第59話・死んだら、ロード。

「エッサ様、本当にここは地下なのでしょうか？普通は地下に森は無いと思いますが。」

　地下8階は大きな１つの森林系ダンジョンです。木に、川にと、王都の南にある大森林とほとんど同じ規模の大きさです。

「うんだぁ。間違いなく地下だべぇ。出現するのは飛行魚と四足歩行タイプのトカゲだべぇ。ボスモンスター3体がパーティーを組んで地下9階に降りれる階段を守っているから、ここが最初の最難関ステージなんだな。」

　まあ、ボスモンスターのHPは3体共、２４００をちょっと超える程度だから、オラの斬空乱波を4発喰らえば倒せるんだな。でも、オラのHPが１６００程度で、ボスモンスターの攻撃力が全員１２０を超えるから、集団でボコられたら、オラが倒されてしまうんだな。それは嫌なんだな。

「2人はまだ喧嘩しているのでしょうか？さっきから、エミィ様のHPだけが減っては回復していますが？一度、私が戻って連れて来ましょうか？」

　地下8階はオラの予想じゃエミィの回復魔法が鍵になるべぇ。レベル11で覚える攻撃力10％アップも組み合わせて使えば、必ず力押しでも倒せるはずだべぇ。

「今は放って置いた方がいいべぇ。それよりもここのダンジョンモンスターはHP８００程度だから、2人が来るまで大掃除しておくべぇ。1匹経験値80はなかなかに魅力的なんだな。」

　難破船の出現モンスターはHP３５００以上で経験値68です。明らかにこのダンジョンモンスターは破格の経験値です。倒さない方が勿体無いです。

『ザァンザァンザァン！サァーーー。』

　エッサは地面を這っていたトカゲモンスター『バジリスク』を見つけると、素早く走って行きました。剣による振り下ろし、振り払い、斬り上げの流れるような三連続攻撃で簡単に倒してしまいました。敵のHPが低いのと、ルドルフの剣を装備したエッサの合計魔力が３２０を超えているから可能なのです。

　ちなみにエミィもルドルフの剣を装備した合計魔力は３００を超えているので、エッサと同じ事が出来ます。けれども、剣士ではないので、エッサの流れるような、剣による連続攻撃は難しいかもしれません。

「エッサ様、流石です！通常攻撃で簡単に倒してしまうとは、まさに選ばれし者です。」

「違うんだな。オラは勇者でもなければ、英雄でもないべぇ。本物の選ばれし者は今頃、西の大陸の方で友達と遊んでいるんだな。」

　こんな村人のオラがエッサ様だべぇか？どうせ、キャラデザ様が適当に考えてつけた名前だべぇ。様なんか付けても、全然カッコ良くならないべぇ。オラもカイウスとかアリアスとかカッコいい名前がいいんだべぇ。。

「はっ！やぁ！三連突き！」

『ドォス、ザァシュ！ドォス、ドォス、ドォス！』

　ロックタは空中に浮いている飛行魚に剣を突き刺し、横に薙ぎ払い、最後にトドメの三連突きで倒そうとしましたが、倒し切れません。僅かに飛行魚のHPが残ってしまいました。

『ギョ！』と口から出た声なのか、エラから出た声なのか分かりませんが、飛行魚が奇声を上げて、ロックタに襲い掛かりました。

「くっ、しまった！」

「斬空波！」

『ザァン！サァーーー。』と間一髪の所で、エッサの斬空波が飛行魚に命中しました。飛行魚は灰になって消えました。

　やれやれだべぇ。少し考えれば、ロックタの攻撃力じゃあ、一気に倒せないべぇ。少しずつHPを減らしながら、安全に倒すように心掛けないと駄目だべぇ。

「エッサ様、申し訳ありません！急所を突ければ倒せると思ったのですが、私の考えが甘かったようです。」

「うんだぁ。確かに急所を突く事が出来れば、ロックタの攻撃力でも十分に倒せたべぇ。でも、運を味方にしようと考えたら駄目だべぇ。確実に慎重に戦うようにならないと、いつか失敗してしまうべぇ。」

　もしも、ロックタがモンスターに殺されたら、灰になって消えるんだべぇか？本には死んだ時はロードとか、コンティニューするように書かれていたけろ、オラ達は多分、1回死んだら終わりなんだべぇ。次に作られるエッサはもう、オラじゃない、別のエッサなんだべぇ。死んだら終わりなんだべぇよ。