禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?

ノベルバユーザー399768

第25話・剣技『牙突衝』。

 エッサは昨日と同じようにスライムゼリー3個と、大森林のスライムを8匹倒す、2つの依頼を受けました。2つ達成しても、合わせて、820Gですが、依頼も受けずにスライムを倒し続ける方がもったいないです。

 テクテクテク、ピィタと門番さんの前で止まります。今回は言葉が訛らないように注意します。

「おはようございます。朝早くから、ご苦労様です。ちょっと大森林に行って来ます。」

「あぁ、気をつけろよ。」

 門番さんにペコリとお辞儀をして出発です。やはり綺麗な服を着ているだけで印象は変わるようだべぇ。それとも、言葉が訛ってないからぺぇか?

「昨日のレベルアップは最初はスライム5匹で、次が10匹だったんだよなぁ。次は15匹倒してもレベルアップしなかったから、王都に帰ったけど、もしかしたら、15匹じゃなくて、20匹だったのかもしれねぇ。」

 この世界は意外とルールというか、仕来りがハッキリしているから、レベルアップするには倒すモンスターの数が5匹ずつ増えると思ってたけど、違ったようだなぁ。でも、予想通りなら、昨日15匹倒したから、残りは5匹のはずだぁ。パッパッと倒して確認しねぇとな。

「もう宝箱は全部開けたから、森の中を歩き回って、スライムを倒すだけだな。何だかレベルアップはつまんねぇけど、畑を鍬で意味もなく耕すよりはマシかもな。村にいる、もう一人のオラも馬鹿みてぇに今もやっていると思うと、オラの方が都会でレベッカさんやフローラちゃんと知り合えて、何倍も幸せだな。」

 森の中を歩き回るのは疲れるので、何ヶ所かある分かれ道で、やって来るモンスターを座って待ち構えます。だいたい10分も待てば、1〜3匹は通るので目当てのモンスターが来たら急いで倒します。トロールが来たら、必ず別の分かれ道に移動して、同じように座って待ち構えます。

「さてと、スライムちゃんはまだ来ないのかな?」

『パラ。パラ。』とエッサは暇つぶしに、本を読んで情報を集めて行きます。剣技が載っているページで指を止めると、その中からレベル3で使える剣技を見つけました。

「あっ!オラ、レベル3になったから、この技が使えるじゃねでか?試しに使ってみるべぇ。」

 エッサは本を閉じると、キョロキョロと周囲にモンスターがいないか確認します。安全確認は大事です。

「行くどぉ!牙突衝(がとつしょう)〜!おぉ!滑るどぉ〜!」

 技名を叫びながら、右手に持った剣を勢いよく前に突き出しました。以前は使えなかった牙突衝が使えるようになりました。地面を滑るように高速の突きが繰り出されました。

「おぉ!オラが剣で普通に突くよりもこっちの方が断然早いなぁ。でも、オラの意思で止まらないから、ちょっと問題もあるかもしれねぇ。使い所を間違うと危ねぇなぁ。」

 剣技レベル3・牙突衝はダメージが1.3倍になるから、いまのオラの通常攻撃が60ダメージだから、78ダメージになるのかぁ〜。使用MPは6だから、休まないで使えるのは最大で19回。斬空波と組み合わせて使えるように練習しねぇとな。

「使えねぇ技も、何度も何度も使う事で、新しい技を覚えるキッカケになるらしいから、とりあえずはMPに余裕がある時は積極的に使わねぇと駄目なんだよなぁ。使いたくない技を使わせる理由を、わざわざ用意するなんて、プロデューサー様も苦労してるだなぁ。」

 とりあえずは斬空波を使い続ければ、何か起こるかもしれねぇ。この本も説明不足の部分が多いから、その辺は実際に自分で確かめるしかねぇ。

『グニュグニュ。グニュグニュ。』とスライムちゃんがやって来たから、勉強は終わりだべぇ。早く強くなって、トロールも倒さねぇとな。

「禁断のアイテム『攻略本』を拾った村人は、プロデューサーのシナリオを壊せるのだろうか?」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く