神業(マリオネット)

tantan

1ー7★イーグルとの出会い

ノルドに相談をしてから2日ほどが経過し、早速モルガンと一緒に戦士系ギルドに来ていた。
朝いつも通り荷物を積めているとモルガンから連絡があったらしい。
俺は扉を開けてモルガンと一緒に入っていくと、そこには朝冒険者ギルドで見る人だかりよりも倍ぐらいの人数がいたのだ。
そして予想通りみんな強そうな外見をしている。
種族は人間やドワーフ、エルフと三種類が満遍なくいる感じがする中、モルガンは人混みを気にする様子もなく受付まで一直線に進んでいった。
俺もはぐれないようについていくと、モルガンは受付横の一人の老人を見つけて声をかけていた。


『おーい、こいつがこの前話したサポーター希望の冒険者で名前がナカノだ』


モルガンの声が大きいからなのだろう、受付の前で座っていた戦士系と思える人たちが一斉に俺を睨んできた。


『はい、今日から宜しくお願いします』


周りの視線も気になるが、俺の紹介をモルガンがしてくれているので、老人に挨拶が先だろうと思う。


『おい、ナカノ!この老いぼれはギルドマスターのアイザックだ』


(本人目の前にして老いぼれって…よりにもよってギルドマスターって…)


周囲からの目線が一層きつくなっていくのを感じたが、アイザック本人は全く気にしていないようだった。


『話では昼から夕方までと聞いとる。自分合わせて何人までムーブは出来る?』
『5人なら冒険者ギルドから都市の端近くまでムーブをしたことはあります』
『うん、それなら問題はないだろう』


どうやら帰りは俺のムーブを使って帰るのが前提となるようだ。


『装備やアイテムは持っているか?』
『装備?いや、そういう細かい話は全く聴かされてなくて…』


アイザックがモルガンを睨み付けた


『だろうな、コイツがそこまで気を回すとは思えん』


(うちのギルドマスターって、やっぱりそういう人なんですね…)


『うちのギルドからの支給品でよければ、魔石も合わせて1000YUNになるぞ』
『はい、それでお願いします』
『お代は最後の精算時に一緒に行うことにするとしよう。では、イーグルの面々やこちらに来てくれるか?』


アイザックがそういうと奥で座っていた4人組が立ち上がり、こちらの方へ歩み寄ってきた。
人間種が2人男女、ドワーフが男1人、エルフが女1人の組み合わせだ。


『彼らが今後、ナカノ君の面倒を見てくれることになる』
『ナカノさん、宜しく!』


アイザックからの一言の後、イーグルのリーダーらしき人間の男が俺に握手を求めてきた。


『こちらこそ宜しくお願いします』
『では顔合わせがすんだら、早速だが討伐にいってくるが良い』


アイザックはそういうとモルガンと二人で奥の部屋へ引っ込んでいき、行き違いで受付にいたドワーフの女の子が俺の装備品を持ってきてくれた。


『それを装備したら一緒に行きましょう』
『分かりました』


今日からいよいよモンスターとの戦いが始まる。
ルートに来る前に何度か見学はした。
だが今回からはサポートとはいえ自分もメンバーの一人だ。
装備と共に気を引き締めて望んでいかなければならないはずだ。
俺はイーグルの面々と一緒に戦士系ギルドを後にした。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品