神業(マリオネット)
2ー13★無知
『はっ?やっ…?ん?やどりご?なんだそれ…?』
『おいっ…お前、本気で言っているのか…?』
『えっ…知らない…?』
俺は初めて聞く言葉だったので、アンバーに眉を潜めながら訪ねたのだが…
彼の中では知らないというのが信じられない様子をしている。
いや、彼だけではない老婆もまた唇を尖らせて首を捻っていた。
相変わらず、その視線は全力で俺の方を向いているが、怒りが少し和らいだと感じるのは気のせいか?
もしかしたら疑問に混ざっているだけなのかもしれないが…
そうは言っても…
知らないものは知らない!
『あー、ごめん。ホンと知らないんだよね…出来れば説明して欲しいんだけど…』
『お前、こんな時に何を言っている!』
『いやっ…、でも知らないもんは知らないからさ…』
俺のマイペースな返答に若干、アンバーがキレ気味で返事をした。
まー確かに、今の状況で緊張感がないと言われるとそれまでなのかもしれない。
だが、調査という名目で対象が目の前にいるという現状。
それに対しての知識が欠落している。
文句は俺にではなく選ぶ側のやつにいうべきだと思う。
だからと言って今の状況では「はい、サヨウナラ!」は出来ない。
出来るものならやりたいが…
そうすると混乱した女の子とドワーフを敵前に差し出して自分は撤収ということになってしまう。
さすがにそれは…
と言うか…俺を敵視している老婆が、そんな事させないような気がする…
なので「宿り子」について聞くのは今しかないと自分では考えた。
『「宿り子」と言うのは三種族の敵ということですよ…』
老婆がニヤリとしながら答える。
手には食べかけの羊皮紙を持っていた。
なんとか、あの羊皮紙奪えないかな…
宿り子に対して恐怖が薄い俺は心の中でそんな事を考え出す。
『ん?三種族の敵?悪者だとしても仲間くらいいるだろ?』
『仲間はモンスターくらいです』
『いや、だから…そんな、いきなりモンスターと一緒みたいに言われても…』
『貴方は人間ですよね?』
『あー、はい。そうですけど…それが?』
『ワタクシも人間でした』
『えっ…?「でした」?意味が分かんないんですけど!今は何ですか?亜人ってことですか?途中から変わるんですか?』
『通常、一人の種族と言うのは一生を通して変化はしないと言われています。私も最近までは人間として普通に過ごしていたのです』
『それが何で…こんな…』
『貴方は神器というものをご存じですか?』
次から次に知らない単語が出てくる…
(出るなら一つ一つにしてくれ…)
『いや、初めて聞きましたよ!』
『えっ…何故…?』
『ん?何故と言われても知らないものは知らないとしか答えられないんですけど…』
ここで彼女は目を大きく見開き、俺の言葉が信じられないというような表情をしている。
だが、その表情からは怒りが徐々に小さくなっているのをハッキリと感じた。
『もしかしてですが…ワタクシの事は…』
『それについては、先程も何度か言おうと思ったのだが…申し訳ない。有名人らしいが、貴方の事は分かりません』
『貴方はバビロンの者ではないのですか?もしかして…亜人なのですか?』
『いいえ、私は亜人ではありません。歴とした人間です。そしてバビロンのものではないと言うか…その国には生まれて一度も足を運んだことがありません』
『それは貿易都市で生まれ育ったということですよね』
何故か俺の出生に対して老婆が質問をぶつけてくる。
俺は嘘はつきたくないのだが…
このての質問に関して明確な答えというのが分からない…
元々、この世界の人間ではないと言ったところで誰が信じるだろうか?
俺が言われた本人なら、絶対に信じないし「バカにしてるのか!」と怒るだろう。
なので自分の質問なのだが、アンバーをチラリと見た。
『コイツの生まれは三国でも貿易都市でもないらしいです。どうやらガルドの端を越えた海の更に向こうにある大陸の国の出身だと以前に言っていました』
『なぜ本人に答えさせないで貴方が答えるのですか?』
『はい、申し訳ありません。それはコイツが上手く説明できないと思ったからです』
『自分の事なのに説明できない?何故ですか?』
王女が、コイツは大丈夫か?と言わんばかりに俺の事を横目で睨んでいる…
(まー、確かに、そんな反応になるよね…)
『コイツと私が最初に会ったとき、コイツはリエン山で遭難しているときでした。恐らく遭難時に何かショックなことが起きて、普段はバカの一言で済む頭も、その時は取り返しのつかないところまで来ていたようです。保護をして事情を説明してもらったときに正直、トチ狂ったことを言っていました。それで、その狂言の中から辛うじて事実確認がとれるのが先程言った内容です』
アンバーは俺をフォローするつもりで喋ってくれるのは分かる。
分かるのだが…
「取り返しのつかない」とか「狂言」とか…
本来ならキッチリ訂正しながら、話を進めた方がいいとは思うのだが…
新たな火種は勘弁したい…
俺は心の中で涙を飲みながら話を進める方を選んだ。
『なるほど…』
『今この場で全てを信じられないというのも当然の話だとは思います。ですが、あのアホが、先程の王女の件について知らなかったのも事実でございます』
『一度二人で話すことは可能ですか?』
老婆がとんでもないことをブチコンデキタ!
『おいっ…お前、本気で言っているのか…?』
『えっ…知らない…?』
俺は初めて聞く言葉だったので、アンバーに眉を潜めながら訪ねたのだが…
彼の中では知らないというのが信じられない様子をしている。
いや、彼だけではない老婆もまた唇を尖らせて首を捻っていた。
相変わらず、その視線は全力で俺の方を向いているが、怒りが少し和らいだと感じるのは気のせいか?
もしかしたら疑問に混ざっているだけなのかもしれないが…
そうは言っても…
知らないものは知らない!
『あー、ごめん。ホンと知らないんだよね…出来れば説明して欲しいんだけど…』
『お前、こんな時に何を言っている!』
『いやっ…、でも知らないもんは知らないからさ…』
俺のマイペースな返答に若干、アンバーがキレ気味で返事をした。
まー確かに、今の状況で緊張感がないと言われるとそれまでなのかもしれない。
だが、調査という名目で対象が目の前にいるという現状。
それに対しての知識が欠落している。
文句は俺にではなく選ぶ側のやつにいうべきだと思う。
だからと言って今の状況では「はい、サヨウナラ!」は出来ない。
出来るものならやりたいが…
そうすると混乱した女の子とドワーフを敵前に差し出して自分は撤収ということになってしまう。
さすがにそれは…
と言うか…俺を敵視している老婆が、そんな事させないような気がする…
なので「宿り子」について聞くのは今しかないと自分では考えた。
『「宿り子」と言うのは三種族の敵ということですよ…』
老婆がニヤリとしながら答える。
手には食べかけの羊皮紙を持っていた。
なんとか、あの羊皮紙奪えないかな…
宿り子に対して恐怖が薄い俺は心の中でそんな事を考え出す。
『ん?三種族の敵?悪者だとしても仲間くらいいるだろ?』
『仲間はモンスターくらいです』
『いや、だから…そんな、いきなりモンスターと一緒みたいに言われても…』
『貴方は人間ですよね?』
『あー、はい。そうですけど…それが?』
『ワタクシも人間でした』
『えっ…?「でした」?意味が分かんないんですけど!今は何ですか?亜人ってことですか?途中から変わるんですか?』
『通常、一人の種族と言うのは一生を通して変化はしないと言われています。私も最近までは人間として普通に過ごしていたのです』
『それが何で…こんな…』
『貴方は神器というものをご存じですか?』
次から次に知らない単語が出てくる…
(出るなら一つ一つにしてくれ…)
『いや、初めて聞きましたよ!』
『えっ…何故…?』
『ん?何故と言われても知らないものは知らないとしか答えられないんですけど…』
ここで彼女は目を大きく見開き、俺の言葉が信じられないというような表情をしている。
だが、その表情からは怒りが徐々に小さくなっているのをハッキリと感じた。
『もしかしてですが…ワタクシの事は…』
『それについては、先程も何度か言おうと思ったのだが…申し訳ない。有名人らしいが、貴方の事は分かりません』
『貴方はバビロンの者ではないのですか?もしかして…亜人なのですか?』
『いいえ、私は亜人ではありません。歴とした人間です。そしてバビロンのものではないと言うか…その国には生まれて一度も足を運んだことがありません』
『それは貿易都市で生まれ育ったということですよね』
何故か俺の出生に対して老婆が質問をぶつけてくる。
俺は嘘はつきたくないのだが…
このての質問に関して明確な答えというのが分からない…
元々、この世界の人間ではないと言ったところで誰が信じるだろうか?
俺が言われた本人なら、絶対に信じないし「バカにしてるのか!」と怒るだろう。
なので自分の質問なのだが、アンバーをチラリと見た。
『コイツの生まれは三国でも貿易都市でもないらしいです。どうやらガルドの端を越えた海の更に向こうにある大陸の国の出身だと以前に言っていました』
『なぜ本人に答えさせないで貴方が答えるのですか?』
『はい、申し訳ありません。それはコイツが上手く説明できないと思ったからです』
『自分の事なのに説明できない?何故ですか?』
王女が、コイツは大丈夫か?と言わんばかりに俺の事を横目で睨んでいる…
(まー、確かに、そんな反応になるよね…)
『コイツと私が最初に会ったとき、コイツはリエン山で遭難しているときでした。恐らく遭難時に何かショックなことが起きて、普段はバカの一言で済む頭も、その時は取り返しのつかないところまで来ていたようです。保護をして事情を説明してもらったときに正直、トチ狂ったことを言っていました。それで、その狂言の中から辛うじて事実確認がとれるのが先程言った内容です』
アンバーは俺をフォローするつもりで喋ってくれるのは分かる。
分かるのだが…
「取り返しのつかない」とか「狂言」とか…
本来ならキッチリ訂正しながら、話を進めた方がいいとは思うのだが…
新たな火種は勘弁したい…
俺は心の中で涙を飲みながら話を進める方を選んだ。
『なるほど…』
『今この場で全てを信じられないというのも当然の話だとは思います。ですが、あのアホが、先程の王女の件について知らなかったのも事実でございます』
『一度二人で話すことは可能ですか?』
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