K国の少年

我鷲院

第2話 N狼

嫉妬の女神に呪われし都、S市――

かつてはKDR国の都にて、ありし日のwoods少年にも思い入れのある場所……

woodsは成長し、野心の強い男に育った

父親とともに姓を変え、さらに名も変え素性を隠すと、N国の権力者の座を登り極める

N国を手にしたwoodsはやがて、S市に辿り着く

支配者となるために

KDRを滅ぼしたSRGは、すでになかった

そして、大国Tも

そこには、KR人の末裔たちが穏やかに暮らす国があるだけだった

1000年の時の無情――

だが、woodsにとって、それはどうでもよいこと……

自分の歪んだ復讐心さえ満たすことが出来れば、彼はそれでよかった

woodsはN国の力を借りてKRの末裔の人々を苦しめることにした

woodsは思い入れあるS市を立派な街に整備し、同時にKR人たちを騙し、奴隷として扱った

woodsはKRの末裔たちにとってはいわれのない憎悪を向ける、邪悪なる魔王と成り果てていった……

そんな数奇な歴史あるS市の裏路地で、good-boyは囲まれていた

相手は、4人――拳銃で武装した大人たちだった

その下品な顔つきからして、彼らはK国人ではない……

「あなた方は、誰です?」

good-boyの美しい声による、当然の質問……だがそれを、男たちは嘲笑った

「お、俺らは、GAWASA禁輸奇行の者だwww」

たどたどしいK国語で中肉中背が答えた、その組織の名――それに、good-boyは聞き覚えがあった

やはり、N国人……K殺漢などとも名乗っている者たち

そして、揃いも揃って、ガニ股の者たち……

「このCD……いいですよね…あなた方も、これを聞きますか?」

夕闇に沈もうとするビルの谷間にて、怜悧な顔で平然と対話するgood-boyの姿は、性悪で愚劣な者たちには、あるいは鬼のような凄味に見えたかもしれない

男たちは1歩退き、銃を構え直した

中肉中背も、眼鏡3人も、冷や汗を垂らしながら、唇を噛み締めている

「あなた方に、危害を加えるつもりはありませんよ…そんな物、仕舞ってください」

可能な限り、柔らかな物腰で、相手の警戒心を解こうとする、good-boy……

だが、中肉中背が、撃鉄を起こす!

「kenchandayo……クックックッw」

その科白を聞き、不確定な事項だったが、good-boyは彼の名をkenだと認識した、まさに絶体絶命な瞬間――

「wan! wanwan!」

まるで女の絶叫のような……相手の心をズタズタに引き裂くために発せられたかに思える甲高い鳴き声が響く

唐突なことだった

「な、何だ!?」

「い、犬? いや、違う!」

「うぁ、来る…グァアアアッ!!」

眼鏡男たちの悲鳴が次々にあがる

「ヒッ…ヒィッ!!!」

中肉中背は、いち早く逃げ出していた

「グッ!? ゼウォォォン!?」

そして突然、宙高くに飛び上がった…かに見えた

日が落ちた、ビル群の暗がりの中、彼は見上げるほど高く宙に浮かぶと、すぐにジタバタするのをやめ、手足をだらしなく、ブラブラさせはじめた

眼鏡たちは噛み殺された……4本足の、哺乳類に

そして、good-boyは……

K国人は、すべてにおいて完璧すぎる宿命を、呪いを背負っている

彼らは常に、いるべき場所にいて、持つべき物を持っている

言うまでもないが、good-boyはそのとき無事に、付近のビルの5階の、ベランダにいた

当然では、あるのだが……

「はぁ、はあ……あれは、まさか…………」

good-boyは、幼い頃から動物が好きだった

だから、その4足歩行の哺乳類の名も勿論、知っていた

動物図鑑の端に載っていた、その動物の名は――

「狼……N狼だ」

それは、すでに絶滅していたはずの、狼の1種の名だった

それが、そいつらが、闇に紛れてあちこちから、何匹も、何十匹も狭い裏道に這い出てくるのを、good-boyは幽かな戦慄とともに眼下に確認した

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