神業(マリオネット)
2ー57★不安とお目当て
『はい、ナカノ様それでは、中にこれを来てください』
そう言いながらノルドは、俺にシャツのようなものを差し出してきた。
フェンの説明から一夜明け、今日から本格的に動き出そうと言うことになった俺たち。
だが、俺たちが動くとは言っても彼の方からすると、俺やエルメダ、アンテロの実力にはかなり不安なものがあるらしい。
確かに飛び抜けた実力もあるわけではないし、キャリアも少ないので不安と言われたら返す言葉もない。
さらにノルドに俺たちの戦闘や移動方法などを話したところ非常に効率が悪いとも言われた。
簡単なコツややり方などは、ある程度ノルドから聞くことはできたのだが、正直それだけでは不安も残るのも事実だ。
そこで、少しでも助けになればと言うことで、俺たち三人に合う装備品というのを貸し出してくれることになった。
それで俺に合った装備品というのが、今ノルドから手渡された肌着の代わりに着るシャツらしいのだが…
なんと言えばいいのだろうか…
簡単に言うと俺は今、着るのを躊躇っている…
聞くところによると、このシャツ防御面などはほぼ期待できないらしいが、その代わりにスキルなどを使用した際の精神消費というのを軽減してくれるという素晴らしい装備品らしい。
さらにこの装備品はシャツとして着込んで使うことになるので、鎧などと併用することもできる優れものということなのだ。
うん、説明などを聞くと非常に有用性は伝わってくる!
素晴らしい装備品だと思う!
思うんだが…
ただ…
ちょっと気になるところもある…
今、手元にあるこのシャツなんだが、結構貴重なものらしく1枚しかないらしい。
そして今回、俺が受け持つ行動を整理する。
今日はアンテロとエルメダの三人で薬止草の採取と余力があれば食料になりそうなものを集める。
恐らく、これだけで今日一日かかるだろう。
夕方以降はアンテロが薬止草を使い消えない傷の治療薬を作る。
そして予定であれば明日、アンテロが作った治療薬をグリエルモに届け、回復したらグリエルモをみんなに引き合わせる。
回復しなかった場合は、再び治療薬の流れという感じになるはずなのだが…
これ、恐らくなのだが一日じゃ終わらない気がする…
と言うか、予定の段階で明日とか言ってるので絶対に一日じゃ終わらない。
そして予定通り最短で終わったとしても、今度はノルドの緑色の碧玉集めなどを手伝う必要があるはず。
そうすると結構な日数を跨いで活動しなければいけないのは確実となるんだが…
その間、このシャツはずっと着込み続けなければいけないのだろうか…
今日なんかはモンスターや獣に襲われるかもしれないという緊張のなかで、見たこともない薬草を探すことになる。
そんな状況、緊張感が無いはずがない。
と言うか…
緊張感しかないだろう。
恐らく、今日という一日が終わった時に俺はかなりの汗をかくはずだ。
そうなったら、この肌着の処理などはどうしたらよいのか…
多分だが…
この世界の人間というのは、そういったことまで考えないのだろうな…
そう思うと俺はノルドから渡されたシャツを素直に着替えるには、どうにも躊躇する自分がいる。
さんざん自分の中で葛藤をした後、周囲の目が気になり出した俺は、かなり急いでシャツを着込み三人で薬止草探しに出掛けた。
★★★
俺とエルメダ、アンテロの三人は薬草を探すためにノルドの張った結界から出ると、先ずは周囲を見渡す。
俺とアンテロの二人は地上を中心に、そしてエルメダは上空を中心に見渡す。
三人が三人ともの判断で周囲にモンスターなどの危険がないと判断したら、俺は昨日フェンに言われた通りに先ずは目利きを使用した。
一瞬、自分の目の回りが光ったような感覚がし、その後、周囲数十メートルに従って、様々な情報が自分の目を通して確認できる。
薬体草・薬黙草・薬自草・薬草・シューリン草・満月草…
表示されるのは、どれもこれも草の情報ばかりだ。
そして、それらは全て口に入れることができるものに他ならない。
だが、どれも今回お目当てとなる薬止草とは異なる草だ。
自分の視界の中に対象となる草がないのを確認したら、俺は目利きを使用したまま前に数mほど進む。
前に進んだことで、若干ではあるが視界が異なる。
そこで先程は見ていなかったであろう場所を中心に自分の視野を広げていくと…
根無し草・癒し草・火草・薬体草・薬止草…
『あー!合った!!これ!これ!うん!合った!』
見つけた俺は、子供のようにはしゃぎながらエルメダとアンテロにアピールしていた。
二人も俺の言葉に一瞬で反応を見せて、俺の近くに寄ってくる。
『ほー、これですか?見た目は普通ですけど…切り口を触ると少しねばつく感じがしますね』
俺が摘んだ薬止草を触って確認するアンテロ。
エルメダは黙ってみているだけだが、目をそらす気配がないところをみると興味自体はありそうに見える。
『エルメダ、触って確かめるか?』
『えっ…ねばつくんでしょ?』
『切り口を触ると多少はね…』
『そっか、なら私はいい。見張りの方頑張る』
エルメダとアンテロで反応は対照的なものだが、とりあえずはお目当てのものは見つけることができた。
アンテロの方は遠慮なく触ってしっかりと確かめている。
この後、俺たちは夕方近くまで集めれるだけの薬止草を集めた。
そう言いながらノルドは、俺にシャツのようなものを差し出してきた。
フェンの説明から一夜明け、今日から本格的に動き出そうと言うことになった俺たち。
だが、俺たちが動くとは言っても彼の方からすると、俺やエルメダ、アンテロの実力にはかなり不安なものがあるらしい。
確かに飛び抜けた実力もあるわけではないし、キャリアも少ないので不安と言われたら返す言葉もない。
さらにノルドに俺たちの戦闘や移動方法などを話したところ非常に効率が悪いとも言われた。
簡単なコツややり方などは、ある程度ノルドから聞くことはできたのだが、正直それだけでは不安も残るのも事実だ。
そこで、少しでも助けになればと言うことで、俺たち三人に合う装備品というのを貸し出してくれることになった。
それで俺に合った装備品というのが、今ノルドから手渡された肌着の代わりに着るシャツらしいのだが…
なんと言えばいいのだろうか…
簡単に言うと俺は今、着るのを躊躇っている…
聞くところによると、このシャツ防御面などはほぼ期待できないらしいが、その代わりにスキルなどを使用した際の精神消費というのを軽減してくれるという素晴らしい装備品らしい。
さらにこの装備品はシャツとして着込んで使うことになるので、鎧などと併用することもできる優れものということなのだ。
うん、説明などを聞くと非常に有用性は伝わってくる!
素晴らしい装備品だと思う!
思うんだが…
ただ…
ちょっと気になるところもある…
今、手元にあるこのシャツなんだが、結構貴重なものらしく1枚しかないらしい。
そして今回、俺が受け持つ行動を整理する。
今日はアンテロとエルメダの三人で薬止草の採取と余力があれば食料になりそうなものを集める。
恐らく、これだけで今日一日かかるだろう。
夕方以降はアンテロが薬止草を使い消えない傷の治療薬を作る。
そして予定であれば明日、アンテロが作った治療薬をグリエルモに届け、回復したらグリエルモをみんなに引き合わせる。
回復しなかった場合は、再び治療薬の流れという感じになるはずなのだが…
これ、恐らくなのだが一日じゃ終わらない気がする…
と言うか、予定の段階で明日とか言ってるので絶対に一日じゃ終わらない。
そして予定通り最短で終わったとしても、今度はノルドの緑色の碧玉集めなどを手伝う必要があるはず。
そうすると結構な日数を跨いで活動しなければいけないのは確実となるんだが…
その間、このシャツはずっと着込み続けなければいけないのだろうか…
今日なんかはモンスターや獣に襲われるかもしれないという緊張のなかで、見たこともない薬草を探すことになる。
そんな状況、緊張感が無いはずがない。
と言うか…
緊張感しかないだろう。
恐らく、今日という一日が終わった時に俺はかなりの汗をかくはずだ。
そうなったら、この肌着の処理などはどうしたらよいのか…
多分だが…
この世界の人間というのは、そういったことまで考えないのだろうな…
そう思うと俺はノルドから渡されたシャツを素直に着替えるには、どうにも躊躇する自分がいる。
さんざん自分の中で葛藤をした後、周囲の目が気になり出した俺は、かなり急いでシャツを着込み三人で薬止草探しに出掛けた。
★★★
俺とエルメダ、アンテロの三人は薬草を探すためにノルドの張った結界から出ると、先ずは周囲を見渡す。
俺とアンテロの二人は地上を中心に、そしてエルメダは上空を中心に見渡す。
三人が三人ともの判断で周囲にモンスターなどの危険がないと判断したら、俺は昨日フェンに言われた通りに先ずは目利きを使用した。
一瞬、自分の目の回りが光ったような感覚がし、その後、周囲数十メートルに従って、様々な情報が自分の目を通して確認できる。
薬体草・薬黙草・薬自草・薬草・シューリン草・満月草…
表示されるのは、どれもこれも草の情報ばかりだ。
そして、それらは全て口に入れることができるものに他ならない。
だが、どれも今回お目当てとなる薬止草とは異なる草だ。
自分の視界の中に対象となる草がないのを確認したら、俺は目利きを使用したまま前に数mほど進む。
前に進んだことで、若干ではあるが視界が異なる。
そこで先程は見ていなかったであろう場所を中心に自分の視野を広げていくと…
根無し草・癒し草・火草・薬体草・薬止草…
『あー!合った!!これ!これ!うん!合った!』
見つけた俺は、子供のようにはしゃぎながらエルメダとアンテロにアピールしていた。
二人も俺の言葉に一瞬で反応を見せて、俺の近くに寄ってくる。
『ほー、これですか?見た目は普通ですけど…切り口を触ると少しねばつく感じがしますね』
俺が摘んだ薬止草を触って確認するアンテロ。
エルメダは黙ってみているだけだが、目をそらす気配がないところをみると興味自体はありそうに見える。
『エルメダ、触って確かめるか?』
『えっ…ねばつくんでしょ?』
『切り口を触ると多少はね…』
『そっか、なら私はいい。見張りの方頑張る』
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