が印象に残りやすいのかもしれません。
◆
「ひぃ〜はぁ〜。ひぃ〜はぁ〜。」
息を切らせながら、エッサは頑張って山道を登ります。たまに山道に現れる鳥型モンスターを、ロックタが二本の剣で軽々と倒して行きます。
『ズバァズバァ、ズバァズバァ!サァーーー。』
(左右の剣で、通常攻撃4連撃だべぇか。しばらく見ないうちにロックタは本当に強くなったんだな。)
最大で通常6連続攻撃も可能ですが、その前にモンスターが倒れてしまいました。ロックタはランク8の防具を頭、胸、腰、腕、足のつけています。モンスターから受ける攻撃ダメージの40%を防いでくれます。魔法などの一部の例外はあるものの、現在の王都で手に入る最強の防具です。
エッサはロックタの持っている二本の剣や防具をジッ〜と見続けていました。エッサのランク4のジェネラルソードや、ロックタから貰ったランク5の防具では明らかに不満なようです。元奴隷のロックタが、主人のエッサよりも良い物を持っている事が許せないのでしょう。
「なぁ、ロックタ。その剣と防具をオラの物と交換してくれないべぇか?嫌ならいいんだべぇが、オラはロックタと違ってレベルも低いし、今の装備で地下迷宮の19階まで死なずに辿り着く事なんか出来ないべぇ。オラが死んでもいいのなら交換しなくていいんだべぇよ。」
明らかに『交換しろ!』と言っているようなものですが、残念ながら無理なようです。
「申し訳ありません。この装備はお譲り出来ません。この装備はエミィ様から一時的にお貸ししてもらっているだけなのです。私に所有権はありません。」
「そうだべぇよな。はっははは。無理言って悪かったべぇな。」
何とも惨めな姿です。これでは路地裏の物乞いの方がまだマシです。エッサは少し歩いては、今着ている防具を触っては、『はぁ〜〜』と深い溜め息を吐きます。何度も何度もです。
(駄目だ駄目だ!エッサ様には、これから死んでもらわないといけないんだ。同情なんかしている場合じゃないぞ!甘い考えは捨てるんだ。)
ロックタは頭をブゥンブゥン振って、自分の中の優しさを追い出しました。これから、エッサに死んでもらう必要があるのです。余計な優しさはかえって、エッサを傷付けるだけです。
「エッサ様。実は今日はお願いがあって、ここまで、エッサ様を連れて来たんです。」
(どうせそんな事だと思ってたべぇ。エミィの聞きたいことなんて、あの本を何処で手に入れたとか、毒除けのお守りを入手した方法だろうべぇ。オラが話さなければ、地下迷宮に行かずに、王都に引き返すべぇか?ネチネチと嫌な女だべぇ。)
「分かっているべぇ。何でも知っている事は話すべぇ。だから、もう王都に軟禁するのはやめて欲しいんだべぇ。」
(嘘、デタラメをバッチリ教えてやるべぇよ。くぅふふふふ。せいぜい頑張って探すんだべぇよ。)
「エッサ様には、今日ここで死んでもらいます。毒除けのお守りと、それ以外の持ち物と有り金全部を私に渡してください。抵抗しても無駄なので分かるはずです。私を信じて?」
ロックタが話している途中でしたが、エッサは剣を左腰から一気に引き抜くと、ロックタの顔に向かって、剣技を振り上げました。
「豪・昇竜斬!」
『ギィィン!』と激しい金属音が鳴り響きました。エッサの剣技が、交差するロックタの二本の剣に止められてしまいました。
(なっ!完全に不意打ちだったはずだべぇ?何でオラの剣が止められているんだべぇ。)
2人の実力差はハッキリしています。どう頑張っても、エッサがロックタに勝つ事は出来ません。無駄な抵抗です。
(ふぅ〜。言葉で説得するよりも、エッサ様なら実力差を教えてあげた方がいいかもしれませんね。)
「分かりました。エッサ様がそのつもりなら、お相手しましょう。私は手加減しますから、エッサ様は全力でお願いします。ふっふ。そうしないと勝負にもなりませんからね。」
エッサはロックタの挑発にイラつきながらも、ゆっくりと剣を正面に構えました。ロックタと戦う覚悟があるようです。
「レベルだけが強さじゃないべぇよ。オラに勝てると本気で思っているようなら、身の程を教えてやるべぇ。くっくくく、後悔するんじゃないべぇよ。」
エッサには何やら考えがあるようです。まさかとは思いますが、本気でロックタに勝つつもりなのでしょうか。
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