ゼロからはじめる島津大河誘致

郭隗の馬の骨

第60話 暖かい風 フウイを癒す

祭り之介に励まされたフウイはコモロウの小説について聞くためパソコンを開きました。
コモロウは前のようにフウイに不満をぶちまけたりはしませんでした。
むしろ少し機嫌が良さそうな感じでした。
コモロウはフウイにいいました。
ネットの情報が入ってこなくなってむしろ雑音が消えたみたいで小説も書きやすくなったわ。
ネットに振り回られないのもそんなにわるくないかもね。
それは彼女なりのフウイに対する気遣いだったのかもしれません。
それと彼女は今回のフウイの失敗をネタに小説を書いていました。
この点彼女はドライというかなんというか(笑)転んでもただでは起きないところがあり、ある意味女性の強みを見せつけられたようでした。
でも彼女も彼女なりに気を使っているらしく、初めに機関銃の如く苦情を並べたのちはすっきりしたようでさばさばしていました。
実は彼女はこのフウイの一軒からとんでもないことを企んでいるのですがそれはしばらく後のことです。
さて、フウイは思考を落ち着かせていました。
今までは祭り之介やコモロウといったいわば身内からの思いや声援を受けて何とか立ち直りましたが、宣伝の効果が薄まり小説の人気が縮小するのはこれからだろうということは容易に想像できます。
フウイはその残酷な予想を目の当たりにするべくコモロウのPV(おおむね読者の数)を確認しました。
その時間が朝だったせいもあるでしょうがやはり少なく一桁の数字でした。
やっぱり大きな失敗をしてしまったんだな、フウイは大きなため息をつきました。
憂鬱な思いをしながらフウイは布団に入りました。
例の事件の起こる前にはいつもPCの前で情報戦をしていたフウイ、いまはそれがほとんど行えずに布団で疲れと嫌な気分がなくなるのを待つ、とても歯がゆく情けない思いでした。
それから1時間半くらいでしょうか、フウイは疲れも取れ布団にとどまる理由もなくなり、仕方なくPCの電源をつけてPV数を見ました。
すると先ほどの3倍の数字が記されていました。
いつもより少し少ないとは言え、ネットでの宣伝がないことを考えれば奇跡ともいえる数字でした。
小説にいいねを押してくれた読者様もいました。
その読者はネットで親しく会話をしてくれた人でした。
フウイは方の重みがなくなりとても癒されました。
また、愛読者の感想があり、やはり愛郷心、あるいは地元愛をほめてくれました。
祭り之介、コモロウ、そして愛読者の皆様のいいねや感想、こうした暖かい風がフウイの心と体を大きく癒していきました。

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