神業(マリオネット)
2ー26★王女の回想⑫最後の望み
王女は最後の望みをかけて、一人で都の外に出ている。
お供などはつれずに一人だけで山道を歩いていた。
かなり危険な行動だが、そんなリスクは今の彼女にとっては何でもない。
王は、都の外は大量の猪が発生していて警備隊が対応中と言っていた。
おそらく、警備隊が猪を討伐しているのだろう。
なので彼らからの報告がない限りは、都の外は危険と言わねばならない。
だが今の彼女にとって、彼らからの報告を待つよりも先に確認したいことがあった。
それはヨハンの安否だ…
王の言葉は自分に「ヨハンも多分いて、恐らく生きてはいないだろう」というような意味に感じた。
もうどうしようもない絶望的な言葉に思える…
このままモンスター化を待つしかないと思っていたのだが…
その後、自分の横にいた侍女に詳しく話を聞くと違うように感じたようだ。
彼女が言うには、襲われ亡くなった者の中ではハッキリと本人の確認がとれた者はいないと言う。
王女が見せられた布も、服の一部分が地面に転がっていたというの情報を彼女は警備隊から聞いてと言っていた。
ヨハンにおいてもそう。
現場にはローブが見つかったが、実際にローブを来た彼がいたと言う話は誰も聞いていない。
それであれば、ヨハンは自分の婚約者をつれて逃げた可能性もあるのではないかというのが彼女の考えだったのだ。
自分の横で「お気を確かに!」と何度も強く言ってくる侍女。
警備隊から次入ってくる報告には希望もあるはずと言ってくれた。
だが、そんな時間が自分にあるのかも分からない。
彼女の言葉を聞きながら王女は次第に、結果を自分で確かめなければいけないと感じてしまう。
なので王女は侍女に資料室ではなく自分の部屋まで連れられた後、何か良い方法はないのかと様々考え試していく。
もしも城を抜け出すのであれば…
今の警戒体制の中で、誰かの協力を仰がなければまず不可能。
元から今回の問題について誰にも相談をするつもりがなかった王女。
その選択肢は考えられなかった。
無理に抜け出すとしたら自身が霧にでもならなければ無理だろう。
そう思いながら、自身の右手を何気なく見ると右前腕から先が、だんだん霞むように消えていた。
一瞬夢かと疑った彼女。
「そんな訳がない!」と強く念じた次の瞬間、いつもと同じ右手がそこにある。
自身の正常な右手を見ながら、王女は先程の光景はなんだったのかと深く考えた。
そして「仮に自身の体が霧のようになれたならな~」と思いベッドの上で大の字になってみたら…
自分の全身の感覚がない…
いや!
大の字になった自分、天井はいつも通り見えている。
視覚の感覚はある。
寝ているわけでもない。
意識の感覚もある。
体の感覚がないので両手を視界の範囲まであげて確認することもできない。
だが、物を見ている感覚はあるのだから、この感覚をずらすことも出来るのでは?
そう思いながら視界を前の方まで広げてみると、自分の意識が移動しているような感覚になった。
どう言うことか理解できていない王女は自身の意識をベッドの横にある鏡の方へ向けてみると…
自分の姿が無い?
おそらく自分の姿は鏡の前まで移動してきたはずなのだが…
あるはずの自分の姿が無い。
鏡の前には薄黒い影のようなものが存在しているだけだった…
不思議な感覚と光景に混乱を隠せずにいた彼女…
自身の状況が分からない現状で、叫び声もあげたくはない。
先ずは自分を知ることが大切だと思った彼女。
よくよく見ていくうちに彼女の意識は、薄い影を意識し始める。
意識していくと薄い影は一つ一つが無数の粒からなっていた。
そして霧状の何かが彼女の中で黒い影として認識されていたのがわかる。
意識をしていくと次第に自由自在に移動できるようになってきた。
自由自在に移動していると、そのうちに彼女は元の姿に戻ってしまう。
元に戻った姿を鏡越しに確認し、今度は自分の全身を霧としてイメージした。
すると自身の体が再び霧のようになり見えなくなったのが鏡越しに確認できる。
そしてこの時始めて、これは自分の能力の一つだとハッキリと認識をした。
それと同時に…
この能力を使うと都を抜け出せるのでは?
とも思ってしまう。
この能力を使えば固く閉ざされている窓も無理に開ける必要がない。
扉の先に従者がいてもバレる心配はないのではないか。
ある程度の時間発動したら、自動解除になってしまうこの能力。
だが再び使い直せばいいだけだ。
他に手段もない!
この能力を使い王女は城はもちろん、都の外にも出ていくことになるのだが…
彼女は、この能力が何故使えるようになったのかは深く考えていない。
王家の証にも反応はない。
今の状態でカードを発動できるのかも確認していない。
魔法であるのかも確かめてはいない。
髪をアップにして白髪部分を隠している彼女だが…
この能力を使用する度に、僅かずつではあるが白髪部分が広くなっていることにも気づいていなかった。
そして、実に数時間もの間、山の中をさ迷い歩く。
彼女は数名の王国兵と数えられないほど大量の猪の群れと遭遇することになるまで。
お供などはつれずに一人だけで山道を歩いていた。
かなり危険な行動だが、そんなリスクは今の彼女にとっては何でもない。
王は、都の外は大量の猪が発生していて警備隊が対応中と言っていた。
おそらく、警備隊が猪を討伐しているのだろう。
なので彼らからの報告がない限りは、都の外は危険と言わねばならない。
だが今の彼女にとって、彼らからの報告を待つよりも先に確認したいことがあった。
それはヨハンの安否だ…
王の言葉は自分に「ヨハンも多分いて、恐らく生きてはいないだろう」というような意味に感じた。
もうどうしようもない絶望的な言葉に思える…
このままモンスター化を待つしかないと思っていたのだが…
その後、自分の横にいた侍女に詳しく話を聞くと違うように感じたようだ。
彼女が言うには、襲われ亡くなった者の中ではハッキリと本人の確認がとれた者はいないと言う。
王女が見せられた布も、服の一部分が地面に転がっていたというの情報を彼女は警備隊から聞いてと言っていた。
ヨハンにおいてもそう。
現場にはローブが見つかったが、実際にローブを来た彼がいたと言う話は誰も聞いていない。
それであれば、ヨハンは自分の婚約者をつれて逃げた可能性もあるのではないかというのが彼女の考えだったのだ。
自分の横で「お気を確かに!」と何度も強く言ってくる侍女。
警備隊から次入ってくる報告には希望もあるはずと言ってくれた。
だが、そんな時間が自分にあるのかも分からない。
彼女の言葉を聞きながら王女は次第に、結果を自分で確かめなければいけないと感じてしまう。
なので王女は侍女に資料室ではなく自分の部屋まで連れられた後、何か良い方法はないのかと様々考え試していく。
もしも城を抜け出すのであれば…
今の警戒体制の中で、誰かの協力を仰がなければまず不可能。
元から今回の問題について誰にも相談をするつもりがなかった王女。
その選択肢は考えられなかった。
無理に抜け出すとしたら自身が霧にでもならなければ無理だろう。
そう思いながら、自身の右手を何気なく見ると右前腕から先が、だんだん霞むように消えていた。
一瞬夢かと疑った彼女。
「そんな訳がない!」と強く念じた次の瞬間、いつもと同じ右手がそこにある。
自身の正常な右手を見ながら、王女は先程の光景はなんだったのかと深く考えた。
そして「仮に自身の体が霧のようになれたならな~」と思いベッドの上で大の字になってみたら…
自分の全身の感覚がない…
いや!
大の字になった自分、天井はいつも通り見えている。
視覚の感覚はある。
寝ているわけでもない。
意識の感覚もある。
体の感覚がないので両手を視界の範囲まであげて確認することもできない。
だが、物を見ている感覚はあるのだから、この感覚をずらすことも出来るのでは?
そう思いながら視界を前の方まで広げてみると、自分の意識が移動しているような感覚になった。
どう言うことか理解できていない王女は自身の意識をベッドの横にある鏡の方へ向けてみると…
自分の姿が無い?
おそらく自分の姿は鏡の前まで移動してきたはずなのだが…
あるはずの自分の姿が無い。
鏡の前には薄黒い影のようなものが存在しているだけだった…
不思議な感覚と光景に混乱を隠せずにいた彼女…
自身の状況が分からない現状で、叫び声もあげたくはない。
先ずは自分を知ることが大切だと思った彼女。
よくよく見ていくうちに彼女の意識は、薄い影を意識し始める。
意識していくと薄い影は一つ一つが無数の粒からなっていた。
そして霧状の何かが彼女の中で黒い影として認識されていたのがわかる。
意識をしていくと次第に自由自在に移動できるようになってきた。
自由自在に移動していると、そのうちに彼女は元の姿に戻ってしまう。
元に戻った姿を鏡越しに確認し、今度は自分の全身を霧としてイメージした。
すると自身の体が再び霧のようになり見えなくなったのが鏡越しに確認できる。
そしてこの時始めて、これは自分の能力の一つだとハッキリと認識をした。
それと同時に…
この能力を使うと都を抜け出せるのでは?
とも思ってしまう。
この能力を使えば固く閉ざされている窓も無理に開ける必要がない。
扉の先に従者がいてもバレる心配はないのではないか。
ある程度の時間発動したら、自動解除になってしまうこの能力。
だが再び使い直せばいいだけだ。
他に手段もない!
この能力を使い王女は城はもちろん、都の外にも出ていくことになるのだが…
彼女は、この能力が何故使えるようになったのかは深く考えていない。
王家の証にも反応はない。
今の状態でカードを発動できるのかも確認していない。
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