聖玉と巫女の物語
その後
神殿の修復の指揮をとっていたのはエリク神官だった。彼は亡くなった神官長の代理の補佐も務めていた。
アシュリータはしばらく、ウェルギン、ヘイワード、ファルサと共に神殿の救護室で過ごした。
その時にエリクを含め、地下墓地に一緒にいた者たちに《失踪してから後に何があったのか》を語った。妖術を使って他人になりすましたことも。
エリクは直にこの内容をフリンツ王子に伝えた。だが、王子の意向もあって、地下墓地の存在を以前から知っていたらしい年輩の神官たちには魔王の存在は伝えなかった。
神殿の地下崩壊と、巫女を北の森で保護したことだけを伝えた。
北の森でヘイワードたちを見つけた騎士たちはなぜ彼らが一緒だったのか不思議がった。
しかし、神殿の者および北門の兵士たちは地下崩壊直前の記憶を失っており、北の森からの帰還を不思議とは思わなかった。
アシュリータは巫女の館へ、ヘイワードはバシュラーク、ファルサも自宅に戻った。
ウェルギンは巫女の館に少しの間滞在していた。
「やっと元通りか……」
兄の言葉にアシュリータは微笑んだが、どこか寂しげだった。
居間にはアシュリータとウェルギンが座っていた。そこへ侍女のエルダがお茶を運んできた。
「お二人一緒に神殿から戻られた時はびっくりしましたわ。あの大変な事故に巻き込まれたのでないかと心配でしたのよ」
アシュリータもウェルギンもすまない気持ちでいっぱいになった。
「お昼の準備をしてきますね」
しかし彼女は、アシュリータが戻ってきて嬉しそうだった。
「お兄様、話があるの」
エルダが部屋を後にすると、アシュリータは声をひそめた。
「あの妖魔……アルマンという男のことか?」
「……」
ウェルギンは妹が今だに魔王と呼ばれた男のことを心にとめていることに気付いていた。
「忘れられないのか。それもそうだろう。でも、住む世界が違うんだ」
「彼は一人なの。私も一人だった」
アシュリータの言葉にウェルギンは心を痛めた。
「ごめんなさい。お兄様にこんなこと言うの。でも、私……彼の傍にいてあげたい」
会いたい。
そうアシュリータの心が叫んでいた。
ウェルギンが答えにつまっていると、その時、エルダが城からの使いが来ていると告げた。
アシュリータはしばらく、ウェルギン、ヘイワード、ファルサと共に神殿の救護室で過ごした。
その時にエリクを含め、地下墓地に一緒にいた者たちに《失踪してから後に何があったのか》を語った。妖術を使って他人になりすましたことも。
エリクは直にこの内容をフリンツ王子に伝えた。だが、王子の意向もあって、地下墓地の存在を以前から知っていたらしい年輩の神官たちには魔王の存在は伝えなかった。
神殿の地下崩壊と、巫女を北の森で保護したことだけを伝えた。
北の森でヘイワードたちを見つけた騎士たちはなぜ彼らが一緒だったのか不思議がった。
しかし、神殿の者および北門の兵士たちは地下崩壊直前の記憶を失っており、北の森からの帰還を不思議とは思わなかった。
アシュリータは巫女の館へ、ヘイワードはバシュラーク、ファルサも自宅に戻った。
ウェルギンは巫女の館に少しの間滞在していた。
「やっと元通りか……」
兄の言葉にアシュリータは微笑んだが、どこか寂しげだった。
居間にはアシュリータとウェルギンが座っていた。そこへ侍女のエルダがお茶を運んできた。
「お二人一緒に神殿から戻られた時はびっくりしましたわ。あの大変な事故に巻き込まれたのでないかと心配でしたのよ」
アシュリータもウェルギンもすまない気持ちでいっぱいになった。
「お昼の準備をしてきますね」
しかし彼女は、アシュリータが戻ってきて嬉しそうだった。
「お兄様、話があるの」
エルダが部屋を後にすると、アシュリータは声をひそめた。
「あの妖魔……アルマンという男のことか?」
「……」
ウェルギンは妹が今だに魔王と呼ばれた男のことを心にとめていることに気付いていた。
「忘れられないのか。それもそうだろう。でも、住む世界が違うんだ」
「彼は一人なの。私も一人だった」
アシュリータの言葉にウェルギンは心を痛めた。
「ごめんなさい。お兄様にこんなこと言うの。でも、私……彼の傍にいてあげたい」
会いたい。
そうアシュリータの心が叫んでいた。
ウェルギンが答えにつまっていると、その時、エルダが城からの使いが来ていると告げた。
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